宮城県作業療法士会

お知らせ

県士会ニュース vol.165.2023.09.22

2023.09.22

第33回東北作業療法学会 報告

第33回東北作業療法学会を終えて

学会長 大黒一司

 第33回東北作業療法学会は4年ぶりの現地開催(6月25日)と、オンデマンド配信(7月1日~7月31日)のすべてを無事に終了することができました。参加者は現地とオンライン合わせて523名(宮城県士会員146名、学生62名)で、現地が299名、オンラインが224名でした。一般演題は65演題(宮城県士会員13演題)の発表が行われました。多くの方々に熱心に参加していただき、有益な議論や交流が行われる貴重な場となりました。

 4年ぶりの現地開催は参加者の皆さまの関心と熱意により、学会の会場らしい雰囲気が戻ったように感じました。また、オンデマンド配信を取り入れることで、より多くの方々に参加していただく機会を提供することができたのではないかた思っております。都合により現地で参加できなかった方や予定が合わなかった方々にもアクセスできる環境を整えることで、より幅の広い交流が行われたことを喜ばしく思っております。

 東北大学大学院工学研究科の平田泰久教授の特別講演は、「適応自在なロボットが拓く未来の作業療法の可能性」と題して、作業療法の未来に影響を与える刺激的な内容でした。6つのシンポジウムでは、今学会のテーマである「作業療法の過去・現在・未来」についてとても有意義な議論をしていただきました。また、当事者の皆さまからの作業療法、作業療法士に対するメッセージは、作業療法を必要とする人々に作業療法について一層理解していただくための貴重な言葉となりました。教育講演の講師の方々には、最近の作業療法の知見や技術を明日からの臨床に役立てられるように、限られた時間において丁寧にわかりやすく紹介していただきました。一般演題発表では、臨床に活用できる研究や日頃の臨床の成果としての事例報告など多くの新たな知見を報告していただきました。

 東北作業療法学会としては初のハイブリット開催でしたが、開催の準備と運営において、大変な労力と時間を割いていただきました49名の実行委員の皆さまには、大変お世話になりました。また関係者の皆さま、ご後援いただきました諸団体の皆さまには深く御礼申し上げます。お陰様で多くの参加者が貴重な情報と交流の機会を得ることができたと感じております。

 今学会の貴重な経験が次へと引き継がれ、東北から発信される作業療法が一層の発展と進化を遂げることを、皆さまと共に歩んでいけることを心から楽しみにしています。

 改めて、宮城県士会の皆さま、東北各県士会の皆さまに心から感謝を申し上げます。

第33回東北作業療法学会を振り返って

学校法人菅原学園 仙台保健福祉専門学校

作業療法科 専任教員

小幡 紘輝

 過日、第33回東北作業療法学会にて「ロービジョンリハビリテーションと作業療法」というテーマで教育講演の講師を務めさせていただきました。コロナ禍という状況の中、ハイブリット形式での学会開催は、新しい可能性を見出すことができ、とても有意義なものになりました。貴重な機会をいただき、誠にありがとうございました。また多大なるご支援を賜りました関係各位に、この場を借りて重ねて御礼申し上げます。

 これまで私はロービジョンリハビリテーションをテーマとして研究に取り組んで参りました。カナダやアメリカでは、作業療法士などの視覚専門職以外の職種で地域に在住するロービジョン者と関わる可能性を持つ者が、見え方の問題に起因する行動特性からロービジョン者をスクリーニングし、リハビリテーション介入や眼科介入につなげるというロービジョンリハビリテーションケアモデルが実施されています。このモデルは、日本での実践においても有用である可能性があります。ロービジョンという概念や、ロービジョン者に対するケアや社会資源についての一般的認識が不十分である現状にあるため、ロービジョンの概要やロービジョンリハビリテーションの視点を啓蒙していきたいと考えています。

 今回の教育講演を通して、ロービジョンについて少しでも興味を持っていただいたり、臨床でのリハビリテーション実践において一助となれば幸いです。

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