宮城県作業療法士会

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県士会ニュース第130号 2014.3.10

2014.03.10

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目次

生活行為向上マネジメント研修会報告… 酒井良隆 ①

事業部研修(発達シリーズ)無事終了~!… 遊佐亜希子 ②

デンマーク王国研修に参加して………高橋春信  ③④

職場紹介① 特養エコーが丘…………山田みゆき? ⑤

職場紹介② 特養せんだい郷六の杜 ……… 川越晴美 ⑥

つぶやきコーナー………………阿部知美、鈴木竜二 ⑦ 佐藤かおり ⑧

編集後記……………………………………? 蒲原みなみ ⑨

 

今回、事業局 局長の葛西康先生より、事業部精神班研修報告を投稿いただきましたので、下記に掲載いたします。

 

 

①◆事業部精神班主催 生活行為向上マネジメント研修会報告◆

 

事業部 酒井良隆

 平成26年2月8日に東北文化学園大学にて介護老人保健施設なとり 大内義隆先生、介護老人保健施設せんだんの丘 松本幸子先生を講師に生活行為向上マネジメント研修会を開催致しました。参加者数は、40名でした。大内先生は生活行為向上マネジメント推進委員でもあります。生活行為向上マネジメントを推進していくにあたっての根拠と推進方法、国策に連動した日本作業療法士協会の実施計画をはじめにお話し頂き、必要性及び有効性について話されました。その後実際の取り組みを学会発表の内容を交えて実践報告して頂きました。生活行為向上マネジメントを作業療法の「見える化」のツールとして活用するという、作業療法の普及啓発も役割としてある点も話されました。松本先生からは、実際に施設で生活行為向上マネジメントを活用されている事例についてご紹介頂きました。対象者への支援ツールとしてだけでなく、施設内でも他職種との連携のツールとして利用されており、その実践例を交えてお話し頂きました。

対象者の方の「こうありたい」という思いに、ADL・IADL面にとどまらず、人生そのものを豊かなものにしていく作業療法の役割を、わかりやすく、「見える化」して示すことが出来るツールであることがわかりました。領域問わず使用できるツールであるだけに、各領域で使用され、多くの事例が集まることを今回の研修企画を通じて願っております。

事業部精神班に所属するものとして、今後に向けてのご提案があります。精神科領域にてご活躍されている皆様に、この生活行為向上マネジメントというツールを使って対象者の方々の支援をして頂きたいと思っております。決してこのツールは特別なものではなく、これまで我々が対象者支援の中で考えてきた事柄を「見える化」したものになっています。つまり作業療法士の行う支援内容が他職種から見てもわかるようになっており、連携がスムーズなものになります。多くの対象者の人生を豊かなものにしていくものでもありますので、ぜひご活用ください。

最後に我が事業部精神班では、班員を大募集中です。精神障害領域でご活躍の方、認知症などを対象とされている高齢期領域でご活躍の方、ぜひ研修会企画や宮城県民への作業療法の普及啓発に向けた取り組みを一緒にやってみませんか。お気軽にお申込み下さい。

 

 

 

②◆事業部研修(発達シリーズ)無事終了~!◆

 

 

事業部 遊佐亜希子

 去る2月1日、第5弾となる発達障害シリーズ、「育てにくいのにはわけがある」の研修会を開催しました。

講師は名古屋大学大学院作業療法学講座教授の辛島千恵子先生をお呼びしました。

昨年10月開催予定が大型台風の影響で延期となり、キャンセルの電話では皆さんの期待の声も大きく、念願叶っての開催となりました。

午前はOT向け、午後は他職種向けでしたが、午後の部が予想以上の反響で200名を超え、急遽変更した会場も定員ぎりぎりに達した状況でした。

“情動的コミュニケーション(=繋がりや共有を目指し関係をとり結ぼうとする関係)”、私には聞き慣れない言葉でしたが、感覚-運動機能と併せて重要な発達の視点であると先生の話を聞いて共感しました。

先生にお会いした第1印象は、“小柄でかわいい”でした。講義をお聞きする中で、先生の信念やOTとしての経験の積み重ね方など発達障害の知識だけではない想いの詰まったお話もお聞きすることができたことも有意義な時間でありました。

さて、今回の研修会(午後の部)は県の委託事業でもあり、PT・ST 3士会に加えて広く周知しました。参加者の半数以上が保育士さんで、その他ご家族や当事者の方も数名いらっしゃいました。

アンケートでも、「具体的でわかりやすい」、「なるほどと感じた」、「再確認した」等…そして「もっと話を聞きたかった」と多数ご感想をいただきました。

毎年少数の発達班メンバーで研修会の企画については頭を悩ますところですが、周囲の声も聞きつつ興味深い先生をお呼びしてお話が聞け、そして啓発活動へつながるきっかけとしては年に数回よい機会と思っています。

反響があることでまた班員でも次の企画へつながっていけるかなと感じています。

もしぜひ班員へ興味がありましたらいつでも事業部へお声掛けください。お待ちしております。最後は宣伝で終わらせていただきます(*^_^*)

 

 

③④◆デンマーク王国研修に参加して◆

 

涌谷町町民医療福祉センター

高橋春信

 私が勤務する涌谷町町民医療福祉センターは、涌谷町の地域包括ケアに取り組んでいる。涌谷町では平成15年にデンマーク王国(以下:デンマーク)ソロー市と姉妹都市を締結。交流事業として医療・介護スタッフの現地研修が実施されている。昨年8月、現地研修にて貴重な経験を得ることが出来たので報告をさせて頂く。

01

デンマークでは成人になると独立して生活することが慣例で、核家族化が進んでいる。そのため、病気やケガ等により病院での治療終了後や加齢からくる機能低下、認知症等により生活障害が大きくなり、自宅での生活が難しくなる等の理由により、高齢者・介護住宅に入居等をして、各種の公的サービスを受けるのが一般的である。愛用していた家具などが持ち込まれ、そこが新しい『家』となる。

02

高い税率(消費税:25%、所得税:38~68%等)を背景に国家予算の8%を公的サービスに使用。医療・介護サービスや福祉用具レンタル等は各自治体の判定会議で認められれば無料で受けることができる。街中では歩行補助車やセニアカーを利用し、買い物や散歩をされている方を多く見かけ、福祉用具が普及していることがうかがえた。

03

リハビリテーション(以下:リハビリ)も公的サービスで提供されている。ソロー市ではリハビリセンターにOT・PT・STを配置。外来個別リハビリの他、膝靱帯損傷術後者やバランス能力低下者などテーマ毎のグループリハビリ、在宅生活者への訪問リハビリなどが実施されている。脳卒中などの脳血管疾患の方は少なく、靱帯損傷や骨折等の術後の方が外来で多く通われていた。リハビリの内容はフィットネストレーニング中心でセラピストによる徒手的な関わりは少ない印象を受けた。また、日本では医師の指示の下リハビリは提供されるが、デンマークではセラピスト単独で提供できるのも大きな違いである。

04

今回の研修では充実した2週間を過ごすことが出来た。皆さんもチャンスがあれば他国の制度やリハビリを見聞してみてください。

 

 

 

 

⑤◆職場紹介①◆

 

『特別養護老人ホーム エコーが丘』

山田みゆき

【施設紹介】
《定員》長期入所:70名 短期入所:30名
《リハビリスタッフ数》作業療法士 1名
《OT業務内容》長期および短期入所の機能訓練指導員として勤務
《対象疾患》

認知症(アルツハイマー型認知症、老人性認知症、脳血管性認知症、前頭側頭型認知症)

脳血管疾患後遺症、パーキンソン病、廃用性症候群

 

05
【作業療法紹介】

特別養護老人ホームでの作業療法の大きな特徴は、日常生活に、より密着した生活支援が出来ることです。機能訓練指導員としての実施内容は、介護スタッフへの指導が中心ですが、24時間、実際のADL場面を通して機能面に働きかけています。嚥下障害のある人の摂食・嚥下の取り組み、ベッド上での臥床姿勢や車椅子座位でのポジショニング、身体機能維持のための体操指導、より安全な移乗・移動動作の援助、車椅子や歩行器等福祉用具の選択など、機能低下の予防・機能維持を目標に行っています。

06

また、利用者様の中には、疾患や加齢により昔出来ていたことが出来ないことでの落ち込み、不安、諦めなど悲観的感情を抱えている方がおります。そのような方には施設で生活する中での楽しみや趣味を一緒に見つけ、それを作業療法に活かします。洗濯干しや掃除等の家事・手伝いを日課にしたり、散歩や買い物等のIADLの機会も大切にしています。心身機能が低下していても、利用者様のできることを引き出し・伸ばせるように、「出来る体験」「楽しい体験」の支援を行い、心の中からの回復を目指して取り組んでいます。

<住所>
〒989-3212 宮城県仙台市青葉区芋沢字横前1番地の2
TEL:022-391-3371  URL:www.yokofuku.or.jp/echogaoka.html

⑥◆職場紹介②◆

 

『特別養護老人ホーム せんだい郷六の杜』

川越晴美

>【施設紹介】
《定員》長期入所:120床 短期入所:20床
《リハビリスタッフ数》作業療法士2名(うち非常勤1名)
《OT業務内容》機能訓練指導員
《対象疾患》脳血管疾患、整形疾患、認知症など

《職場の位置》折立交差点の南側に位置しています。平成眼科さんの近くにあります。

07
【リハビリ課の紹介】

当施設は、平成24年7月1日に開所したばかりの新しい施設です。ユニットケアを実施しています。1ユニット10床にて、入居者様2名に対し職員1名を配置しています。

ケアプランに基づき個々に応じて問題点を挙げ、目標を設定し、個別機能訓練計画書を作成し、機能訓練を実施しています。また、『生活に根差した活動を』ということで、生活リハビリ指示書を作成し、各ユニットへの提示・指導を行っています。これをもとに、ケアスタッフさんを中心とした生活リハビリの充実を行っています。音楽療法士を中心に月1回15名程度ずつ音楽療法を行っています。この他、同程度の状態のご入居者にてユニットの枠を超えて集まり、歌やおしゃべり・制作活動等を行っていただく集団リハビリや個別機能訓練・ADL訓練等を行っています。また、近隣の行事(芋煮会や夏祭り等)への参加だけでなく、『地域とともにより積極的な活動を』ということで、今後は地域との屋外活動等の検討も行っていく予定です。

08

 

 

 

◆つぶやきコーナー◆

 

⑦『OT3年目の今』

介護老人保健施設藤の里 阿部知美

 高校生の時に楽しそうだしという理由だけで決めた作業療法士という仕事。それが今年の3月で気が付けば大学を卒業し作業療法士3年目となりそれも終わろうとしています。大学時代に抱いていた3年目の作業療法士ってイメージに比べると、思ったよりもずっと遅いペースですが成長しようと頑張っている毎日です。

いろんなことを経験したくて総合病院に就職を決め、直前に震災があり働けないかもと不安を覚えつつスタート。1年目は急性期、2年目は回復期病棟と亜急性期病棟、そして骨折して3か月ほど休み、また3年目の6月から復帰して回復期病棟で働いています。怪我をして就職前とは違う意味でもう働けないかもと不安を覚えた日々。でも職場の先輩方や学生時代からの先生や友人、家族の手助けもありなんとか今も仕事をさせて頂いています。怪我から復帰して今9か月。復帰直後は仕事の覚え直し、買ったけど読んでない本を読み勉強もし直しでとにかく必死でした。最初は居辛かったけど徐々に慣れ、元の居場所に戻りやりがいを再確認しました。

怪我をして自分が患者という立場にたって思ったのは、患者さんの話を上手く聴けていなかったということです。自分でも医療従事者に上手く関わることは大変でした。振り返ると、患者さんはもっと言いたいことがあったのではないかと反省しました。最近はじっくり話をして目標を一緒に共有するよう心がけています。「(右手は麻痺しているけど)里芋の皮を剥きたい」、「父親として子供を抱き上げるくらいはしたい」など今までよりも自分のことを聴けることが増えてきた気がします。

やっと社会人として慣れてきたかと思ったら4年目がもう目の前にあります。初めての学会参加が6月に控えており濃い一年になりそうな予感です。今までできなかったことにとにかくチャレンジして、作業療法士として研鑽を積みたいと思います。拙い文章ですが、お読み頂きありがとうございました。

 

 

⑧『1年目を振り返って ~ 1×1=∞ ~』

真壁病院 佐藤かおり

 2月、今年も国家試験が施行され、あれからもう1年が経ったんだなぁと、感慨深く感じています。この1年を振り返ると、本当に「あっという間」という一言に尽き、周囲の多くの支えと協力を得ながら、無我夢中で駆け抜けてきたように思います。

私は現在、東松島市にある真壁病院に勤務しています。一般病棟・療養型病棟の計131床を有し、地域医療への貢献を目標とした病院です。OTの開設は比較的新しく、まだまだ業務内容や役割が未整備な状況の中、1人職場で奮闘しています。意気込みだけは人一倍で臨床に出たものの、診療報酬の細かな規定や、他職種との連携、在宅復帰の具体的支援については机上の勉強や知識だけでは満足な仕事にならず、現場で失敗を繰り返しながら少しずつ学ばせていただきました。そして常に「これで本当にいいのだろうか」と自分自身に問いかけては、不安と自己嫌悪に苛まれていました。

そんな中、解決の糸口を示してくだったのは、職場の上司・先輩方をはじめ、保健福祉事務所や臨床実習・学生時代にお世話になった先生方でした。自分の思いや不安・質問を先輩方に発信することは緊張の連続でしたが、私の拙い質問や失礼をも受け止め、真摯にご指導・ご助言を頂きました。また、県士会のお知らせ等から参加させて頂く勉強会も、多くの学びと刺激を受ける大切な場となっており、日々人との繋がりの大切さを実感しています。

設備や業務・教育体制の整った施設で先輩方の指導を受けながら、成長し続けているであろう友人の姿を思うと、時々とても焦ることもあります。それでもこの1人職場で我武者羅に走り続ける中で見えてくるもの・学びが無限大に広がると信じ前進していきたいと思います。1年目×1人職場=無限大!
最後に患者様・先輩方・他職種の皆様・・・いつも出会いが自分の行くべき道を示してくださることに、深く感謝致します。

 

 

◆編集後記◆

 

花壇に植えた球根が芽を出し始め、春が近くに感じられるようになりました。北国の春がやってきますね。今時期になると、利用者さんから「暖かくなったら、~したい。」「春になったら、~しようと思う。」などの前向きな発言が聞かれるようになり、ワクワクします。そして、私は暖かくなったらサボっていた運動を再開して、ご当地マラソンや山登りに臨みたいと思っています。皆さんは、春がきたら何をしますか? 蒲原

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