宮城県作業療法士会

お知らせ

県士会ニュース137号 2015.12.10

2015.12.10

目次

① 新副会長挨拶 … 大内義隆
② 新理事紹介 … 稲毛義憲
③ 新任部長紹介 … 藤井貴
④ ◆研修会参加◆ 福祉用具使ってますかっ!!「車いすクッションの選定と適合性」ワークショップ開催に携わって … 今井卓馬
⑤ ◆研修会参加◆ 第26回東北作業療法学会を通して … 相原笛
⑥ ◆職場紹介◆ 仙台オープン病院 … 今野菜美子
⑦ ◆職場紹介◆ 仙台市南部発達相談支援センター … 千田由美
⑧ ◆つぶやきコーナー◆ 多生の縁 … 戸田祐子
⑨ ◆イクママより◆ 田邉飛鳥

バックナンバーはこちら

 

① 新副会長挨拶

 

介護老人保健施設なとり 大内義隆

作業療法士として19年目になり、福島県にある枡記念病院から宮城県の介護老人保健施設なとりに移ってからは、約13年が経ちました。宮城県作業療法士会の主な活動としては、平成23年度から理事(学術部長)として関わらせていただき、今年度からは副会長に任命いただきました。
さて、平成27年度の介護保険改定は、リハビリテーションの原点回帰とも言われています。リハビリテーションの本来の目的であるより良い生活や人生の構築に向けて計画的に取り組むことが重要視されています。その中で生活行為向上マネジメント(MTDLP)のコンセプトが反映された生活行為向上リハビリテーション加算の新設に代表されるように、作業療法に対する期待が高まっているように感じています。一方で、各現場の状況としては、作業療法士と理学療法士のプログラムに差がないなどというデータも示され、われわれ作業療法士は、その役割を見つめ直すことが必要となってきています。
宮城県においては、平成27年度から宮城県地域包括ケア推進協議会を設立しました。これは、京都、広島に次いで、全国でも三番目の取り組みです。村井知事をトップに、宮城県医師会、地域包括支援センター連絡協議会、ケアマネジャー協会など官民46団体が参加しています。私自身も、宮城県作業療法士会の代表として、道又会長とともに委員となっています。そのような中で、宮城県や各市町村との関わりも増えてきており、リハビリテーション専門職として、理学療法士や言語聴覚士との連携、医師や看護師、介護支援専門員との連携を図ることは重要です。しかしながら、先に述べたように、作業療法士の役割が周囲に理解されない中で、また各現場で作業療法士が作業療法を実践出来ていない中で、意味のある連携を構築することは出来ません。
私は、作業療法士の活躍の場は、今まで以上に広がっていくと信じています。そのためにも宮城県作業療法士会としては、「作業療法士の形」を共有しながら、会員の皆様と共に学び、地域貢献していくための仕組み作りが必要と思っております。
今後とも、県士会活動に対する皆様の積極的な参加をお待ちしております。よろしくお願い致します。

 

② 新理事紹介

 

東北福祉大学 稲毛義憲

はじめまして、という方が多いかと思います。
宮城県士会に入会したのが平成20年4月。それまでは山形県士会に所属して仕事をしていました。現在は東北福祉大学健康科学部で教鞭を、せんだんホスピタルでは臨床をと二足のわらじを履いています。山形に自宅があるために毎日奥羽山脈を越えて通勤しています。モンテディオ山形とベガルタ仙台のみちのくダービーでは心が引き裂かれるような思いで応援しています。こちらも二足のわらじです。
専門は精神科作業療法ですので、県士会では精神領域における作業療法の普及・啓発に特に貢献していきたいと考えています。まずは会員互いの実践現場を知り、顔の見える関係を作っていくことが必要だと考えています。
当年とって53歳。ロートルに差しかかっていますが、少ない力を振り絞ってみますのでどうぞよろしくお願いします。

 

③ 新任部長紹介

 

東北保健医療専門学校 藤井貴

この度、学術部長を拝命いたしました、藤井貴と申します。現在は、養成校の教職員として勤務する傍ら、学術部の活動に参画しております。宮城県作療療法士会の学術部は、①「みやぎ作業療法」の企画及び発行②「宮城県作業療法学会」の協力及び支援③「宮城県作業療法研究・事業助成事業」の整備及び周知の3点を主活動として行っております。
ご承知ながら、日本作業療法士協会の定める倫理綱領では「学術的研鑽」が掲げられています。また、職業倫理指針においては、「作業療法の発展と作業療法学に貢献することが期待される」と示されています。専門職としての責務を果たす上において、綱領や指針は、我々が眼目すべきものであると考えます。
しかしながら、専門職に課せられた努力義務と捉える側面だけでなく、我々には作業療法及び作業療法学に寄与する機会が与えられているという理解も可能なのではないでしょうか。会員の皆様方が日々の実践で得た知見について、研究という形でその成果が得られますよう、また、発表する場を提供できますよう、学術部として後方支援してまいる所存です。よろしくお願い申し上げます。

 

④ ◆研修会参加◆ 福祉用具使ってますかっ!!「車いすクッションの選定と適合性」ワークショップ開催に携わって

 

公立黒川病院 今井卓馬

去る平成27年10月31日に仙台市シルバーセンターにて「福祉用具の日」記念イベントが開催されました。今回のイベントは宮城県作業療法士協会 福祉用具相談支援委員会 委員長の大場薫氏による、ワークショップ「車椅子クッションの選定と適合性」、日本シーティングコンサルタント協会 理事の木之瀬隆先生による、セミナー「車椅子シーティングと走行性」の2部構成となっていました。私は今回、福祉用具相談支援委員として1部目のワークショップの運営側として関わらせて頂きました。当日は、参加定員30名を大きく上回る58名の申し込みがあり、遠くは福島、山形から、また一般の方が対象でしたが、施設、病院、在宅サービスに携わる専門職の方の参加もあり、その関心の高さに驚かされました。

福祉用具の日①

福祉用具の日②

 

 

 

 

 

 

今回のワークショップは「車椅子のクッションの特性や利用者への適用をイメージすること」を目的としていました。内容はグループ毎に素材の違う7種のクッションに交代で座り、各自で感想を専用のフローチャートに項目ごとに5段階評価で記入するというシンプルなものでした。クッション素材に対する事前の座学(情報提供)なしに、実際に自分でモノに「触れ」、「座り」、「考える」体験をして頂けたので、今回参加した方々には今後モノを見るキッカケとなって頂ければと思いました。

「車椅子クッションをご利用者の方に提案するのに自分が座ったことがないし、クッションの事、知らないの、いけないなって思って・・・。」「自信なく提案するのは、相手に悪いなと思って今日来たんです!」というケアマネさん。「家族が今度、特養に入所が決まったんです。誰に相談すればいいかわからなくて来ました・・・。」というご家族。今回のワークショップの運営に関わり、福祉用具に対する関心は作業療法士以外の職種、家族も高い!と感じました。ご利用者、家族の方々のためにも、またこの様なワークショップを開催し、今後、県士会の方々と一緒に福祉用具についてお話できる機会があれば良いなと感じました。

 

⑤ ◆研修会参加◆ 第26回東北作業療法学会を通して

 

仙南中央病院 相原笛

今回、二日間にわたって参加した学会では生活行為向上マネジメントについての発表が多く、それを用いることで、治療者と対象者との間で目標のすり合わせができているようだった。障害後、現実的に今後の生活を考えることが難しくなることがあるが、患者さんのニーズに近づくにはどのようなことが必要か、多角的に共に考えられるようになっていると感じた。対話が増え、患者さんから治療目標の合意が得られたり、治療者が勝手に対象者のニーズを決めつけ治療が進められるリスクが減ると思われる。
特別講演の中では作業療法士の多くが様々な要因から機能訓練に重点を置いてしまい、本来の生活行為の向上、社会参加の促しに至っていなかったという事が述べられ、自分自身も改めて作業療法士として患者様をどのように導いていくべきか考えさせられる機会となった。生活行為向上マネジメントを取り入れることで機能訓練だけではなく患者様が望む生活を意識した関わりが持てるのだと事例発表を通して学ぶことができた。
しかし今回の発表の中では当病院のような精神科領域では生活行為向上マネジメントを取り入れた事例はなかった。確かに生活行為向上マネジメントは取り入れてみたいとも思うが、それに沿った進め方をするのは精神科の患者様には難しい点も含まれている。
生活行為向上マネジメントでは意識障害や認知機能障害、妄想などにより患者本人との疎通が困難であると使用が難しいように思われる。本院で使用するイメージも持ちにくい。ただ、日頃から患者さんや他職種にOTについて具体的に理解されづらいことは感じており、生活行為向上マネジメントのOTを「見える化」するという良さは感じている。課題や不安はあるが、まずは挑戦し、どのような結果が得られるか実践してみたいとも感じた。

 

⑥ ◆職場紹介◆ 仙台オープン病院

 

今野菜美子

【病院紹介】
当院は昭和51年に紹介・外来型の医師会病院として設立され、全国で第一号の地域支援病院として地域医療への貢献にも努めています。
診療科目(全19科)
●病床数● 一般病床330床(うち人間ドック10床、救急専用37床)
●リハビリスタッフ数● 理学療法士:3名、作業療法士:1名、言語聴覚士:2名
●リハビリ対象疾患● 消化器・循環器外科疾患、内部障害、廃用症候群、がんなど

【作業療法紹介】
当院では、術後や治療に伴う長期臥床による廃用症候群の進行予防と身体機能・ADLの改善などを目的に、平成22年に現在のリハビリテーション室が開設されました。高齢社会に伴いリハビリテーション(以下、リハビリ)の需要・意義は拡大しており、より多角的なリハビリの実施のため平成26年度より新たに作業療法が始まりました。
現在、当院では手術や内科的治療に伴う廃用症候群、嚥下機能低下による誤嚥性肺炎、がんなどを中心に多岐に渡り作業療法を実施しております。
リハビリ内容としましては、早期の離床・退院を目標に、起きる・立つなど基本的な動作の練習や、食事・排泄など日常的な身の回り動作の練習などを中心にリハビリを実施しております。また、せん妄や認知機能障害を呈した方に対しては、生活リズムの改善や活動性の向上を図るべく、作業活動を通したコミュニケーションや趣味活動の提供等も行っております。
今後、平成30年には救急センター棟を含めた新病棟が完成予定となっております。そのような中で、心大血管リハビリやがんの緩和ケアなどリハビリの拡充を進めるため、リハビリテーション室が一丸となって日々研鑽しております。作業療法としましては、今後新設されるがんの緩和ケアに取り組むため、がんリハビリ研修への参加等の準備を進めております。
病院全景

 

 

 

 

 

 

⑦ ◆職場紹介◆ 仙台市南部発達相談支援センター(南部アーチル)

 

千田由美

【施設紹介】
仙台市発達相談支援センター(以下「アーチル」)は、子どもから大人まで、仙台市に住む発達障害のある方と家族が地域で生活していくための相談支援を行うセンターです。発達障害のある方とその家族が地域で安心して生活するためには、地域の方々や日々関わる支援者などの理解やサポートが必要です。アーチルでは、支援を求めている本人や家族との「早期出会い」と乳幼児期から成人期にわたる「生涯ケア」の実現を目指し、一人一人のニーズに応じて、関係機関と連携しながら一貫した支援を行っています。
※「アーチル」とは「アーチ(橋)」と「パル(仲間)」とをかけたもので、センターが障害のある方と市民の「架け橋」になるようにとの願いを込め、市民公募によってつけていただいた愛称です。南部アーチルは、若林区と太白区にお住まいの方を担当しています。

対象は、脳性麻痺などの運動障害や知的障害、自閉症、学習障害など発達障害やその心配のある乳幼児期から成人期の方とその家族です。そして相談支援は、医師、保健師、保育士、教員、ケースワーカー、心理判定員、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士などがその方のニーズに合わせてチームを編成し行っています。

【乳幼児期の相談支援】
0歳から就学前までの子どもについて、「ことばが遅い」「運動発達が遅い」「動きが多い」「お友達とうまくかかわれない」「発音がはっきりしない」などの相談に応じています。小集団で子どもの育ちに不安を抱えながら子育てしている保護者の「なんで?」「どうして?」「こうなりたい」を一緒に考える場として、初期療育グループによる支援も行っています。

作業療法士もニーズや子どもの状況に合わせて相談に入っており、対象児の状況も未定頸で日常的に医療的ケアのある子や落ち着きのない子、不器用な子と様々です。その中で発達面や神経学的所見、感覚面や遊び、コミュニケーション、ADLなどの評価を行い、来所だけでなく家庭や所属する施設に訪問しての支援も行っています。

 

⑧ ◆つぶやきコーナー◆ 多生の縁

 

仙台青葉学院短期大学 戸田祐子

私は平成3年、病院に併設する形で開設準備中の介護老人保健施設に就職しました。開設準備と並行して、先輩方のいる介護老人保健施設で学ばせていただきました。試行錯誤の毎日でしたが、就職して5年目に初めて5日間の長期研修の機会をいただきました。ただし、宿泊、旅費は自費で・・・。研修開催地は東京と大阪。「自費なら遠慮なく遠くへ行こう!」と大阪の研修に申し込みました。研修参加者は東北からは私のみ、北海道から1名と他はすべて関西、四国、九州地方の方ばかり。既に介護老人保健施設で働いている方、これから開設するために受講している方など年齢も立場も経験年数もバラバラ。それぞれの立場から色々な意見が出て毎日が刺激的でした。
この研修の前年、阪神淡路大震災がありました。研修で親しくなるうちに、震災の被害状況や想像も絶するような体験を聞き、胸が苦しくなりました。と同時に、私は震災復興のために何もしていなかったと後ろめたい気持ちになりました。
研修終了後も連絡を取り合い、東北温泉ツアーを組んで遊びに来るなど交流がありましたが、それぞれライフスタイルの変化に伴い、行き来することが減っていました。今年の年賀状で、メンバーの一人の住所が大阪から岩手県宮古市に変わっていました。何があった?気になり年賀状に書かれていた電話番号にすぐにかけました。すると、彼女は「20年前の震災の時にたくさんの支援をいただいたから、今度は自分が力になりたい」と宮古市で東日本大震災復興事業の一環として活動していました。彼女の職場は、理学療法士Yさんの名前がついています。Yさんは震災時に車椅子の女性を避難させようとして津波に巻き込まれ命を落としたそうです。そしてYさんは、本学の前身であった専門学校の卒業生でもありました。このご縁があって今年8月に約20年ぶりに再会し、彼女からYさんのこと、ご両親との交流の様子を聞きました。直接お会いしたことのないYさんが再び私たちを会わせてくれたように感じました。袖振り合うも多生の縁。思い立って大阪に研修に行って知り合った方とこうしてまた長い時を経て同じ時間と思いを共有できる。人と人との縁とは不思議なものです。どのような関係であってもご縁があってこそ。今何か行動を起こそうか迷っている方、行動の先には人生を彩るご縁が待っているかもしれませんよ。

 

⑨ ◆イクママより◆

 

涌谷町町民医療福祉センター 田邉飛鳥

私は涌谷町町民医療福祉センターに勤務しております、田邉と申します。OT歴、当センター勤務歴共に10年になります。私にとって高校生の時初めてOTを見たのが、当センターであり、更には治療実習もお世話になるという、私のOTのすべてがあるような職場です。
さて、私の子育て…とても書けるようなものはないので、今のバタバタした日々を書いてみたいと思います。
私には4才0才の二人の子供がおり、現在育児休暇中です。4歳の長女は我が強く何でも自分でやりたいお年頃、自分がやる~!!こうやるのぉ~!!→もーいいからー早くしなさーい!!と大騒ぎの毎日。育児書によれば[早くしなさい]は親の都合、時間に余裕を持って…なんて到底できない私の育児です。おしゃべりも達者な娘。そして時々、方言や訛りまで自分の口調にそっくりな事に気付いてはマズイ…と反省する日々。本当に子は親を写す鏡です。子育ての難しさ思い知らされます。
そして、長男0歳、現在やっとの事で入れた保育園の慣らし保育中。ずっと私と一緒だった日々から集団生活の始まり。声が嗄れる程泣いて、私も胸が苦しくなりながらも大丈夫と自分に言い聞かせ送り出す毎日です。風邪をひき、発熱したりと心配事は尽きませんが、少しずつ慣れ保育園でも笑顔をみせるようになりました。
先日の事、長女が長男にトントンしながら、[保育園はねお家の人は居ないけど、先生とかお友達いっぱ~い居るし、紙芝居とかおもちゃとかあるからさみしくないんだよ、大丈夫だからね]と小さな声で言っているのを聞いて思わずウルウルした親バカな私です。娘の弟を思う優しさに触れ、私の子育ても間違ってなかったかな…と少し安心したり、そんな毎日です。
復帰を目前にし、改めて仕事と育児を両立させることができるのは、家族や職場の皆様の理解があっての事です。本当に感謝です。OTとして母として私なりに精進して行きたいと思います。とりとめのない文章をお読みいただきありがとうございました。

編集後記

今年も残りわずかとなり徐々に風も冷たくなってきましたね。テレビをつけると大雪のニュースを目にするようになり、「また冬が来たなぁ」と実感しています。皆様も雪が降った際は運転に気をつけて事故のないようお気を付け下さい。菅原

お知らせ一覧へ戻る