宮城県作業療法士会

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県士会ニュース139号 2016.7.10

2016.07.10
お知らせ

目次

① 平成28年定期総会開催報告 … 畑中一枝
② ONE FOR ALL,ALL FOR ONE … 三浦晃
③ 生涯教育制度の一部改訂について … 紀國谷恵子
④ ◆職場紹介◆ さくらの訪問看護ステーション … 伊藤奈津美
⑤ ◆つぶやきコーナー◆ 義母と暮せば … 藤野あさ子
⑥ OTカフェで語りませんか? … 伊藤智之

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① 平成28年定期総会開催報告

 

事務局長 畑中一枝

平成28年6月5日(日)に定期総会を開催しました。総会時の会員数は休会者を除いて787名となっており、会員数の増加と参加の利便性にも配慮しての会場の選定には毎年悩まされますが、今回は仙台青葉学院短期大学の長町キャンパスを初めてお借りしての開催といたしました。参加された皆様にはいかがだったでしょうか?
総会前には現職者共通研修「作業療法生涯教育概論」を兼ねた新入会希望者向けのオリエンテーションと、財務部による担当者向け会計説明会の開催も行い、当日の参加者数は120名、委任状の提出385通、計総会有効数は505名でした。今回の総会参加数は最近の総会開催としては多いほうではありましたが、全体の会員数から考えると15%(6.5人に1人)、総会議決行使率は69.8%となります。
今回の総会では、役員任期に係る項目等についての定款の改定も承認されております。これは法務局からの指導によるものですが、この改定により、役員の選挙方法がこれまでとは異なる形になります。具体的には、これまでは「会長」「副会長」「理事」「監事」にそれぞれ立候補、投票となっておりましたが、今後は「理事」と「監事」のみの立候補、投票となり、選出された理事の中から互選にて「会長(代表理事)」「副会長」「常任理事」を選出するかたちになります。次回の選挙は来年度の予定となっていますので、今年度中に選挙に関する規程も含め定款施行規則等関連規程の修正を進めていくことにしています。
また、今回の総会に併せ、広報部で公募していた県士会キャラクターについて会員の皆様に投票していただいておりましたが、応募作品の中に他社のキャラクターと類似しているものがあるとの指摘があったため、今回の投票は無効とさせていただきました。今後の対応としましては、指摘のあった作品を候補から外すことと、その他の応募作品についても類似品がないかの確認を行った上で、12月に開催予定の県学会時に再投票を行うことといたしましたので、会員の皆様には大変ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解とご協力をお願いします。
県士会の活動は「県民の保健・医療・福祉の充実及び向上に寄与するため、作業療法士が学術研鑽、技能の向上に努め、リハビリテーションの普及発展を図る事を目的」としています。会の運営を活発にしていくためには、会員個々人の皆さんの協力が必要です。総会では、今年度の各部署の活動計画と予算案も承認されておりますので、参加されなかった会員の皆様にも総会議案書の内容の確認の上、今後の活動への協力をお願いします。

 

② ONE FOR ALL,ALL FOR ONE

企画調整局地域支援班 班長 三浦晃

「生活行為向上マネジメントができる作業療法士に担当をお願いしたい」
「作業療法士は、心身機能を含めて、活動と参加への支援のプロセスを分かりやすく助言してくれる人」
ある県における居宅支援事業所、そして地域ケア会議メンバーからの声である。
昨今の医療・介護・障害・福祉に関する施策の風向きは、地域包括ケアシステムの構築の方向へと、その勢いを強めながら吹いている。この風に乗って、冒頭の話は聞こえてきた。…心が震えた。何故ならば、そこにOTの未来のために汗を流す「あの方々」の姿が浮かんだからだ。
作業療法士以外の方々が、“作業療法”を理解し、自立支援の手段として求めるに至った背景は何だろう?まずは、この現象を紐解くことが大事だ。きっと、“作業療法”が実践できる作業療法士と出逢い、その効果を実感したからではないだろうか。言葉では伝わりにくい“作業療法”の魅力を伝えるには、実際に“作業療法”に触れていただき、その効果を実感してもらうことが大事ではないだろうか。地域包括ケアシステムの構築に作業療法士が貢献していくには、何にも増して、より多くの方々に“作業療法”に触れてもらうこと。これに尽きるのではないだろうか。
このように考えると、作業療法士一人ひとりが取り組むべき3つのアクションが見えてくる。①作業療法が実践できるスキルを学ぶこと、②地域のさまざまな方々と接点をもつこと、③その方々に作業療法の思考や実践に触れていただくこと、である。そして、このアクションの延長線上には、いたる地域で作業療法が積極活用されている未来像が見える。
ご存知だろうか?この「作業療法が積極活用される地域づくりプロジェクト」は、すでに県士会として発動している。平成27年度の半ば、県内の各市町村における地域包括ケアシステム構築に貢献すべく、地域支援班は発足した。平成28年度を迎えるにあたってメンバーを募り、“作業療法が必要とされる地域づくり”のための2ヵ年戦略を策定し、「地域包括ケアシステムおよび地域ケア会議」「介護予防・日常生活支援総合事業」「認知症初期集中支援」「生活行為向上マネジメント」の4つの推進チーム体制で活動中である。新人から大ベテラン、そして理事4名を含む総勢45名超の仲間が生む相乗効果を推進力に、着実に前進している。
「地域包括ケアシステムと作業療法士の関係を知りたい」
「作業療法ができる作業療法士になりたい」
…これは4カ月前、「私なんかがこの班に入ってよいのか…」と言っていた若手OTの言葉である。
「○○さんと一緒に仕事をして、私もOTになりたいと思った」
「私も母と同じOTになろうと思った」
…これは、大ベテランの先輩OTにまつわるエピソードである。
ここ地域支援班内・外での意味ある交流が、心の奥にある作業欲を引き出し、意味ある作業を生むという頼もしい化学反応が起こっている。
「作業療法の真髄って何ですか?」もしも、こう問われたとき、自分なりの言葉でちゃんと答えらえる作業療法士でありたいと思う。
基本的欲求の一つと位置づけられる「作業欲」を引き出し、その方にとっての“意味のある作業”をマッチングすること。この作業欲と意味ある作業とのマッチングによって、今ここにいる自分の存在を肯定できるように導き、元気づくり、健康づくり、やりがいづくり、生きがいづくりを、ともに行っていくことではないだろうか。

 

③ 生涯教育制度の一部改訂について(平成28年度改訂)

 

教育部長  紀國谷恵子

日本作業療法士協会生涯教育制度の一部改訂について、ご周知のことと思いますが、お知らせいたします。日本作業療法士協会ではすべての作業療法士へMTDLPの習得をより強力に推進することを目的に、その研修を生涯教育制度に位置づけられました。(協会が定める生活行為向上マネジメントの研修制度の構造を図に示します。)
<現職者選択研修>
修了には4領域(身障・精神・発達・老年)から2領域選択受講が要件だったものが、生活行為向上マネジメント(MTDLP)基礎研修が必修研修として新たに組み入れられた。
(2016年度以降入会の会員の現職者選択研修修了要件は、MTDLP基礎研修に加え1領域以上の選択研修を受講すること。2015年度までに入会の会員についても、現職者選択研修の修了の有無に限らず、MTDLP基礎研修の受講を推奨とする。受講時に基礎ポイント2Pを付与する。)
<現職者共通研修>
MTDLP実践者研修における事例検討会での発表が、一定の条件により現職者共通研修「10.事例報告に読み替え」が可能となった。
マネジメント図

 

 

 

 

 

 

 

 

 

平成28年度生涯教育共通研修・選択研修の計画(案)

共通研修:例年連続する土日で開催しておりましたが、今年度は7テーマを2回に分けて異なる日程で開催します。
・第1回 10月下旬(3テーマ予定)
・第2回 11月下旬(4テーマ予定)

選択研修:
MTDLP基礎研修
・8月27日(土)、9月24日(土)、10月22日(土)、2月予定
老年期
・2月予定

 

④ ◆職場紹介◆ さくらの訪問看護ステーション

 

伊藤奈津美

【施設紹介】
株式会社さくらの「さくらの訪問看護ステーション」は、笑い声が聞こえる住み慣れたご自宅で「安心して、ゆったりと」過ごして頂きたいとの思いを抱き、平成26年8月にオープンしました。訪問リハビリは平成27年4月から本格的に開始しました。
《スタッフ》 看護師3名、准看護師1名、理学療法士3名、作業療法士1名、事務2名《業務内容》 ご利用者様のご自宅や有料老人ホーム・高齢者専用賃貸住宅等の施設へ訪問し、バイタルチェック、身体機能・ADLの評価と練習、環境調整(福祉機器の紹介・導入、家具の配置検討)などを実施。
《訪問地域》 仙台市、塩釜市、多賀城市、利府町、富谷町
《対象疾患》 脳血管疾患、骨折等の整形外科疾患、廃用症候群、認知症、悪性腫瘍、呼吸器疾患、神経難病(パーキンソン病、脊髄小脳変性症、筋ジストロフィー)等
《職場の位置》 ファミリーマート泉関場店の隣

【リハビリの紹介】
当ステーションにはPT3名、OT1名が在籍しており、対象疾患は脳血管疾患後遺症から神経難病など多岐にわたり、介護保険と医療保険では3:1程となっています。訪問範囲は仙台市を中心に利府町や富谷町まで幅広く訪問しています。
PTとOTの住み分けは特に行っていませんが、OTでは主に認知症がメインの方、高次脳機能障害のある方、福祉用具や住宅改修の必要な方への相談やアドバイス、動作練習、環境調整、自宅での運動指導等を行っています。
生活場面で具体的に困っていることをご本人様やご家族様と共有し、より生活しやすく、その人らしく在宅生活を送れるようリハビリテーションを提供しています。ステーション内には看護師とリハビリ職員が同室にいるため、訪問前後でコミュニケーションを図りながら業務を行っています。
さくらの訪問看護写真

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈住所〉
〒981-3111 仙台市泉区松森字関場26-1
TEL:022-375-1611 FAX:022-375-1612
URL:http://sakurano.sakura.ne.jp/inde

 

⑤ ◆つぶやきコーナー◆ 義母と暮せば

 

松島医療生協 まつしまの郷 藤野あさ子

ウチには、義母がおります。
夫の母、いわゆる姑ですが、ご縁があり一緒に暮らすこと十数年になりました。
なかなかの天然さんです。
下の子が小学校の頃、公園で逆あがりをしている我が子を見て、私もしてみたくなりました。この時、ワタクシ30代後半!結果は、惨敗。あまりのショックに帰宅するなり義母に報告すると「あら~」と。次に出た言葉が
「じゃあ、ばあちゃんも出来ないべか?」
デキナイサ、アナタ、ロクジュウスギテルヨ
義母は私が料理を作っていると、隣に来てじっと見ます。私がいない時、代わりに作れるようにとの配慮からなのですが、嫁としては、じぃ~っと見られて良い気はしません。もう同居して十年過ぎたしと、思い切って言ってみました。
「ばあちゃん、私も嫁だから、お姑さんにこんなに見つめられるとなぁ・・・」
すると「あら、私、姑じゃないから大丈夫」と。次に出た言葉が
「ばあちゃん、お友達だから!」
オトモダチ ダッタノカ~
数々の伝説を持つ義母ですが、私の事をとても可愛がってくれます。仕事にも理解があり、藤野家の主婦として一生懸命です。私といえば、お陰様で震災以降の多忙な毎日を男らしく過ごし、夫には「おまえ、そのうちヒゲが生えてくるんじゃない?」と、言われております。
我が家では、義母の意見が一番です。自然とその様に出来ています。ナゼカシラ・・・?それはやはり「信用」だと思います。
彼女は、主婦という客観的に評価されにくい業務を手抜きする事なく全うします。自分が決めたルールを決して曲げず、365日営業です。そこには信頼と実績、何より愛情があります。「彼女のいうことなら、まず間違いない」いつも、そう思っています。
若い頃は、自分を理解してもらうための「表現力」や「説得力」が欲しいなぁと思ったものでした。もちろん今も思いますが、それだけではない様に感じます。 毎日を誠実に生きていれば「多くを」そして「上手に」語らなくとも何かがついて来るということを教えてもらいました。私のああでもない、こうでもないと悩みながら走る様を見て「この人、間違いないな・・・」と思っていただけるお仕事がしたいものです。

 

⑥ OTカフェで語りませんか?~OTカフェのご案内~

 

事業部長 伊藤智之

OTカフェは、今年度から始まった新しい企画です。
同じ領域で働くOTが集い、語ることで日ごろの悩みや相談ごとを共有し、
明日へとつなげる場です。経験年数は問いません。

今回は精神科領域で働いている もしくは 精神科領域に興味があるOTを対象に行います。第一部は、フィンランドへ視察に行った手代木先生からの「オープンダイアローグ」のご報告、第二部は、ゆったり、お茶を飲みながら、日ごろの思いを語る時間です。

あなたの語りが、仲間のヒントになるかもしれません。
仲間の語りが、あなたの力になるかもしれません。 ぜひ、参加してみませんか?


日 時  平成28年7月23日(土) 14:00~16:00(受付 13:30~)
会 場  東北保健医療専門学校
仙台市青葉区花京院1-3-1(JR仙台駅から徒歩5分)
対 象  宮城県作業療法士会会員で精神科領域にお勤めの方、
精神科領域に興味がある方
内 容  第一部14:05~14:35「フィンランドオープンダイアローグ視察報告」
講師 宮城県立精神医療センター 作業療法士 手代木 理 先生
第二部14:45~15:50「OT語り場」
少人数でのグループワークを予定しています
会 費  500円  *生涯教育ポイント2ポイント
申 込  メールにて 件名「OTカフェ参加申込」 本文①氏名 ②会員番号、所属
③経験年数 ④懇親会参加の有無 を記入しotjigyou※yahoo.co.jp に送信してください
締 切  平成28年7月19日(火)
お問い合わせ 金子 愛(鹿島記念病院)0225-73-2420 a.kaneko※kaihokai.or.jp

*メールアドレスは※を@に変えて送信してください

*当日17:00より、仙台駅周辺で会費4,000円にて懇親会を予定しています。
懇親会からの参加も可能です。

編集後記

2016年も残すところ半年となりました。歳を重ねるたびに1年、1ヶ月、1週間、1日がすぐ過ぎ去ってしまうように感じ、厄年もあと半年かと思うと、なんとか無事に乗り切れるような気がしています。慌ただしい日々でも、ただなんとなく過ごしてしまわぬよう、自分の中の長期目標や短期目標を見直し、残りの半年を有意義に過ごしていきたいと思います。義野

県士会ニュース138号 2016.3.1

2016.03.01
県士会ニュース

目次

① 県士会活動への誘い … 大貫操
② 新理事紹介 … 伊藤智之
③ 新理事紹介 … 山田孝弘
④ ◆職場紹介◆ エバーグリーン病院 … 長谷亜哉
⑤ ◆つぶやきコーナー◆ 「いろんな意味で日々モヤモヤ?!!」 … 仙石健治
⑥ ◆イクママより◆ 丸山美希

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① 県士会活動への誘い

 

副会長 大貫操

宮城県作業療法士会の理事になって約13年。副会長を拝命して3年が経過しようとしている。最初は県士会がどんな役割を担っているのかもわからずに、先輩の皆さんのサポートをする事しかできなかった。既存の組織に対しても方向性にも疑問をもつ事もできなかった。若い作業療法士のために貢献できる事、県民に作業療法を身近に感じてもらうこと、が理事の仕事を引き受けたときのテーマだったので「できることをやる」のが私のスタンスだった。
新人時代を考えると、養成校を卒業して、札幌に就職したが、先輩に引っ張りだされて新人でも士会の仕事をするのは普通の事だった。何もできないと思っていても、指導してもらってできる事はあるし、他病院・事業所に知り合いが増えていく事で、仕事の悩みが解決したり、多くの知識を得たり、いいきっかけをいただき、たくさんの先輩に育てていただいたと思う。
仙台に戻っても同じく、理事を続けるうちにできたネットワークは、OTとしての仕事をいつも助けてくれた。地域で仕事をする事が多かったので、対象者の望む生活の実現に、幅広く支援を提案できたり、必要な人に繋ぐ事ができたり、OTとしての知識技術は格段向上したと思っている。すべての仕事において必要な事であるが、OTの仕事にはネットワークが重要だと思う。
県士会の目的は、緑色の表紙の定期総会議案書の後半にある「定款」の第3条を見ていただきたいが「県民の保健・医療・福祉の充実及び向上に寄与するため、作業療法士が学術研鑽、技能の向上に努め、リハビリテーションの普及発展を図る事を目的とする」となっている。県内で働くすべてのOTのみなさんに県士会活動に協力いただかなければ、この目的は達成できない。
個々人がその領域において作業療法士として確実に成果を上げる事、関わる人の役に立つことが、作業療法の最高の広報=啓蒙につながる。時に自分の仕事を、客観的に、そして俯瞰してみることは大事な事だ。本当に成果を上げられているのか、他者にどのように伝わっているのか。その作業が、きっと県士会の仕事に関わる事でできると思う。県民のために何ができるのか考え、今OTに求められている事は何かを知りながら県士会活動をやって行く中で、OTの立ち位置を知る事が多い。
皆さんも県士会活動の中で試行錯誤してみませんか?今は職場での仕事に忙しく何もできないと思っている方、チャレンジすると悩みが解決される、新しい知識が増える、たくさんの新しい先輩ができる等々のメリットもあります。
「いつもあなたのそばに作業療法士」。これから数十年後の未来にもOTの活躍の場が広がっていくように、県民にとって身近な職種となるように、皆さんの力を貸して下さい!

 

② 新理事紹介

 

長町病院 伊藤智之

こんにちわ、長町病院の伊藤です。平成27年5月より、宮城県作業療法士会の理事をさせていただいています。私が当士会へ入会したのは2003年だったと記憶しています。それまでは他の士会を2ヶ所ほど渡り歩いてきました。
長町病院と聞くと回復期病棟というイメージが強いかもしれませんが、当院では訪問リハと通所リハにも関わっており、私も一昨年より介護部門で仕事をさせていただいています。昨年の介護報酬改定では、新しい書式や運用を考えたりと忙しい日々だったと思い出します。
話は戻りますが、私は6年ほど前に仙台南・名取ブロックのブロック長をさせていただきましたが、ブロックの主となる目的として、地域での会員同士の繋がりを作るという事でした。その事により患者様・利用者様が急性期から生活期まで円滑に移行できるだろうと考えていました。地域での横の繋がりが増えるようにと、ブロックの活動として、定期的な症例検討、また時期別アプローチの症例報告、そして懇親会など行ってきました。その甲斐あって繋がりができてきたと思いますが、当ブロックに在籍しているOT数から考えると参加会員が少ないのが現状です。
今後、さらに横の繋がりが増えるよう、県士会やブロックでの活動を支援していきたいと思っていますので宜しくお願いします。県士会の中には経験が豊富な先輩やある事が得意なOTも沢山いますので、ぜひ士会での人脈を増やし、楽しくそして作業療法士が活躍できる場を皆さんで増やしていきましょう。

 

③ 新理事紹介

 

西仙台病院 山田孝弘

県士会の皆様、はじめまして。今年度より理事を務めさせて頂いております山田と申します。
私はこれまで身体・精神障害、医療・介護保険を問わず、様々な領域・分野にて業務を行ってきました。現在はIMSグループ 医療法人財団 明理会 西仙台病院にて主に老年期障害分野にて臨床に携わっており、平行して研修会の講師や一般の方に作業療法を普及・啓発する活動を行わせて頂いております。
私には夢があります。それは「どんな障害、どんな問題にも対応出来る幅広い専門性をもった作業療法士」になることです。私が作業療法士としてのキャリアを始めたころに比べ、現在はその活躍の場は間違いなく広がっており、同時に求められるものもより多様化していると感じています。また、作業療法士はその対象となる方の可能性を引き出し、希望ある未来に繋げてくれる素晴らしい仕事だと思います。そのような観点から県士会のお力になれるように、また皆様に少しでも貢献できるように理事の業務を全うしていきたいと考えております。
これからも皆様にお会いする機会が多いかと思いますので、その際気軽に声を掛けて頂けると嬉しいです。是非今後とも宜しくお願い致します。

 

④ ◆職場紹介◆ エバーグリーン病院

 

長谷亜哉

【病院紹介】
<診療科目>一般精神科外来
<病床数>精神科療養病棟:100床(2病棟) 認知症治療病棟:100床(2病棟)
<デイケア定員>重度認知症患者デイケア:50名
<リハスタッフ数>作業療法士(常勤)7名  (非常勤)1名
理学療法士(常勤)1名
<OT業務内容>精神科作業療法、生活機能回復訓練、デイケアでのOT提供
<リハ対象疾患>認知症(アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体性認知症、前頭側頭型認知症 他)、脳血管疾患後遺症、廃用症候群 など

【リハビリテーション部の紹介】
当院では、認知症の方の主体的な生活の実現や住み慣れた場所で生活を続けられるよう、入院部門・通所部門において支援を行っております。
入院部門は4病棟(各50床)あり、病棟ごとにさらに12~13名単位で4つのユニットを形成しユニットケアを行っています。認知症治療病棟では50名に対しOT1名が、精神科療養病棟では50名に対しOT2名が担当とし配置されています。
その中で認知症治療病棟においては、多職種による生活機能回復訓練の動きの中で、CWやNrsなど他職種と情報収集を積極的に行いながら日常生活動作の中での支援方法(基本動作、ADL動作、余暇時間の過ごしかた等)を発信するなど対象者の生活時間のマネジメントを行うことや活動性の向上、生活リズムの構築を目的としユニット内外での集団体操等の活動提供を行っています。病棟を超えた他者交流の場や役割活動の提供を目的とし院内喫茶「あおば」という喫茶店の運営を行い、その方の能力や役割としてできることを多くの方に知ってもらったり、他の方に役立つことができることを体験してもらったりする取り組みも行っています。また今年1月からはPTも配属になり、認知症患者リハビリテーション料での関わりも開始しました。精神科療養病棟においては活動性の向上、生活リズムの構築を目的とし1~2ユニット単位での集団体操や小集団活動(創作活動、運動クラブ等)等を行っています。また必要に応じてROMexや歩行練習、ポジショニング等必要な個別練習等も行っています。
通所部門では定員50名に対し2名のOTが配置され、毎日20~30名の対象者が利用されています。デイ利用時間を心地よく過ごす事で帰宅後も穏やかに過ごせるよう他職種職員に情報発信しながら支援を行っています。医療保険下で運営されるデイですが、介護保険サービスと併用される対象者がほとんどである為、それらのサービスの利用状況も踏まえながら家族様の介護負担軽減に向け情報提供も行っています。また昨年10月より当院周辺地域を対象とした認知症カフェ「てらおかふぇ」を開催し、地域住民の認知症への理解を深めることや認知症の方を介護する家族を支援していく取り組みも始めています。

職場紹介エバーグリーン病院

 

 

 

 

 

 

 

⑤ ◆つぶやきコーナー◆ 「いろんな意味で日々モヤモヤ?!!」

 

涌谷町町民医療福祉センター 仙石健治

先日(11月初めだったかな?)、広報部のHさんからの久しぶりの電話があり、何かいい話かと思いきや内容は何と「原稿依頼!!」。他からの依頼なら即答で断るところをHさんからの頼みでもあり、今回も快諾(笑)。いろんな人に「言いたいこと」「書きたいこと」は沢山ありすぎて、何を書くか悩んでしまった(心の中ではモヤモヤ感がいっぱい!!)。
まずは最近の近況を報告しよう。私の身体的な変化としては、目は近眼・老眼、耳はやや難聴。大分前に訪問リハ勤務時に捻挫した右足関節が、天気・疲労で時々痛む。肩は交互に五十肩でほぼ年中痛く、腰痛も再発。12月初めには仕事中に肋骨にヒビが入り、完治しないままの年越し。そして元日から風邪を引き、仕事始めはかすれ声。そして、完治するのに1か月もかかってしまうありさま(ん~年を取った感じがするなあ)。気が滅入りながらも担当ケースとはしっかり向き合っている。
この原稿の依頼があった後にやっと担当ケースが減り、その他の業務も一段落して気分的に少しほっとしていた。だが、そんな状況はそう長くは続くはずがなく、東北厚生局の監査、地区の在宅医療に関する懇談会、今年度の実績の検証、来年度の計画など年明けからバタバタした日々を送っている。春から秋までずっと担当ケースが多い中で、学生指導、管理業務、他部署との調整、上司との打ち合わせ、各種会議等々。10年前なら難なく複数の課題を処理できていたことだが、徐々に処理能力スピードも遅くなり、忘れることもたびたび(ため息の連発)。しかし、中堅以上のOT、PTがしっかり役割を果たしてくれているので、いつも助けられている。・・・スタッフに恵まれているなあと常々感じている(感謝!感謝!!)
当施設は複合施設で行政の仕事や外部の関係機関との関わりも深い。このような環境の中で、私たちは常にリハビリ専門職としての「プロ意識」を持って、患者・住民に接している。そのためには、OTとしての基礎知識以外に、「自分で考える」「主体的に学ぶ」「失敗して次に活かす」「自ら聞いて覚える」「その場の空を読む」「周りのスタッフへの気遣い(協調性含め)」などの姿勢・態度・行動が必要である(このことは、いつも実習生に言っていることでもある)。
みんなも一度、今の自分の「OTとしての仕事」「行動」を見つめ直してみてはどうか?
私もこの原稿を書きながら過去を振り返り思ったことは、患者・利用者・住民のため、地域のため、職場のため、若いリハスタッフのために、もう一踏ん張りしなきゃいけないなと思ったことである。
今回はこのあたりで「ぼやき」でもあり、「つぶやき」を終わりにしておこう。まだまだ「言いたいこと」はたくさんあるが、また機会があったら書くことにしよう。

 

⑥ ◆イクママより◆

 

東北薬科大学病院 丸山美希

東北薬科大学病院に勤めている4年目の丸山と申します。現在駆け出しの新米ママです。妊娠中は特にイクメン・イクママのページを見ることを楽しみにしていましたが、自分が書くとなると何を書いたらいいのか迷ってしまったので、子供が産まれてから感じたことを書いてみました。
私は昨年の秋に長女が産まれました。出生時、少し小さく産まれた娘は一時保育器に入っていました。現在は体重も倍になり、首もすわり寝返りの練習に意欲的でどう寝返ろうか試行錯誤の毎日のようです。私も体を誘導したり、おもちゃで気をひいたりしてまるでリハビリしている感覚になって過ごしています(笑)。
育児のことは決して甘く見ていたわけではないけれど、数時間置きの授乳、オムツ交換、寝ぐずり、理由もわからないぐずぐず…自分の生活リズムが一変し産まれてすぐはその生活に慣れることと育児で精一杯でした。育児書通りにいかない育児に追われ、退院後1ヶ月は正直“育てる”ということに必死で自分の子供という実感は湧かない時期だった気がします。
それでも娘は成長していきます。少しずつ出来ることが増え、生後3ヶ月になる頃には私に微笑みかけてくれるようになりやっと母としての実感が湧いてきました。子供が笑顔を見せると今までの大変なことは帳消しになるとよく聞きますが本当にその通りでした。
産休をいただいてから半年が経とうとしていますが、日常生活に作業療法はありふれてるなと職場を離れてから特に実感することが多くなりました。娘が産まれ私は母という新たな社会の役割を獲得しました。また、娘もこの世に産まれ日々学び“ヒト”としての役割を模索中です。妻であり、母であり、職員でありそれぞれの立場は違うけれど社会を形成し、環境に適応するように生活しているのだと思います。
私も育児をしているからか最近ニュースや、ドラマで出産・育児の話題がよく目にとまるようになった気がします。それぞれ環境や生き方が異なり本当に子育ては十人十色だと実感します。娘と一緒に生活していく中で今度は母としての観点を取り入れたOTが復帰後に行えるよう、娘の成長に置いて行かれないよう育児に今日も奮闘しています!

編集後記

今号のトップ記事、県士会活動への誘いに通じますが、私は縁あって(先輩に誘われて)1年目から広報部に所属しています。今年度は7年目でした。7年間の県士会活動を振り返ってみると、誘われて始めたものではありましたが、次第に自分の役割だという自覚が生まれ、取り組む中での経験が、自分を成長させてくれたと思います。まだ、絶やさず発行することに精一杯で失敗も多いですが、原稿作成へのご協力をしてくださる方への感謝の気持ちを忘れずに取り組んでいきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。川勝

県士会ニュース137号 2015.12.10

2015.12.10
県士会ニュース

目次

① 新副会長挨拶 … 大内義隆
② 新理事紹介 … 稲毛義憲
③ 新任部長紹介 … 藤井貴
④ ◆研修会参加◆ 福祉用具使ってますかっ!!「車いすクッションの選定と適合性」ワークショップ開催に携わって … 今井卓馬
⑤ ◆研修会参加◆ 第26回東北作業療法学会を通して … 相原笛
⑥ ◆職場紹介◆ 仙台オープン病院 … 今野菜美子
⑦ ◆職場紹介◆ 仙台市南部発達相談支援センター … 千田由美
⑧ ◆つぶやきコーナー◆ 多生の縁 … 戸田祐子
⑨ ◆イクママより◆ 田邉飛鳥

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① 新副会長挨拶

 

介護老人保健施設なとり 大内義隆

作業療法士として19年目になり、福島県にある枡記念病院から宮城県の介護老人保健施設なとりに移ってからは、約13年が経ちました。宮城県作業療法士会の主な活動としては、平成23年度から理事(学術部長)として関わらせていただき、今年度からは副会長に任命いただきました。
さて、平成27年度の介護保険改定は、リハビリテーションの原点回帰とも言われています。リハビリテーションの本来の目的であるより良い生活や人生の構築に向けて計画的に取り組むことが重要視されています。その中で生活行為向上マネジメント(MTDLP)のコンセプトが反映された生活行為向上リハビリテーション加算の新設に代表されるように、作業療法に対する期待が高まっているように感じています。一方で、各現場の状況としては、作業療法士と理学療法士のプログラムに差がないなどというデータも示され、われわれ作業療法士は、その役割を見つめ直すことが必要となってきています。
宮城県においては、平成27年度から宮城県地域包括ケア推進協議会を設立しました。これは、京都、広島に次いで、全国でも三番目の取り組みです。村井知事をトップに、宮城県医師会、地域包括支援センター連絡協議会、ケアマネジャー協会など官民46団体が参加しています。私自身も、宮城県作業療法士会の代表として、道又会長とともに委員となっています。そのような中で、宮城県や各市町村との関わりも増えてきており、リハビリテーション専門職として、理学療法士や言語聴覚士との連携、医師や看護師、介護支援専門員との連携を図ることは重要です。しかしながら、先に述べたように、作業療法士の役割が周囲に理解されない中で、また各現場で作業療法士が作業療法を実践出来ていない中で、意味のある連携を構築することは出来ません。
私は、作業療法士の活躍の場は、今まで以上に広がっていくと信じています。そのためにも宮城県作業療法士会としては、「作業療法士の形」を共有しながら、会員の皆様と共に学び、地域貢献していくための仕組み作りが必要と思っております。
今後とも、県士会活動に対する皆様の積極的な参加をお待ちしております。よろしくお願い致します。

 

② 新理事紹介

 

東北福祉大学 稲毛義憲

はじめまして、という方が多いかと思います。
宮城県士会に入会したのが平成20年4月。それまでは山形県士会に所属して仕事をしていました。現在は東北福祉大学健康科学部で教鞭を、せんだんホスピタルでは臨床をと二足のわらじを履いています。山形に自宅があるために毎日奥羽山脈を越えて通勤しています。モンテディオ山形とベガルタ仙台のみちのくダービーでは心が引き裂かれるような思いで応援しています。こちらも二足のわらじです。
専門は精神科作業療法ですので、県士会では精神領域における作業療法の普及・啓発に特に貢献していきたいと考えています。まずは会員互いの実践現場を知り、顔の見える関係を作っていくことが必要だと考えています。
当年とって53歳。ロートルに差しかかっていますが、少ない力を振り絞ってみますのでどうぞよろしくお願いします。

 

③ 新任部長紹介

 

東北保健医療専門学校 藤井貴

この度、学術部長を拝命いたしました、藤井貴と申します。現在は、養成校の教職員として勤務する傍ら、学術部の活動に参画しております。宮城県作療療法士会の学術部は、①「みやぎ作業療法」の企画及び発行②「宮城県作業療法学会」の協力及び支援③「宮城県作業療法研究・事業助成事業」の整備及び周知の3点を主活動として行っております。
ご承知ながら、日本作業療法士協会の定める倫理綱領では「学術的研鑽」が掲げられています。また、職業倫理指針においては、「作業療法の発展と作業療法学に貢献することが期待される」と示されています。専門職としての責務を果たす上において、綱領や指針は、我々が眼目すべきものであると考えます。
しかしながら、専門職に課せられた努力義務と捉える側面だけでなく、我々には作業療法及び作業療法学に寄与する機会が与えられているという理解も可能なのではないでしょうか。会員の皆様方が日々の実践で得た知見について、研究という形でその成果が得られますよう、また、発表する場を提供できますよう、学術部として後方支援してまいる所存です。よろしくお願い申し上げます。

 

④ ◆研修会参加◆ 福祉用具使ってますかっ!!「車いすクッションの選定と適合性」ワークショップ開催に携わって

 

公立黒川病院 今井卓馬

去る平成27年10月31日に仙台市シルバーセンターにて「福祉用具の日」記念イベントが開催されました。今回のイベントは宮城県作業療法士協会 福祉用具相談支援委員会 委員長の大場薫氏による、ワークショップ「車椅子クッションの選定と適合性」、日本シーティングコンサルタント協会 理事の木之瀬隆先生による、セミナー「車椅子シーティングと走行性」の2部構成となっていました。私は今回、福祉用具相談支援委員として1部目のワークショップの運営側として関わらせて頂きました。当日は、参加定員30名を大きく上回る58名の申し込みがあり、遠くは福島、山形から、また一般の方が対象でしたが、施設、病院、在宅サービスに携わる専門職の方の参加もあり、その関心の高さに驚かされました。

福祉用具の日①

福祉用具の日②

 

 

 

 

 

 

今回のワークショップは「車椅子のクッションの特性や利用者への適用をイメージすること」を目的としていました。内容はグループ毎に素材の違う7種のクッションに交代で座り、各自で感想を専用のフローチャートに項目ごとに5段階評価で記入するというシンプルなものでした。クッション素材に対する事前の座学(情報提供)なしに、実際に自分でモノに「触れ」、「座り」、「考える」体験をして頂けたので、今回参加した方々には今後モノを見るキッカケとなって頂ければと思いました。

「車椅子クッションをご利用者の方に提案するのに自分が座ったことがないし、クッションの事、知らないの、いけないなって思って・・・。」「自信なく提案するのは、相手に悪いなと思って今日来たんです!」というケアマネさん。「家族が今度、特養に入所が決まったんです。誰に相談すればいいかわからなくて来ました・・・。」というご家族。今回のワークショップの運営に関わり、福祉用具に対する関心は作業療法士以外の職種、家族も高い!と感じました。ご利用者、家族の方々のためにも、またこの様なワークショップを開催し、今後、県士会の方々と一緒に福祉用具についてお話できる機会があれば良いなと感じました。

 

⑤ ◆研修会参加◆ 第26回東北作業療法学会を通して

 

仙南中央病院 相原笛

今回、二日間にわたって参加した学会では生活行為向上マネジメントについての発表が多く、それを用いることで、治療者と対象者との間で目標のすり合わせができているようだった。障害後、現実的に今後の生活を考えることが難しくなることがあるが、患者さんのニーズに近づくにはどのようなことが必要か、多角的に共に考えられるようになっていると感じた。対話が増え、患者さんから治療目標の合意が得られたり、治療者が勝手に対象者のニーズを決めつけ治療が進められるリスクが減ると思われる。
特別講演の中では作業療法士の多くが様々な要因から機能訓練に重点を置いてしまい、本来の生活行為の向上、社会参加の促しに至っていなかったという事が述べられ、自分自身も改めて作業療法士として患者様をどのように導いていくべきか考えさせられる機会となった。生活行為向上マネジメントを取り入れることで機能訓練だけではなく患者様が望む生活を意識した関わりが持てるのだと事例発表を通して学ぶことができた。
しかし今回の発表の中では当病院のような精神科領域では生活行為向上マネジメントを取り入れた事例はなかった。確かに生活行為向上マネジメントは取り入れてみたいとも思うが、それに沿った進め方をするのは精神科の患者様には難しい点も含まれている。
生活行為向上マネジメントでは意識障害や認知機能障害、妄想などにより患者本人との疎通が困難であると使用が難しいように思われる。本院で使用するイメージも持ちにくい。ただ、日頃から患者さんや他職種にOTについて具体的に理解されづらいことは感じており、生活行為向上マネジメントのOTを「見える化」するという良さは感じている。課題や不安はあるが、まずは挑戦し、どのような結果が得られるか実践してみたいとも感じた。

 

⑥ ◆職場紹介◆ 仙台オープン病院

 

今野菜美子

【病院紹介】
当院は昭和51年に紹介・外来型の医師会病院として設立され、全国で第一号の地域支援病院として地域医療への貢献にも努めています。
診療科目(全19科)
●病床数● 一般病床330床(うち人間ドック10床、救急専用37床)
●リハビリスタッフ数● 理学療法士:3名、作業療法士:1名、言語聴覚士:2名
●リハビリ対象疾患● 消化器・循環器外科疾患、内部障害、廃用症候群、がんなど

【作業療法紹介】
当院では、術後や治療に伴う長期臥床による廃用症候群の進行予防と身体機能・ADLの改善などを目的に、平成22年に現在のリハビリテーション室が開設されました。高齢社会に伴いリハビリテーション(以下、リハビリ)の需要・意義は拡大しており、より多角的なリハビリの実施のため平成26年度より新たに作業療法が始まりました。
現在、当院では手術や内科的治療に伴う廃用症候群、嚥下機能低下による誤嚥性肺炎、がんなどを中心に多岐に渡り作業療法を実施しております。
リハビリ内容としましては、早期の離床・退院を目標に、起きる・立つなど基本的な動作の練習や、食事・排泄など日常的な身の回り動作の練習などを中心にリハビリを実施しております。また、せん妄や認知機能障害を呈した方に対しては、生活リズムの改善や活動性の向上を図るべく、作業活動を通したコミュニケーションや趣味活動の提供等も行っております。
今後、平成30年には救急センター棟を含めた新病棟が完成予定となっております。そのような中で、心大血管リハビリやがんの緩和ケアなどリハビリの拡充を進めるため、リハビリテーション室が一丸となって日々研鑽しております。作業療法としましては、今後新設されるがんの緩和ケアに取り組むため、がんリハビリ研修への参加等の準備を進めております。
病院全景

 

 

 

 

 

 

⑦ ◆職場紹介◆ 仙台市南部発達相談支援センター(南部アーチル)

 

千田由美

【施設紹介】
仙台市発達相談支援センター(以下「アーチル」)は、子どもから大人まで、仙台市に住む発達障害のある方と家族が地域で生活していくための相談支援を行うセンターです。発達障害のある方とその家族が地域で安心して生活するためには、地域の方々や日々関わる支援者などの理解やサポートが必要です。アーチルでは、支援を求めている本人や家族との「早期出会い」と乳幼児期から成人期にわたる「生涯ケア」の実現を目指し、一人一人のニーズに応じて、関係機関と連携しながら一貫した支援を行っています。
※「アーチル」とは「アーチ(橋)」と「パル(仲間)」とをかけたもので、センターが障害のある方と市民の「架け橋」になるようにとの願いを込め、市民公募によってつけていただいた愛称です。南部アーチルは、若林区と太白区にお住まいの方を担当しています。

対象は、脳性麻痺などの運動障害や知的障害、自閉症、学習障害など発達障害やその心配のある乳幼児期から成人期の方とその家族です。そして相談支援は、医師、保健師、保育士、教員、ケースワーカー、心理判定員、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士などがその方のニーズに合わせてチームを編成し行っています。

【乳幼児期の相談支援】
0歳から就学前までの子どもについて、「ことばが遅い」「運動発達が遅い」「動きが多い」「お友達とうまくかかわれない」「発音がはっきりしない」などの相談に応じています。小集団で子どもの育ちに不安を抱えながら子育てしている保護者の「なんで?」「どうして?」「こうなりたい」を一緒に考える場として、初期療育グループによる支援も行っています。

作業療法士もニーズや子どもの状況に合わせて相談に入っており、対象児の状況も未定頸で日常的に医療的ケアのある子や落ち着きのない子、不器用な子と様々です。その中で発達面や神経学的所見、感覚面や遊び、コミュニケーション、ADLなどの評価を行い、来所だけでなく家庭や所属する施設に訪問しての支援も行っています。

 

⑧ ◆つぶやきコーナー◆ 多生の縁

 

仙台青葉学院短期大学 戸田祐子

私は平成3年、病院に併設する形で開設準備中の介護老人保健施設に就職しました。開設準備と並行して、先輩方のいる介護老人保健施設で学ばせていただきました。試行錯誤の毎日でしたが、就職して5年目に初めて5日間の長期研修の機会をいただきました。ただし、宿泊、旅費は自費で・・・。研修開催地は東京と大阪。「自費なら遠慮なく遠くへ行こう!」と大阪の研修に申し込みました。研修参加者は東北からは私のみ、北海道から1名と他はすべて関西、四国、九州地方の方ばかり。既に介護老人保健施設で働いている方、これから開設するために受講している方など年齢も立場も経験年数もバラバラ。それぞれの立場から色々な意見が出て毎日が刺激的でした。
この研修の前年、阪神淡路大震災がありました。研修で親しくなるうちに、震災の被害状況や想像も絶するような体験を聞き、胸が苦しくなりました。と同時に、私は震災復興のために何もしていなかったと後ろめたい気持ちになりました。
研修終了後も連絡を取り合い、東北温泉ツアーを組んで遊びに来るなど交流がありましたが、それぞれライフスタイルの変化に伴い、行き来することが減っていました。今年の年賀状で、メンバーの一人の住所が大阪から岩手県宮古市に変わっていました。何があった?気になり年賀状に書かれていた電話番号にすぐにかけました。すると、彼女は「20年前の震災の時にたくさんの支援をいただいたから、今度は自分が力になりたい」と宮古市で東日本大震災復興事業の一環として活動していました。彼女の職場は、理学療法士Yさんの名前がついています。Yさんは震災時に車椅子の女性を避難させようとして津波に巻き込まれ命を落としたそうです。そしてYさんは、本学の前身であった専門学校の卒業生でもありました。このご縁があって今年8月に約20年ぶりに再会し、彼女からYさんのこと、ご両親との交流の様子を聞きました。直接お会いしたことのないYさんが再び私たちを会わせてくれたように感じました。袖振り合うも多生の縁。思い立って大阪に研修に行って知り合った方とこうしてまた長い時を経て同じ時間と思いを共有できる。人と人との縁とは不思議なものです。どのような関係であってもご縁があってこそ。今何か行動を起こそうか迷っている方、行動の先には人生を彩るご縁が待っているかもしれませんよ。

 

⑨ ◆イクママより◆

 

涌谷町町民医療福祉センター 田邉飛鳥

私は涌谷町町民医療福祉センターに勤務しております、田邉と申します。OT歴、当センター勤務歴共に10年になります。私にとって高校生の時初めてOTを見たのが、当センターであり、更には治療実習もお世話になるという、私のOTのすべてがあるような職場です。
さて、私の子育て…とても書けるようなものはないので、今のバタバタした日々を書いてみたいと思います。
私には4才0才の二人の子供がおり、現在育児休暇中です。4歳の長女は我が強く何でも自分でやりたいお年頃、自分がやる~!!こうやるのぉ~!!→もーいいからー早くしなさーい!!と大騒ぎの毎日。育児書によれば[早くしなさい]は親の都合、時間に余裕を持って…なんて到底できない私の育児です。おしゃべりも達者な娘。そして時々、方言や訛りまで自分の口調にそっくりな事に気付いてはマズイ…と反省する日々。本当に子は親を写す鏡です。子育ての難しさ思い知らされます。
そして、長男0歳、現在やっとの事で入れた保育園の慣らし保育中。ずっと私と一緒だった日々から集団生活の始まり。声が嗄れる程泣いて、私も胸が苦しくなりながらも大丈夫と自分に言い聞かせ送り出す毎日です。風邪をひき、発熱したりと心配事は尽きませんが、少しずつ慣れ保育園でも笑顔をみせるようになりました。
先日の事、長女が長男にトントンしながら、[保育園はねお家の人は居ないけど、先生とかお友達いっぱ~い居るし、紙芝居とかおもちゃとかあるからさみしくないんだよ、大丈夫だからね]と小さな声で言っているのを聞いて思わずウルウルした親バカな私です。娘の弟を思う優しさに触れ、私の子育ても間違ってなかったかな…と少し安心したり、そんな毎日です。
復帰を目前にし、改めて仕事と育児を両立させることができるのは、家族や職場の皆様の理解があっての事です。本当に感謝です。OTとして母として私なりに精進して行きたいと思います。とりとめのない文章をお読みいただきありがとうございました。

編集後記

今年も残りわずかとなり徐々に風も冷たくなってきましたね。テレビをつけると大雪のニュースを目にするようになり、「また冬が来たなぁ」と実感しています。皆様も雪が降った際は運転に気をつけて事故のないようお気を付け下さい。菅原

県士会ニュース136号 2015.9.13

2015.09.13
県士会ニュース

目次

① 新会長挨拶 … 道又顕
② 第49回日本作業療法学会を通して … 虎岩辰弥
③ 高次脳機能障害者への自動車運転再開への取り組み … 菅野俊一郎
④ イクメンより … 高橋典雅
⑤ つぶやきコーナー:Sさんのこと … 神先美紀

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① 新会長挨拶

 

広南病院 道又顕

今年度の総会で選任され、6月1日付で会長職を拝命いたしました道又です。会員の皆様、宜しくお願い致します。県士会活動では平成16年度から学術部で活動してきました。平成18年度から理事として、平成23年度からは副会長として県士会の役員を務めてきました。その中で宮城県作業療法士会のことをどのくらい理解して活動してきたのだろうと、今回、宮城県作業療法士会の歴史を振り返ってみました。私もそうですが、若い会員の皆様はあまりご存じない方も多いと思いますので紹介したいと思います。

宮城県作業療法士会は昭和57年(1982年)に任意団体として設立されました。この時の理事数は1名(会長のみ)、会員数は17名でした。初代会長の秋藤一夫先生は7期13年間の任期を務めていたようです。2代目会長の大橋秀行先生は1期2年、3代目会長は現在の日本作業療法士協会副会長で精神医療センターの香山明美先生です。2期4年の任期を務めていました。4代目会長は再び大橋秀行先生が1期2年務めています。平成15年度からは5代目会長として、東北福祉大学の佐藤善久先生が3期6年務めました。この頃にちょうど法人格取得に関する議論が行われました。そして平成21年度から昨年度まで、6代目の会長として東北保健医療専門学校の上遠野純子先生が3期6年間を務めました。会員数の変化としては発足当初の17名から10年で62名、20年で283名、30年で711名と増加しています。そして現在の会員数は807名となっています。この人数の力を集結して職能団体として社会貢献に寄与できることは何でしょうか?会員の皆様と一緒にさらに考えていきたいと思っております。

刻々と過ぎる日々、世の中は変化してきています。日本は諸外国に例を見ないスピードで「少子高齢化」が進んでいます。このことは現在の社会問題となり、国の政策として地域包括ケアシステムが構築されていることは皆様がご存じのことと思います。昨年度よりブロック会を中心に地域包括ケアシステムに作業療法士として県士会としてどう関わっていくべきかをお話ししてまいりました。また、県の会議などに出席するたびに、行政施策の大きな変遷により、地域社会での作業療法士を含めたリハビリテーション専門職への期待は高くなってきていることを感じております。まだまだ、不十分ではありますが県や各市町村の要請に応えられるように、組織および人材育成を進めている所です。会員の皆様のご協力の程、引き続き宜しくお願いします。

最後になりますが「継往開来」という言葉があるように、過去の歴史を振り返り、先人が取り組んできた事業を受け継ぎ発展させながら未来を切り開いていくことが必要だと考えております。そのためには個人の力だけではなく全体の力を結集して取り組んでいかなければなりません。県士会活動の活性化のために尽力させていただきますので、なお一層の会員の皆様のご協力の程を宜しくお願いします。

 

② 第49回日本作業療法学会を通して

 

東北薬科大学病院 虎岩辰弥

今回の日本作業療法学会は、兵庫県で27年ぶりに開催されるとのことで、参加者は去年のWFOT(世界大会)のときよりも多い見込みであったそうです。神戸空港から電車で10分、駅の近くであったため仙台空港からのアクセスは抜群でした。会場はポートピアホテルと神戸国際展示場の2か所で行われ、ひとつ道路を挟んでの会場であったため、外にもOT学会参加者が多くみられ、周囲とは異なる雰囲気で盛り上がっていました。

ホテルの大きい会場でシンポジウムやその他の発表、さらに広い会場でポスター発表が繰り広げられていました。シンポジウムは大きい会場でも中に入りきらず、今回の大きなテーマ「温故知新~五十路を還り将来(みらい)を展ぶ~」に関する講演を聞こうという立ち見での参加者が多く見受けられました。今回は、義手の看護師のバイオリン演奏や、漫画家の方が認知症の母との関わりや介護の実態をマンガにした話など、医療職以外の目線に立った公演に心を打たれ、障害に対して少し視点を変えて考えることができました。また、障害を障害としない強い気持ちが「その人らしさ」をさらに引き出したり、自分の能力以上の実力を発揮する……対象者への関わりや対象者にかけるほんの一言が「その人らしさ」を引き出すことになるというOTの役割の重要さを感じます。

その他の発表でも、OTだけでなく医師や多職種からの質疑・応答もあり、医療の在り方や医療間の意見交換等、職種のアピールの場にもなる全国学会が示す大きな意味を感じることができました。ポスター発表では発表者と直接対話ができ、自分の経験と照らし合わせて意見の交換をし、時間が足りないくらい充実した時を過ごせました。

物品展示のコーナーでは各業者のブースでの体験の他、今回は兵庫県の名物を中心とした屋台が並んでいました。また、アクティビティ体験やクイズラリーなど講演や発表以外の企画にも力が入っており、兵庫県士会や学生さんの運営に感謝したいと思います。

 

③ 高次脳機能障害者への自動車運転再開への取り組み

 

坂総合病院 菅野俊一郎

はじめに
当院では平成25年度に自動車運転支援チームを立ち上げ、主に高次脳機能障害を呈する脳卒中患者へ支援を行っている。

なぜ高次脳機能障害を呈する患者に運転支援が必要か?
平成13年までの道路交通法は精神病者、精神薄弱者、てんかん患者、目が見えない者、耳が聞こえない者または口がきけない者、政令で定める身体に障害のある者、アルコール等の中毒者については免許を与えず、これらに該当する者となった時は免許を取り消すこととされていた。平成13年の道路交通法改正では病名で一律に欠格事由として排除せず、運転免許センター内の公安委員会にある運転適性相談を行い相対的に判断することとなった。
特に「自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈する病気」という部分に高次脳機能障害が当てはまると考えられる。そのため、高次脳機能障害を呈する患者が自動車運転再開を希望した場合、評価を行った上で公安委員会の確認が必要である。

高次脳機能障害を呈する患者にどのような評価を行うべきか?
自動車運転に関する文献や書物が多数出版されており、当院もそれを参考に包括的自動車運転評価を行っている。具体的にはインテーク面接、院内評価、実車評価を行い、結果を医師報告する。医師が必要に応じて診断書を記載するという流れである。
特にインテーク面接が重要であり、評価の必要性を理解してもらうことが第一歩である。そのためには法律だけではなく過去の事故例や民事的責任などを本人、家族を交え行う。十分に時間をかけて説明することで事故への認識や評価への協力が得られやすくなることが多い。
また、当院では実車評価を近隣の教習所で行っている。実際場面で認知、予測、判断、操作を評価できる面で実車評価は有効といえる。教習所と関係を持つ上で気をつけていることは、教習所に自動車運転再開の決定権がないため、合否の判断を求めないことである。運転の合否は教習所でも病院でもなく公安委員会が判断するものであり、当院では評価の一部として乗車しアドバイスを貰う姿勢で行っている。

最後に
近年、脳卒中後やてんかんを有する方の自動車運転事故ニュースを目にする機会が増えた。医療従事者は必要に応じて患者を運転適性相談へ誘導し、適切な自動車運転再開を進めることが大切である。
当院も良い支援を行なっていけるようチームのメンバーと共に日々精進していきたい。

 

④ イクメンより

 

仙南サナトリウム 高橋典雅

みなさんはじめまして、私は白石市にある精神科の病院に勤めています高橋と申します。私には妻と4歳の娘がいますが、私は6時15分頃に家を出てしまう為、娘と触れ合う時間が帰宅後の僅か1~2時間しかありません。よって育児の殆どを妻任せになってしまい、妻には感謝の気持ちと、娘には淋しい思いをさせてしまっているという気持ちでいます。

さてこんな私が“イクメン”という事で原稿依頼を受けたのですがイクメン?と考えて何ができているのだろうか?私がやっていることといえば帰宅後の時間と休日に全力で遊ぶことと、趣味である園芸を通して食育の真似事くらいでしょうか?こんな一人の父の姿を書いてみようと思います。

まず全力で遊ぶことで娘は喜んでくれますが、私の体力が持ちません!そこで最近では、遊びながらの筋トレやストレッチをはじめました。子どもと遊びながらできるかなぁ?と勝手にいい方へ考えていましたが、娘はとても喜んでくれました。初めは数回しかできなかった筋トレが次第に数をこなせるようになり、娘との遊ぶ体力が付き、抱えての移動が楽になりました。そして、なんと仕事場面でも患者さんと関わる際に体の使い方や体力面で楽になったと思うことが多くなり、体は父としても大切ですが、セラピストとしても大切なのでは?と改めて気が付かされた瞬間でもありました。

次に、私の趣味の園芸を娘とすることで食育の一環になればと思い行っています。始めたきっかけとして、“最近の子どもは野菜が店で作られていると思っている”と聞いたことです。我が子には種から芽が出て、成長には土や水、太陽などが必要であるのだと感じてほしく、また食べ物の有難さ、大切さを感じて欲しいと思っています。そんな私の思いを知ってか知らでか、娘は野菜の成長を報告してくれることがあり、食事では自分で育て収穫したからと、苦手だったトマトをいっぱい食べてくれました。まずはこれくらいでも食育大成功と思っています。そして、“自分がやったから○○○できた”という経験は大切ですよね。そんなことも教えられ気が付かされる一面でもありました。

最後に私事ではありますが、この初秋に娘はお姉ちゃんになり、私は二人の子どもの父になります。下の子も同じように精一杯の愛情を込めて育てていきたいと思っています。そして是非、みなさんも体調に気を付け、育児を通し“気付き”をもらっていただければと思います。

 

⑤ つぶやきコーナー:Sさんのこと

 

宮城病院 神先美紀

友人Sさんのことを書きたいと思います。始まりは、私の中学校からの友人Mからの誘いの電話でした。Mは、ある人にプール通いを勧めていて「プールで歩くことを教えたいから手伝って欲しい」とのことでした。ある人とは、私が以前リハを担当していた女性のSさんでした。「いいよ」と引き受けたことで数年ぶりの再会となりました。Sさんは、左片麻痺で、装具をつけてのT字杖歩行、上肢は殆ど動かない状態です。家事も仕事もバリバリこなす50歳代の発症、私と友人Mよりも数年年上です。退院後、しばらくして「いけ花教室」を再開していましたが、外に出る機会は少なかったようです。親しくしていたMは、Sさんにもっと外に出てほしいと考えていたようでした。

Sさんにとって初めてのプールの日、左足が水の中で浮いてしまうために怖がるSさんでしたが、Mは抱きかかえる役、私はSさんの左足を下から押して、Sさんが踏みしめやすくする役です。2人でなんとかSさんを水の中に入れることができました。温水プールの1コースを貸し切っているので、他の人を気にする必要もなく、ゆっくりと進んで25メートルを歩きました。Sさん曰く、「怖いけど、うれしい」初プール体験でした。プール通いも回数を重ねるうちに、私の役目は手で膝を少し押すだけになり、そのうちお役御免となりました。そこから始まるSさんとの友達関係は、3人での食事会、文通、Mと私がSさんのいけ花教室へ参加することになるなどと広がっていきました。

Sさんは、入院中の私とのOTについて、思い出したようにいろいろ話をしてくれるのですが、最初に手紙で書いてくれたのは、OTの時に「私のボーダーのシャツを、(神先が)さらりと詠んでくれたのを思い出した。」とのことでした。よく似合っていたのでなにか文を書いて渡したようでした。そして、俳句をたしなむSさんは、以前詠んだご自分の作品を5つほど手紙に書いてくれました。情景が浮かぶ俳句で、絶品でした。

いけ花教室には、10人ほどのお弟子さんがいました。私のいけ花初体験はとても刺激的でしたが、それよりもSさんの生き生きとした表情、椅子に座り麻痺側に大きく傾きながら覗き込んで作品を見て、手直しをしたりほめたりアドバイスしている姿、お弟子さんと活発におしゃべりし大笑いする声に驚きました。Sさんは「プールは挑戦、いけ花教室は私を待ってくれている人たちがいる大切な居場所」と言いました。そして「俳句は、今は詠めないの」と苦笑していました。作業は人を元気にする、作業にはその人その人の過去と今があるのだなと、実感する日々です。

広報部からのお知らせ
① 会員アドレス登録について
会員の皆様!!ホームページ更新のお知らせ機能への登録(メールアドレス登録)はもうお済でしょうか?
登録しないと、県士会の研修会や他団体の研修会などの情報をいち早く入手できないので、不便ですよ!? 会員向けのお知らせ・ニュース更新も随時メールでお知らせします。
会員の皆さん全員に登録してもらうことで、今後さらに情報発信のツールとして士会活動に活用していく予定です。
登録する際は、こちらをクリックしてください。
尚、ご不明な点などありましたら、ホームページ内の「お問い合わせ」からアクセスしていただけますようお願いいたします。

② 一般社団法人宮城県作業療法士会キャラクター募集について
[募集目的]
作業療法士の活動を今よりも身近に感じてもらえるよう、様々な活動を通して情報を発信していきたいと考えています。そこで、当士会や作業療法士の活動をわかりやすく県民の皆様にお伝えするための取り組みの一環としてイメージキャラクターの募集をします。ぜひご応募ください。
[コンセプト]
宮城県、作業療法士、作業療法をイメージできるデザインであること
[募集期間]
H27年8月10日~10月30日
[特典]
採用された方には1万円の商品券が贈られます。
※詳しくはこちらをご覧ください。

編集後記

気候が変わったからなのか、自分が気付いていないだけなのか、最近、季節の変わり目を感じることが少なくなったように思います。思えば、小学生のころは夏の夕暮れ、夏の終わりと言えばヒグラシの鳴き声が聞こえて、だんだん秋の雰囲気に染まっていきました。季節の移ろいを感じるゆとりも大切だと昔の自分に教えられているような気がします。これから年末に向けて何かと忙しい時期になります。なかなか難しいことですが、ゆとりを持って過ごしていきたいものです。 川勝

県士会ニュース135号 2015.5.23

2015.05.23
県士会ニュース

目次

① 平成27年度介護報酬改定からみるリハビリテーションのあり方 … 三浦晃
② 認知症初期集中支援チームについて … 小野咲子
③ 研修会参加:第3回岩沼・仙南ブロック研修会に参加して … 菅原理美
④ 職場紹介:まーぶる株式会社 … 佐藤明子
⑤ イクメンより:子供が作業療法士としての私にもたらしてくれたもの … 山田孝弘
⑥ つぶやきコーナー:ポンコツ … 荒井豊

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① 平成27年度介護報酬改定からみるリハビリテーションのあり方

 

介護老人保健施設せんだんの丘 三浦晃

昨今、そして今後行われる医療・介護の改定は、一様に地域包括ケアシステムの構築に集約されるような方向性を持っている。これを背景に、平成27年度の介護報酬の改定は、「①中重度者や認知症高齢者への対応強化」「②介護人材確保対策の推進」「③サービス評価の適正化と提供体制の効率化」という3つの基本方針が打ち出された。①の中に、「活動と参加に焦点を当てたリハビリテーションの重視」という項目が掲げられたことは周知のことと思う。これを受けて、“本来のリハビリテーションの再構築”“リハビリテーションの原点回帰”といった言葉を見聞きするが、これは、長い間、身体機能面への働きかけに偏重してきたリハビリテーションへのテコ入れと受け取ってもよいだろう。しかも、このテコ入れは、まずは川下から開始し、やがて川上へ、…つまり介護領域から医療領域への展開が示唆されており、今は序章の段階といえる。よって、医療領域にいるセラピストも今改定の内容を十分に理解し、川下への流し方(託し方)を意識した支援を実践する必要があるだろう。では何を意識するのか?そのキーワードが「多様性のある“人生”や“暮らし方”の再建」であるからこそ、“活動”と“参加”が強調されている。勿論のこと、各領域によって力点を置く側面に違いはあるが、「一人ひとりの人生や暮らし方の再建に資するシームレスな支援」というスローガンをもった連携が不可欠となる。

さて、今改定におけるリハビリテーション関連の加算は、前述のとおり、活動と参加に焦点が当てられた設定となっている。詳しい要件は解釈通知をご参照いただくとして、ここでは、通所リハ・訪問リハにおける「リハビリテーションマネジメント加算」「生活行為向上リハビリテーション実施加算」「社会参加支援加算」の3つを関連づけながら、これらに示されている支援の方向性と実践すべき支援内容について概説してみたい。

従来のPDCA サイクルの頭に、「S:サーベイ(初回調査)」を加えたSPDCAサイクルにより、利用前の段階で、一人ひとりの人生や暮らし方の再建に関わるニーズを引き出す。これと並行して、心身機能・活動と参加・環境面の各側面とその関連性をアセスメントし、再建に繋がるような合意目標を設定する。そして、その目標達成までの具体的なプロセス・具体的な手段・具体的な役割分担をプラン化し、本人を主人公に据えて、多職種や関連事業所は勿論、家族をはじめ地域に存在するインフォーマルな資源を効果的に絡めながらチーム支援を実践していく。やがて、目標達成が間近となったり達成した場合には、自宅での自主的な習慣や役割、介護予防・日常生活総合支援事業、地域のカルチャー教室や集いの場、もしくは、デイサービスといった、参加に資する資源への橋渡しを支援する。こうした一連の支援をきちんと行い、自立度の向上の延長線上にリハビリテーションサービスからの卒業を目指し、成果に結びついた場合に、手厚いインセンティブがつく仕組みとなっている。

このように、“本来のリハビリテーションの再構築”“リハビリテーションの原点回帰”の序章として、その仕組みと舞台が用意された。いずれの事業所も今は試行錯誤の船出であろう。まずは、今改定が放つメッセージを私たち一人ひとりが受け取ることを前提とし、活動と参加に焦点を当てたリハビリテーションの形を地域一体となって創り上げていく必要がある。

「OT風が吹いている」…今改定を受けて、OTのみならず他職種からも耳にする言葉である。この風を感じ、そして乗るために、私が所属する県士会企画調整局地域支援班としても、ここに貢献できるような企画を準備中である。
最後まで読んでいただいた士会員様へ、「一緒に頑張りましょう!!!」

 

② 認知症初期集中支援チームについて

 

介護老人保健施設せんだんの丘 小野咲子

H24年6月に「今後の認知症施策の方向性について」厚生労働省認知症施策検討が始まり、「事後的な対応」から「早期・事前的対応」への方向性が重視され、「早期診断・早期対応」をする為の「初期集中支援チーム」がまとめられた(オレンジプランをご参照ください)。そしてH25年度には全国14カ所で国のモデル事業が展開され、そのうちの1つが宮城県仙台市の本庁に設置されたチームである。仙台市健康福祉局保険高齢部の介護予防推進室が事務局で、医師・保健師・介護福祉士・作業療法士の専門職が仙台市から委嘱を受け活動を開始。H25年度、このモデル事業に関わっている全国の作業療法士は19名である。

H25年度の仙台市の方針としては地域包括支援センター(以下、包括)をサポートする体制構築を目的の1つに挙げており、仙台市49包括の内、協力包括は3包括(国見・小松島・向陽台)であった。事例としては、妄想性障害を含めた、困難事例が大半を占め、鑑別診断の必要性の有無や、現在介護保険サービスを利用しているがそのサービスが適しているか。などケースカンファレンスに近い状態であり、初期集中支援とは言い難くチーム員としても悩みの多い1年であった。

2年目のH26年度は同じメンバー+薬剤師会、区の障害高齢課のメンバーも加わり、3包括も各専門職に対して、どの視点で評価して欲しいかを具体的に示すことが多くなり、訪問しやすくなった。評価の視点としては、生活実態の把握や家事能力などに対する遂行機能の評価、どの程度動けるかの身体機能評価や認知症分類の見立てが中心であった。平均的には月1~2回の訪問で多い月で4回の時もあった。

仙台市は市全域展開を見込んでいる為、3年目のH27年度は青葉区・宮城野区・泉区の3区圏域32地域包括支援センターに拡大をする。一気に包括の数が10倍になる為、相談・訪問件数がどの程度増加するか予測できない状態である。老健トラストの高橋OTも仙台市から委嘱を受けOTが2名体制になり、いずみの杜診療所もチームに加わり、今年度は2チームで対応することになる。

まだ発展途上の「認知症初期集中支援」である。宮城県士会の地域支援班でもこの認知症に対応すべき研修会を企画する予定である。関心のある方は是非参加をしていただきたい。そして、一緒にOTの強みをアピールしていきましょう!!

 

③ ◆研修会参加◆ 第三回 岩沼・仙南ブロック研修会に参加して

 

介護老人保健施設リハビリパークさくら 菅原理美

去る1月30日、柴田町船迫生涯学習センターで岩沼・仙南ブロック研修会が開催されました。テーマは「終末期の作業療法」について、松田病院の大貫操先生を講師にお招きしてお話を聞かせていただきました。私は今回の研修会に企画の段階から参加させていただいたのですが、予定での参加人数は30名以上と老年期分野以外からも申し込みが多くテーマに対する皆さんの関心の高さがうかがえました。ところが当日の天候はあいにくの大雪で欠席者も多く、開催も危ぶまれるほどでしたが開始時間を遅らせてなんとか開催することができました。

老健で最期をむかえる利用者様や、いつかはやってくる大切な人の最期など「死」が近づいている方やその周囲の方々とどのように接していけばいいのか。身内を見送る機会もまだ少ない私にとって今回の研修は「死」を考えるとともに人とのかかわり方についても考える機会となりました。研修の中ではじめて聞いた「スピリチュアル・ペイン」や「スピリチュアル・ケア」という言葉。正直なところ、スピリチュアルと聞いてもぼんやりとしたイメージしか浮かんできませんでしたが、思っている希望と現実との開きがあると苦痛を感じ、その人が苦しんでいるポイントがどこにあるのかをアセスメントして援助することが大切なのだと学びました。

対象者とともに悲しみや苦痛と向き合い、力になろう、理解しようとする思いは終末期の方だけでなく私たちが関わるすべての人に当てはめられるのではないかと思います。仕事で関わる利用者様はもちろん夫や家族、友人と話をしているときでも、どう話を聴くのか。「話を聴く」ということの大切さや難しさを感じ、仕事の場面では寄り添う姿勢とあわせて専門的な視点を持つことができるように、多くの対象者の方に理解者と思っていただけるような聴き方ができるOTになれればと思いました。

今回は悪天候の影響もあり時間を短縮しての研修となってしまいましたが、ほんとうに有意義で充実した内容だったのでもっとじっくりとお話を聴けなかったことがとても残念でもったいなかったです。もし機会があれば、他施設の方とも意見交換ができればと思いました。

 

④ ◆職場紹介◆ まーぶる株式会社

 

佐藤明子

【会社紹介】
平成26年3月に個人事業主として(まーぶる)を起業。同年7月にまーぶる株式会社となりました。
創業当初は、施設支援事業・講座開催・VOCAなどのコミュニケーション機器販売・住宅改修工事・車いすメンテナンス等を行っておりましたが、小児に特化した支援事業を行いたく、平成27年2月2日 仙台市宮城野区田子に児童福祉法に基づく児童発達支援事業・放課後等デイサービス・保育所等訪問事業を行う「多機能型支援事業所 まーぶる・びーと」を開所いたしました。

・定員数
1日最大10名(児童発達支援5名 放課後等デイサービス5名 保育所等訪問支援随時
・対象年齢
0歳~20歳まで
・サービス提供時間
10:00~19:00
・営業日
月曜から金曜日
・サービス提供地域
仙台市内(宮城野区・泉区・青葉区・太白区・若林区)その他地域
・スタッフ数
児童発達支援管理責任者兼OT1名 OT1名 指導員2名 合計4名
(平成27年7月より、OT1名 追加採用予定)
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【主なサービス提供内容】
・児童発達支援
0~6才までの未就学の時期は、発達の土台を作る時期です。体を動かすことで、自分を知り、他人を知り、社会を学びます。弊社では、様々な遊びの中から自分の体を知り、自分の体をコントロールできるようになるためのアプローチを行っています。

・放課後等デイサービス
小学校等に上がると、多くのスキルが求められます。弊社では、1人1人のお子さまの困り感に寄り添い、できる方法を本人、保護者の方と一緒に取り組んでいきます。いままでの一般的な常識に縛られず、「その子に合う方法」を見つけます。そのため、様々な機器・課題を取り入れた活動が中心になります。

・保育所等訪問支援(仙台市内初の事業認可)
障がいのあるお子さまが集団生活を営む施設等を訪問し、当該施設における障がいのあるお子さま以外のお子さまとの集団生活への適応のため、専門的な支援をおこないます。

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【対象年齢及び疾患等】
対象年齢は、0~20歳までとなり、受給者証をお持ちで児童福祉法に基づくサービスを利用できる方となります。

【まーぶるの想い】
お子さまの発達に必要な時期に①個別のアプローチ②集団でのアプローチを併用することで、お子さまの発達の可能性を広げます。主に病院でしか会うことのできなかった専門職と関わることで、お子さまの成長の早い時期に専門的支援・継続的支援を受けることが可能になり、生活に密着した困り感を親御様と地域の支援者様と一緒に検討・実行していきます。発達に課題をもつお子さまは、「地域」での「生活」を視野に「自立や社会参加」に向けた長期にわたる支援が必要です。日々成長しているお子さまを間近にして今何ができるのか。それには【早期発見】・【早期療育】・【生活地域により多くの支援があること】が何より必要だと私たちは考えています。是非、まーぶるに遊びに来て下さい。子ども達の世界を一緒に体験しませんか?

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〒983-0021 仙台市宮城野区田子字新入10-1 JKビル21 302号
ホームページ http://www.marble555.jp
メールアドレス marblebeat555@yahoo.co.jp
携帯 070-5327-3989 FAX 022-365-5776

 

⑤ ◆イクメンより◆

子供が作業療法士としての私にもたらしてくれたもの

西仙台病院 山田孝弘

県士会ニュースをご覧の皆さん、はじめまして。西仙台病院に勤務している山田と申します。今年でOT15年目になります。子供は娘が1人、現在10歳になります。今回は育児を通して得た体験を基に、この原稿を書かせて頂きたいと思います。

私は小さな個人産院にて出産に立ち会ったのですが、へその緒が首に巻きついた状態で娘が産まれたため、出産後すぐに泣かず、「手伝って下さい、医療職でしょ!」と看護師さんに半ば強引に手伝わされ、スタッフのように動きながら立ち会うという、破天荒なスタートから育児が始まりました。反射が授業で習った通りに出現・消失することに感激し、国家試験対策にて勉強した発達段階の通りに日々成長することに更に感動し(これって、「OTあるある」ですよね?)、はや10年。

娘の成長は、実に多くのものを私にもたらしてくれました。甘いものなんか殆ど食べなかった私が、娘と一緒に甘いものを食べていたら、いつのまにか苦手を克服してしまったこと。今まで全く興味なかったのに、娘と一緒に色々観ていたら、今更ながら、某「夢の国」にけっこうはまっていること等もありますが、何よりもOTとしての私に確実に影響を与えてくれました。

娘が保育園や幼稚園、小学校にて作って持ち帰ってきた作品を見て、何度職場で行う手工芸のヒントを得たか…。娘との「お父さん、今日こんな遊びをしたんだよ」という何気ない一言から、何度閃いて職場で新しいレクを行ったか…。そして娘が怪我をしたり、体調を崩したりした際に、仕事での経験を基に身体を診たり話を聴いたりしたことで、その後何度感謝されたか…。そしてその後、「OTをしていて良かった」と何度自分を顧みることが出来たか…。数えきれない程です。娘と、そしてその娘を産んで、一緒に育児をしてくれる妻に感謝です。

その甲斐もあってか、現在、娘は手芸でぬいぐるみの服を作ることが趣味という実に将来のOTらしい一面を発揮してくれています。

OTの皆さん、機会があったら、是非育児を体験してみて下さい。育児は間違いなくOTとしてのあなたの幅を広げてくれますよ。

 

⑥ ◆つぶやきコーナー◆ ポンコツ

 

青葉病院 荒井豊

1年が過ぎるのは年々早くなっており、自分の年齢さえも数えられなくなってきている今日この頃、幼子2人に振り回され、運動会でも親子リレーに出ようものなら自分のイメージと足の動きがまるで合わず、一歩間違えればすぐにでも転げてしまいそうなことも度々・・・。キモチは若いつもりでいても確実に老化は進んでいることを思い知らされる出来事が増えてきている。40歳半ばを超えた頃から自動血圧計での値が変わりはじめ、「機械だと高いんだよね」などと理由付けをしていたがそれも2~3年も続くとごまかせなくなり、薬の服用が決定。これがケチの付き始めでその後は、十二指腸ポリープ、総胆管結石、TFCC損傷、内痔核、乾癬、大腸ポリープ、おまけに涙もろくもなり・・・。毎年増え続ける病気と通院地獄に「だいぶポンコツになってきたんだなぁ」としみじみ。

ポンコツはポンコツなりにちゃんと整備すればまだまだ大丈夫と一念発起し、ジムにでも通って体を作り直すぞ~。なんて面倒くさがりの私にはできる訳もない。そうか。病気になるということは体力の衰えはもちろんだが、気力が出てこない、つまりストレスを発散できていないことが原因だな(かなり無理矢理)という訳で、自分の趣味をもう一度考えてみることにした。
若い頃は1年365日のうち330日くらいパチンコに明け暮れていたが、子供が生まれてからは誕生日プレゼントということで1日やらせてもらえる程度になったし、テニスやゴルフも簡単には出来ない。健全に屋外できれいな空気をいっぱい吸って楽しく遊べて子供も喜ぶことということで閃いたのは、「東北楽天ゴールデンイーグルス」だった。

爺婆も巻き込んで、まずは形からとユニフォームから帽子、マフラーなどグッズを身にまとい、外野レフトの自由席に陣取りメガホンを叩いて1本ヒットが出る度に選手の名前を叫び、1点入る度に周りの応援団と一緒にハイタッチをしたりバンザイを繰り返し、枯れたのどを生ビールで潤す。日頃のストレスもどこへやら、すっかり虜になってしまった。

そしてあの、2013.11.3。「あとひとつ」の大合唱。マー君の渾身の投球、雄叫び。東北にとって大きな悲しみに包まれた「3.11」を乗り越えて、その逆の「11.3」とても大きな喜びに包まれたその瞬間に立ち会えたことは、自分にとってこの上ないご褒美をもらったような感動だった。

野球を知っている人も知らない人も全く関係なく、ディズニーランドのように計画を立てて行くようなこともなく、気軽に行ける「現実逃避の場所」。

一度、球場に足を運んでみてはいかがかな。

編集後記
新年度になって早数ヶ月が経ちました。わたしは今年度から5年目に突入しました。昨年度は初めて学生指導をさせてもらったりといろんな経験が増え、もうそんな年数なんだと改めて実感しました。5年目…がんばります! 佐藤

県士会ニュース134号 2015.2.10

2015.02.10
県士会ニュース

目次

① 年頭に寄せて … 上遠野純子
② 新設された企画管理局の活動について … 道又顕
③ 研修会参加:認知症リハビリテーション研修会に参加して … 大嶋貴子
④ 職場紹介:ないとうクリニック通所リハビリテーション … 市村敦
⑤ 活動紹介:新聞バックで生きがい支援 … 小林真弓
⑥ イクメン・イクママより:育児と仕事と … 新妻純一
⑦ イクメン・イクママより:子どもの笑顔を育むために … 木川田紗千枝
⑧ つぶやきコーナー:怪我の功名(?) … 早坂順子

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① 年頭に寄せて

 

一般社団法人宮城県作業療法士会 会長 上遠野純子

新年あけましておめでとうございます。旧年中は会員の皆様には大変お世話になりました。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。まもなく東日本大震災から4年の月日が過ぎようとしています。震災後の会員の皆様の心の復興は、震災前の状態と比べてどのくらいまで実現されているでしょうか。震災が私達に残していったものは何だったでしょうか。私たちはあらためて立ち止まり、考えてみる必要があるかもしれません。

さて、宮城県作業療法士会の26年度の年度初のニュースにも書かせて頂きましたが、本年度の活動のキーワードを以下のように掲げました。「連携」、「人材育成」、「啓蒙」、「組織力強化」です。対象者の地域包括ケアの実現のありようには、多職種連携のもとでの支援の形と積極的な民間資源の導入が礎になるものと考えます。そのためにも私たちは多職種が集う場で、お互いにその専門性を尊重しながらも、いかにして連携を深めていくかを、またそこで我々作業療法士がどのような役割を果たすべきかを、ある程度明確にしておかなければならないと思います。継続的な応急仮設住宅での支援活動では、領域を超えた幅広い知識と技術、即応力と実践力を兼ね備えた会員の皆様の活動を、地域の保健師さんたちは高く評価をして下さっています。県内の作業療法士の仕事ぶりに多くの方々が関心を寄せて下さっていることを私たちは忘れず、地域で活き活きと作業療法を展開していきましょう。また、啓蒙活動については、昨年末ホームページをリニューアルし、より見やすく、会員をはじめとする様々な方々の情報発信のツールとして利用しやすいものになるよう意識しました。広報活動の充実は、将来的にはより良い人材の確保に繋がっていくことですので、これからも作業療法士の仕事のありようを丁寧に表現していけるようなツールにして参りたいと思います。

最後に私の個人的なことを少しお話しさせて頂きたいと思います。私が県士会長の役割を拝命しまして今年度で3期目、6年という時間が過ぎました。この間全国作業療法学会の運営や法人格の取得、東日本大震災による士会活動の停止とその後の活動の再開までの道程、避難所や仮設住宅への復興支援活動、30周年記念事業など、いずれも多くの会員の皆様のご協力とご支援がなければ実現しなかったことです。私は決して、牽引力があるわけでもなく、先を見越した見識を持っているわけでもなく、ただただ、前任の佐藤会長をはじめとして、私自身を導いて下さった諸先輩から教えて頂きたことを、若い人材につなげていくための活動をこの県士会の中で実現して来ました。ただ今後は現状に妥協せず、何事にもチャレンジする姿勢を持ち、失敗を恐れず、粘り強く物事に取り組むことが出来る作業療法士の姿とパワーを感じる県士会活動を、会員や世の中にアピールしていかなければならないと思います。そのようなことが実現できる組織作りを、私の県士会活動での最後の仕事にして行きたいと考えている次第です。どうぞ本年もよろしくお願い致します。

 

② 新設された企画管理局の活動について

 

企画管理局 局長(第一副会長兼任) 道又顕

県士会会員の皆様、新年明けましておめでとうございます(このニュースを見る頃には2月の後半になっているとは思いますが、平成27年の初のニュースとなりますので)。今年も宜しくお願いします。

企画管理局は平成25年の定期総会において承認され昨年度の後半より活動を開始しました。企画管理局が創設された背景として、県士会員の増加に伴い多様化してきた県士会活動を全体的に把握しきれていないこと、新規事業に係る企画、調整をする部局がないことがありました。現在は企画管理局の中に企画調整部、地域支援班、特別支援教育班があります。企画調整部は14名、地域支援班は6名、特別支援教育班は7名で活動しております。以下にそれぞれの活動内容をお伝えします。

・企画調整部
2か月に一回程度の頻度で会議を開催しています。今年度の活動としては会全体の中期・長期事業計画の立案のため「事業計画書」の刷新を図りました。各局・各部が次年度の事業計画を効率よく立案できるように活用をすすめていきます。今後の活動として、県士会の事業の効果や効率を検討するために、事業実施後の報告書のフォーマットと研修会実施後に実施するアンケートのフォーマットを作成中です。また、引き続き新規事業に関する企画調整を進めていきたいと考えています。

・地域支援班
皆様は「地域包括ケアシステム」を知っていますか?これは「重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供されるシステム」のことです。日本の政策により厚生労働省において、団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に構築を進めているところです。このシステムの中で作業療法士に求められていることがあることを皆様はご存知でしょうか?地域支援班では今年の1月から各ブロックを訪問しこのシステムの説明をはじめたところです。会員の皆様とこのシステムの理解を共有し、作業療法士に求められている役割と県士会としてどのようなスタンスで取り組んで行こうとしているかを共有していきたいと考えております。ブロック会にお邪魔したときには宜しくお願いします。

・特別支援教育班
「特別支援教育」とは、障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち、幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するため、適切な指導及び必要な支援を行うものです。特別支援教育班では来年度の特設委員会化に向けて①人材育成および県士会員の資質向上、②外部専門家事業の整備、③宮城県士会内に特別支援教育を含む包括的発達支援相談窓口の設置、の3つを基本構想とし次年度へ向けて具体的な事業計画を立案しているところです。

以上、企画管理局の活動について皆様に報告しました。上記の部・班についてはいつでも一緒に活動して頂ける方を募集しています。興味のある方はいつでも連絡を下さい。お待ちしております。

 

③ ◆研修会参加◆ 認知症リハビリテーションに参加して

 

介護老人保健施設いずみの杜 大嶋貴子

私は認知症のある方々に対する作業療法に大変関心があり、昨年12/22・23に開催された作業療法重点課題研修 認知症リハビリテーション研修会に参加しました。

研修会の主な内容は、認知症リハビリテーションを取り巻く昨今の社会情勢や協会の取り組み、在宅・家族支援、認知症リハ料、認知症リハ・認知症短期集中リハの実践、認知症リハ計画書についてと、大変充実したものでした。その中で、OTとしてのアセスメント能力とどうすればその方のできないことができるようになるのかを常に考えるということの重要性を痛感しました。BPSDはじめ、その方の反応として顕在化している部分だけではなく、いかに潜在化している部分もアセスメント出来るかがOTとしての力の見せ所であるというお話に、関わらせていただいている利用者様の顔を思い浮かべながら日頃の臨床を具体的に振り返る機会となりました。計画書の書き方に関する講義では、評価や目標に関してより具体性が求められていることを学びました。特に、地域包括ケアシステムの中ではICFの活動・参加に焦点を当て、OTの働きかけが十分に出来ているのかが問われているということでした。認知症のある方々が地域生活を営み続けるためにOTが早期から果たすべき役割が大きいことを再確認できました。

現在、私は老健内での勤務となっていますが、地域包括ケアシステムやオレンジプランといった社会情勢的な側面にも常に関心を持って内容を理解し、OTの立ち位置や役割を確認することも重要だと感じました。また、日々の臨床では、その方らしい在宅生活を継続するために必要なアセスメントと、実施するプログラムが活動・参加レベルの何を改善したのかということを常に意識したいと改めて感じました。

全国からお越しいただいた先生方のエネルギッシュなお話に、とても刺激を受けた2日間でした。今後、OTの効果をしっかりと示しながらも、多職種協業でその方らしい生活を支援していけるよう、日々の臨床を頑張りたいと思います。

 

④ ◆職場紹介◆ 医療法人社団静実会 ないとうクリニック通所リハビリテーション

 

市村敦

【施設紹介】
当法人は仙台市茂庭の地に平成7年より「ないとうクリニック」を開業しておりましたが、平成26年4月に「通所リハビリテーション」と仙台市でも初めてとなる「複合型サービス」の機能を加え、「ないとうクリニック複合サービスセンター」としてオープンしました。以下は駆け出したばかりの通所リハビリテーション事業所の紹介となります。

・一日定員数
15名
・サービス提供時間
9:30~16:15(6時間45分)営業日は月曜から土曜で祝日も稼働しています。
・サービス提供地域
仙台市太白区、青葉区の一部
・スタッフ数
PT1名、OT1名、ST1名(非常勤)、ケアスタッフ4名、看護師2名(クリニック兼務)
・主なサービス提供内容
健康状態の確認、入浴介助、個別リハビリ、各種レクリエーション活動
・リハビリ内容
身体機能、認知機能、ADL等の評価と練習、ご自宅を訪問して環境面の評価と環境調整(福祉用具の紹介、フィッティング)
・対象疾患
利用者様の持つ疾患は様々で、疾患による受け入れ制限などは特にありませんが、通所施設なので車いすで移動できる方が対象となります。リハビリを必要としている方であれば、できる限り受け入れております。

【通所リハの紹介】
当事業所は、利用時間が6時間45分と比較的長いため、個別リハビリだけでなくレクリエーション活動などを取り入れながら、日中の時間を楽しんで過ごしていただけるよう、工夫しながらサービス提供をしています。

また、当事業所の特徴としては運動機能の障害だけではなく失語症や嚥下障害などにも幅広く対応できるよう、リハビリテーション専門職3職種を配置しております。利用者様全般にいえることですが、運動機会が減少していることで身体に様々な不調をきたしている方が非常に多いため、リハビリでは動く機会を提供しながら、ご自身の身体状況を把握してもらい、最終的にはご自宅でも運動を継続できるようにすることを心がけながらリハビリ内容を検討しています。

当法人の理念には【「住み慣れた町でなじみの関係を大切にその人らしく自由に生活していただく」を推進します。】のフレーズがあります。この理念をモットーに茂庭の地になくてはならないようなものになれるよう頑張っていきます。

職場紹介ないとう② 職場紹介ないとう①

<住所>
〒982-0252 仙台市太白区茂庭台3丁目30番30号
※茂庭台団地北口の交差点にある鉄骨造り2階建ての建物です。
TEL 022-796-6943 FAX 022-796-6944

 

⑤ ◆活動紹介◆

今号より皆さんの作業療法の成果を気軽に発表していただける場として新コーナー「活動紹介」をはじめました。病院や施設で取り組んでいる活動や患者様・利用者様の作った作品等を写真とともに掲載していければと思います。第1回目は、介護老人保健施設なとりでの取り組みをご紹介します。

新聞バックで生きがい支援

介護老人保健施設なとり 小林真弓

当施設では、入所・通所利用者に対する生きがい支援のための作業療法の1つとして、新聞バッグ作りを行っています。高知県の四万十で環境保護活動の一環として始まった新聞エコバッグを“海の手山の手ネットワーク”の方から職員が教わり、利用者様と一緒に作成しています。このバッグは、新聞と糊だけで作るため、環境に優しく、意外と丈夫です。また、選んだページや折り方のセンスで、新聞とは思えないとても綺麗な作品に仕上がります。工程は少し複雑ですが、「取手作り」や「書道でメッセージを書く」等、工程を分けることで、1人では難しい方も、それぞれの能力を活かしながら協力して1つの新聞バッグを完成させることができます。
活動紹介なとり

今年度の夏祭りでは新聞バッグコンクールを開催しました。お酒が大好きな方は、お酒がたくさん並んだ作品、ひ孫と仲良しな方は、ひ孫に似た子供の笑顔が可愛い作品を出品される等、展示コーナーには利用者様の個性が光る素敵な作品がたくさん並びました。
新聞バッグは、ソーシャルビジネスとしても展開されており、新たな雇用の創出にも繋がっています。当施設においても、生きがい支援に加えて、利用者様の社会貢献の支援に繋げていければと考えています。

活動紹介なとり③ 活動紹介なとり②

⑥ ◆イクメン・イクママより◆ 育児と仕事と

 

介護老人保健施設なとり 新妻純一

記事の依頼を頂き、イクメンについて調べてみると“育児を楽しむ男性”“育児を積極的に行う男性”とありました。私が積極的に育児に取り組んでいるかは分かりませんが、1つのケースとして読んでいただければ幸いです。

私は介護老人保健施設なとりに勤務しています。昨年からは主に系列のデイケアやデイサービスへ出向して訓練等に携わっています。出向先のデイサービスではリハ職員がいないため、自分自身の動きや職員との関わり方などについて上司からアドバイスを頂きながら試行錯誤している状況です。

家では専業主婦の妻と2歳7ヶ月になる息子の3人で暮らしています。子供は、2歳を過ぎ、少しずつ自分で出来ることが増えてきた反面、まだまだ難しいことでも“自分で”と言って挑戦しています。良いことですが、そこは魔の2歳児と言われる時期、こちらが手を出し過ぎると“イヤ!”と逃げ、挙句に“自分でできなかった…”と寂しそうに言われてしまいます。その為、こちらが一方的に手伝ってしまうのではなく、子供にやり方を教えつつ、少しでも自分で出来たと感じられるような関わり方を心掛けています。これを繰り返すうち、子供が自分で出来るようになった時の誇らしげな様子は私まで嬉しくなります。
この取り組みと達成感という一連の流れはリハビリにとって大事なことですが、子供との日々の関わりの中でその大切さを改めて感じ、仕事においても以前よりも意識するようになりました。

仕事をしていると子供と関わる時間は限られますが、それでも負担に感じることがあります。関わる時間が長ければ長いほど負担感も強まるかと思います。子育ての大部分を受け持ってくれている妻に感謝しつつ、出来るだけ子供と過ごす時間を持ち、3人で少しずつ成長していければと思っています。

まだまだ寒い時期が続きますので、皆さんも体調に気を付けて育児に取り組んで下さい。

 

⑦ ◆イクメン・イクママより◆ 子どもの笑顔を育むために

 

川崎こころ病院 木川田紗千枝

今回、自身の経験談を紹介することで、少しでも励みになる方がいればと思い引き受けさせて頂きました。また、日頃から育児中の方々を支えて下さっている皆様にも感謝しながら書き記したいと思います。

私は、今年で7年目になる作業療法士であり、2歳半の娘がいる1児の母です。育休を1年頂いて仕事に復帰し、病院にて精神科病棟を中心に働いています。

娘は保育所に預けていますが、体調を崩すことが多く、その場合は主に自身が休みを頂くか、実家の協力のもと働いています。慣らし保育を終えて仕事に復帰しようとした初日は、見事に娘の熱発から始まりました。その後も、月に1度は必ず体調を崩し、数日入院したり、夜通しの看病が続いた日もありました。

ですがそんな娘も、最近になってようやく体調を崩さなくなり、だんだんと生活が安定し始めてきたように思います。育児中の先輩方からは、「3歳を超えれば体調を崩すことは殆どなくなるから、それまで頑張って」という言葉をよくかけてもらっていましたが、娘もその言葉に当てはまりつつあるように思います。

今、私自身が働き続けていられるのは、職場の理解や協力がとても大きいです。迷惑をかけることが多いのに関わらず、娘の体調を気にかけるなどの暖かい言葉を頂いたり、負担が少ないように仕事の内容や環境を配慮して頂いたりととても感謝しています。

また、家事と育児に協力的な夫や実家の家族にも大分助けられています。仕事で残りたい時や学会に参加したい時などには、保育所の利用だけでは限界があるため、やはり周囲の協力が不可欠になっています。働きたくても働く環境や状況に厳しい方々がたくさんいることを考えると、自分は本当に周囲の方々に恵まれているのだと思います。

そして最後に、私の個人的な考えですが、家事・育児・仕事は個人だけで両立できなくても良く、社会全体で両立できれば良しとしたいと思っています。子供にしてみれば、全てを1人で両立できるパパ・ママでなくて良いのです。子供は、ただ、ただ、笑顔で安心感をくれるパパ・ママでいて欲しいのです。そして、それが子供の笑顔を育む一番の源なのです。どの職場も、直接的に子に関わるだけを子育てとせず、社会全体で子を育くむことを子育てとしていく環境になっていくことを願いたいと思います。

 

⑨ ◆つぶやきコーナー◆ 怪我の功名(?)

 

東北薬科大学病院 早坂順子

いやあ骨を折った。いや折れた。マジで。

大晦日、自宅で神棚の大掃除中、もはや終わるという頃に脚立から落ちた。瞬間、右膝がしこたま痛かったもののほんの数分で歩くことはできた。なーに湿布を張っておけばと、年の瀬のお酒もたらふく味わった。翌朝、膝の腫れ具合を見ていやな予感。元旦早々、当番医に出向き「それなりのトラブルはありそう」とシーネ固定され、文字通り寝正月となった。

休み明け、右脛骨近位部後方の骨折が判明、ギブスと両松葉杖、車椅子の生活が始まった。
今まで病気らしい病気、怪我らしい怪我もせず、病院に勤務してきた。こうなってはやれる仕事はほんの僅かだがこれも性分、継続出勤を決意したが、文字通り患者の身になって感じることの多いこと多いこと。
重い扉を開閉する大変さ、狭いトイレ、邪魔なケーブル、何より片足免荷で両松葉杖では物が運べない。朝の1杯目のコーヒーは缶コーヒーになった。物を落としても満足に拾えない、人に頼むのも忍びない、予想はしていたが不便なことこの上ない。年のせいか今まで使ったことのない筋肉や関節を過用し、最初はあちこちに湿布を張っていた。いやあ皆こんなしんどい思いをしていたのかとつくづく身に染みた。今までこの手の患者の話を「そういうことあるよね~」と時に聞き流していたような自分を反省し、「大変だよね」と簡単に言う前にちゃんと話を聞こうと今更ながら思った。

思わぬ怪我に閉口する中、60~70代の男の担当患者が「今度は俺がリハビリしてやっから!」「今日送ってやるか?」と気さくに声をかけてくれて精神的には随分救われた。またある時は、外来のリウマチ患者に「こう言っては不謹慎だけど、なんだかちょっぴり嬉しいわ。」と外来の輪(?)に取り込まれたり、ある時は、以前担当した患者からの電話に思わずこちらの近況と不便さを話すと「いやあ俺、今から先生と飲みたい気分だわ。」と妙に親近感を持たれたりで、かえって今まで聞いたことのない様々な思いを聴く事ができた。
患者になってみて今までとは違う意味で、人の話し方、声色にも敏感になった。
患者との共感とか傾聴とか、口でいうのは簡単だが、その人のコンデションや感情の在り様に左右され易く難しい。ただ、何よりもそうありたいと思う姿勢そのものが相手に伝わるものだという気がする。上っ面の言葉や行為はすぐに見抜かれるからご用心。患者が気づかぬふりをしてるだけだと思った方がいい。

今はギブスも取れ1/3荷重となり、PTも受けている。1/3荷重って体重もわかっちゃうし、こんなことなら寝正月であんなに餅を食うんじゃなかったと後悔してももう遅い。
ホント患者って大変。とにかく早く良くなることだ。取り敢えず2月中旬の独歩が目標。
こうやって新年早々、身を以て患者の事を色々考えさせられたのも怪我の功名か、はたまた神棚のなせる業か。

◆お知らせ◆ 宮城県作業療法士会 ニュース 原稿募集!!

広報部では県士会ニュースに掲載したい記事を募集しています!!
ご希望の方は、県士会広報部(メールアドレス:otkouhou@yahoo.co.jp)までお気軽にお問い合わせください。
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皆さんからのご応募お待ちしております!!

テーマの例
・病院・施設で実施しているアクティビティ
・制作した自助具
・おすすめ新刊紹介など

 

編集後記

今年度も残すところあと僅かとなりました。皆さん、新年度に向けて多忙な日々を送られているかと思います。この時期は別れだったり、新しい出会いだったりと環境の変化が多いかと思います。私もこの一年、共に働き支えてきてくれた仲間たちとの別れには大きな不安と切なさを感じます・・・しかし、その分新しい出会い(新人)に期待しながら春を待ちたいと思います!さて、お知らせ通知機能への登録はお済ですか?最新の研修会などの情報が随時メールで届くので便利ですよ!未登録の方はぜひ県士会のHPから登録してみて下さい。
中山

 

県士会ニュース133号 2014.12.10

2014.12.10
県士会ニュース

目次

① 各市町村認定審査員情報交換会 開催 …  畑中一枝
② 第16回宮城県作業療法学会を終えて … 大貫操
③ 第16回宮城県作業療法学会に参加して …  丸子佐和子
④ 平成26年度会員交流会の報告 … 安達健朗
⑤ ブロック合同研修会に参加してみて … 櫻井僚
⑥ イクメン・イクママより:そして父になる … 佐藤亮太
⑦ イクメン・イクママより:はたらくママが思うこと … 峯田舞子
⑧ 職場紹介:JCHO仙台病院 … 加藤聡美
⑨ つぶやきコーナー:後輩を指導する立場になり … 山川裕崇
⑩ つぶやきコーナー:趣味の力 … 伊藤智之
⑪ 編集後記

バックナンバーはこちら

 

① 平成26年11月1日 「各市町村認定審査員 情報交換会」を開催しました

 

一般社団法人宮城県作業療法士会 事務局長 畑中一枝

当士会は、「県民の保健・医療・福祉の充実及び向上に寄与するため、作業療法士が学術研鑽、技能の向上に努め、リハビリテーションの普及発展を図る」ことを目的とした、宮城県内に勤務あるいは在住する作業療法士で構成する専門職団体である。

その性質上、各行政機関における様々な事業に関して作業療法士の推薦依頼を受けることも多く、そのなかでも定期的に依頼がくるものとして、県内各市町村からの「介護保険認定審査会審査員」及び「障害支援区分(障害者総合支援法)認定審査会審査員」の推薦依頼が挙げられる。

こちらはそれぞれ2年任期で、現期は介護認定に6市町村28名、障害程度区分に6市町村12名を推薦させていただいている。そして現在次期平成27年度の切替時期に合わせ、すでにいくつかの市町村から推薦依頼が届き推薦調整を行っているところである。

これに先駆け、現任期で審査員を担当いただいている会員の方から、現状の課題や推薦に当たっての要望などを伺う目的で情報交換会を開催させていただいた。認定審査員の推薦はその性質上、依頼市町村の状況を把握していただいている方に担当いただきたいと考えており、推薦調整の際にブロック長に人選の協力をお願いすることも多いため、ブロック担当の方々にも参加いただいた。参加人数は、介護認定審査員5名(ブロック長1名含む)、障害支援区分認定審査員6名(ブロック長2名含む)、ブロック担当者3名の計14名であった。内容としては、それぞれの制度の説明を各担当代表者が行い、実際の審査会での様子や参加していての悩みや疑問点などをグループワーク的に話し合った。

それぞれの合議体は5名構成が基本で単独開催されるため議長となる方の裁量で進行具合は異なるが、中にはOTが議長となっている合議体もあるとの報告や、「介護認定審査会DVD教材」の視聴なども行い、実際の審査会の進行状況や意見の出し方などについて互いの報告も行った。

審査会担当者の人選に当たっては、事前の資料から障害像をイメージできる事が大切であり、ある程度経験値のある人が務めるべきとの意見や、経験値が低くても勉強という意味で審査員を務めることも必要ではないかとの意見も出された。また、障害支援区分認定審査員に関しては、精神科領域の担当者が少ないことや、知的・精神・身体の3分野を対象としなければならないため、机上での勉強だけではなく、他施設などで研修できる機会があればよいとの意見も出された。

今回の意見交換会を開催後、ブロック勉強会などで今後の人材の育成・啓蒙・啓発の観点での研修会も開催したいと考えていたが、認定審査員に関しての単独の研修会では会員の参加が見込みにくいのではないかとの意見をいただき、再考することとした。

会員の人材の育成・啓蒙・啓発に関する研修会については、地域ケア会議やその他作業療法士として今後活躍が求められる事業が増えていくことが見込まれているので、それら全体を含んでの企画を今後検討していきたいと考えている。会員各位についても、個々人が参画することで士会の活動が成り立っていることを再認識していただき、今後の活動にも参加いただきたい。

 

② ◆第16回宮城県作業療法学会◆ 第16回宮城県作業療法学会を終えて

 

第16回宮城県作業療法学会 学会長 大貫操

10月25、26日宮城県作業療法学会が開催された。参加者は160名と多くの方に参加していただいた。講演、演題発表、福祉機器展等、すべてにおいて活発に意見交換が行われ、活気あふれる学会だったと思う。

今回の学会のコンセプトはいくつかあって、もちろん一つは学会テーマである「暮らしを支える作業療法の視点」であるが、二つ目は宮城県内の作業療法士を知り、顔の見える関係作りのきっかけとなる事、三つ目は県士会員のメリットを考える事でした。

学会のテーマである「暮らし」は、病院や施設勤務のOTから「在宅支援がわからない」と聞かれる事が多かった事や、地域包括ケアシステム構築に向けての取り組みが始まる中で、作業療法士としてはどうしても理解したい事であると思い、テーマにさせていただいた。特別講演講師の宇田薫氏も話されたが、私達も「暮らしている」のであり、生活をその人の思いと共に理解する事、作業療法アプローチの中にどう落とし込んで考えるかという事をわかりやすくお話しいただいた。対象者その人を友人や家族のように考え、理解し、暮らしを考えていく過程が、作業療法そのものだと受け取って下さった方も多かったようで、アンケートにも「今までの支援で足りなかった事がわかった」「作業療法を考えた」「作業療法士になってよかった」とあった。

二つ目の顔の見える関係作りは、自分が日々在宅支援の中でネットワークの力を実感する事が多いこと、作業療法士として多くの人に育てられ、助けられ、スキルアップさせていただいた作業療法士同士のネットワークを、築く事ができれば、宮城県の作業療法士の強みとなるのではないかという思いから、意識してプログラムの中に組み込ませていただいた。演題発表やセミナー、シンポジウム等から、魅力的な作業療法士の思いや仕事や活躍を知り、きっと顔を覚えていただき、声をかけやすくなったのではないかと思っている。後は皆さんが勇気を持って、遠慮なく、声をかけるだけで、確実にネットワークは広がっていきます。

三つ目の県士会員のメリットを考える事について。初の2日間開催、低い会費設定(=赤字予算)、学ぶ事ができるプログラムを多くする等、県士会員への還元を意識して企画しました。メリットは皆さんが作り上げるものです。多くの会員が積極的に県士会活動を企画運営し、意見すること=参加が、県士会を育て、メリットを増やす。だからみなさんの参加が必要なのです。県学会を一つのきっかけとしてぜひ年間通した活動に多くの会員に積極的に参画して欲しいと思っています。

最後になりましたが、2年間力を貸してくれた実行委員の皆さんに感謝するとともに、学会にご協力いただいた皆さん、参加してくれた皆さん、すべてに感謝いたします。

 

③ ◆16回宮城県作業療法学会◆ 第16回宮城県作業療法学会に参加して

 

介護老人保健施設せんだんの丘 丸子佐和子

10月25、26日に開催された宮城県作業療法学会の25セミナーというプログラムで「地域密着型作業療法士のすすめ」と題した発表をさせていただきました。内容は病院勤務のOTとケアマネージャーとのサービス担当者会議でのやり取り、という寸劇から始まり、パワーポイントの発表でケアマネージャーとどのように関わっていけばいいのか、という事をまとめたものでした。なぜ、このような内容になったのか、何か裏話はないか、というご質問を受けましたので、その辺について簡単にお伝えしたいと思います。

寸劇に参加した大塚、三浦、丸子の3人のOTは普段、ケアマネージャーや老健相談員として勤務しており、医療機関や介護保険事業所との関わりの中で、OTとの連携を体験する機会が度々あります。そんな時、自分たちのOT時代の過去を振り返りつつ、OTの連携を客観的に見ることができます。その中で、時々「これでは専門用語が多すぎて家族やヘルパーには伝わりにくいのではないか」とか、「この介助方法では在宅では実現できないのではないか」等と様々なことを感じることがあり、自分たちの過去にも反省しながら、OTのあり方について考えることがあります。OTの置かれる状況や気持ちもわかるものの、やはり他職種として感じている事を機会があればOTに伝えたいと思っていたのが、セミナーの内容になりました。

内容の詳細に関しては、主にサービス担当者会議等で言われたことのある「OTケアマネが感じる病院OTあるある」を出し合って決めたものでした。セミナーでは色々な事例を寄せ集めて、ややオーバーな表現になりましたが、医療に限らず、介護分野のOTに改めて連携の在り方を考えて欲しい、という気持ちがありました。

発表後に、訪看で働くOTから「ケアマネさんが怖い」という相談も受けましたが、ケアマネージャーにも色々な人がいるので、その人に合わせながら、どのように連携していくのが良いのか、OTとしてコミュニケーション方法を工夫して頂ければ、と改めて感じました。

余談ですが、寸劇の原稿が出来上がったのは学会の前々日、練習も前々日、前日の2回という不安のある状況でしたが、終了後は「面白かった」と声をかけて頂き、非常にほっとしました。

☆第16回宮城県作業療法学会資料掲載のお知らせ☆

期間限定ではありますが、第16回宮城県作業療法学会で行われたシンポジウム、セミナー等の資料を公開しています。学会に参加された方だけでなく、参加できなかった方も閲覧・ダウンロードができるようになっています。ぜひご活用ください!
トップページ右側にあるバナー 「16回宮城県作業療法学会 ※学会資料掲載中です。」 をクリックしてください!

 

④ 平成26年度会員交流会(ボウリング大会)の報告

 

福利部長 安達健朗

11月8日土曜日、仙台プレイボウリングにて平成26年度会員交流会としてボウリング大会を開催いたしました。例年フットサル大会を開催しておりましたが、より多くの方にご参加いただきたく今年度はブロック対抗によるボウリング大会を企画し、22名の会員の方にご参加いただきました。

チーム内でアドバイスしあったり、ストライクがでればみんなでハイタッチで迎えるなどどのチームもはじめて知り合ったメンバーとは思えないくらいチームワークが良かったことが印象的でした。

そして、栄えある優勝チームは「石巻、岩沼・仙南、栗原・登米合同チーム」でした!!仙台中心部には負けまいという県南、県北を熱くしたいという気持ちが伝わってきました!

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この交流会は、会員同士の交流を深めて、同じ仲間として共にがんばっていきましょう!という目的があります。年々地方からの参加者も増え、会員間の結びつきがより一層強まっていきていると感じます。これからもレクリエーションを通して会員の皆さんの輪が広がるような交流会を企画していきたいと思います。今回参加して下さった皆さんも、参加できなかった皆さんも、また次の機会にご参加お待ちしております。
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⑤ 宮城野・東仙台・青葉ブロック合同研修会「認知症の理解と実戦での取り組み」に参加してみて

 

介護老人保健施設サニーホーム 櫻井僚

現在、私は認知症の方々と関わる介護保険領域にて勤務しているため、今回他ブロックである宮城野・東仙台・青葉ブロック合同の研修会に参加しました。

研修内容は、上遠野先生の臨床での体験を基にした話が中心であり、臨床家としてとても参考となるものでした。

まず利用者自身と関わる上では、これからどのような生き方を望み、どのようなライフイベントを大切にし、人生の物語を続けたいと考えているのか傾聴し、共に協業しながら築き上げる事が前提として大切だという事を改めて実感しました。

また、人的環境である利用者家族については、利用者と関わる中で必要な助言や指導だけではなく、利用者家族が施設に預ける事で感じている後ろめたさといった精神面での支援も必要である事を痛感しました。そして、利用者の支援にあたる介護士などの他職種にも目を向けて、適切な評価を基になぜ必要なのかを分かり易く助言していく事で利用者に対する支援の質の向上に繋げられるようにすることも同じく重要だと思いました。

若年認知症者への長期的な目線としては、認知症を呈した利用者が地域生活へソフトランディングするには「自分であることへの支援」へどのように関わっていくのかという事について学びました。具体的には、社会生活(会社・家業・主婦業)からの切り替えとして上手な縮小、整理、切り替えを援助し、その人の特性にあった選択をすすめていき、新たな場への適応を促す。そして、本人との直接的な対話・会話から本人の選択・行動ペースの理解する事が求められるとの事でした。

今回の研修会を通じ、私自身が痛感した事は作業療法士が支援すべき領域は、作業療法士自身が関わる利用者との時間だけでなく、それ以外の生活時間全てに関わる要因へ目を向けることが重要だという点を改めて実感する事が出来ました。今後も、自分が所属するブロック関連の研修会に加え、他のブロックの研修会にも目を向ける事で自分自身の知識や技術の研鑽だけでなく作業療法士同士で顔の見える関係性を築くきっかけ作りを続けていきたいと思います。
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⑥ ◆イクメン・イクママより◆ 「そして父になる?」

 

坂総合病院 佐藤亮太

「ここで意識消失したら、一生言われ続けるだろう・・・」

2014年7月某日。少しでも妻の精神的なサポートが出来ないかと第1子の立会い出産に臨みました。しかしながら、様子がおかしい(私の)。滝のような汗。目の前もどんどん霞んでくる。どうやら、夫が分娩室で倒れるという良くある笑い話の当事者になろうとしていました。

「ちょっ・・・旦那さん!大丈夫ですか!?」

尋常ではない汗をかきながらふらつく私に助産師さんもびっくり。妻の汗を拭くはずのタオルで自分の汗をぬぐいながら、もう倒れる寸前・・・という中、待望の我が子が生まれてきてくれました。今度は涙が止まりませんでした。妻には終始情けないところを見せてしまいました。

小話から始まって申し訳ありません。私は総合病院で働く7年目の作業療法士です。作業に焦点を当てた実践、より効果的な上肢機能練習、脳損傷者の自動車運転支援など考えながら臨床に取り組んでいます。そして、子供が生まれてもうじき5ヶ月になります。日々すくすくと成長しています。手の届く物を口に持ってきたり、不十分ながらも寝返りが出来るようになってきた事もあり、安全かつ快適に過ごせる家具等の選択や配置を考えているところです。月並みな話ですが、子供から教わる事、気づかされる事は多いなと思います。親の有り難味、時間の使い方、仕事への取り組み方など日々子供と接する中でいろいろな気づきがあります。

誰もが、子供が生まれた瞬間から良い親になれる訳ではありません。きっとこれから、様々な困難や喜びを経験して父に、より深い家族になっていくのだと思います。息子の誕生の時に感じた妻と息子への感謝の気持ち。これからも一生忘れずに支えていきたいです。

私はまだ新米子育て作業療法士(イクメンって言葉は何だが私には似合わない)です。父として、作業療法士としてこれからも一歩ずつ成長していけるよう、先輩方からのアドバイスよろしくお願いします。

 

⑦ ◆イクメン・イクママより◆ 「はたらくママが思うこと」

 

内科佐藤病院 峯田舞子

私は至って普通の28歳、作業療法士であり、2歳になる娘の母です。こんな私がイクママとしてのメッセージを書くなど、とても恐縮ですが、少しでも共感頂いたり、情報交換できるようになればと思い、経歴や妊娠、出産、現在に至るまでを書かせて頂きます。

山形県の老健で2年間勤務し、結婚を機に退職して仙台に引っ越し、半年は働かずに専業主婦をしておりましたが、じっと家にいることができない性格で、仕事を探し始め、佐藤病院に勤務させて頂くこととなりました。その半年後に子供を授かり、産休・育休を頂き、昨年10月に仕事に復帰し、現在に至っています。

妊娠中はつわりや体の変化に戸惑い、母になる不安から精神的に不安定な時期がありました。しかし、患者様との会話や笑顔、職場の方々からの配慮のおかげで乗り切ることができたように思います。

出産後、仕事に復帰したい、OTとして働きたいという思いと、子育てとの両立はできるのだろうかという不安がありました。復帰してしまうと、今は毎日が本当に忙しく、朝起きてから寝るまで、仕事に家事に育児に、こなしているのが精一杯な状態です。仕事中、自分のOTとしての技術や知識の少なさに焦ったり、後輩育成に頭を悩ませたりすることもあります。1年経って、ようやく少しずつ勉強会等に参加できるようになってきましたが、まだまだ不足は補えません。

幸い娘は丈夫なようで、仕事中に保育園からお迎えの電話がくることはほとんどなく、夫の家事や育児への協力、実家の母の協力があって、今の生活が成り立っているように思います。また、職場の方々にも色々な場面で助けていただくことが多く、たくさんのやさしさを感じています。

はたらくママになって、まだこの経験が役に立っていると感じる余裕はありませんが、いつかこの毎日が自分のOTとしても人としても糧になるように、今はただがむしゃらに頑張ってみたいと思っています。また、頂いたやさしさを少しでもお返ししたいと思っています。

これから更に寒くなり、行事が目白押しで忙しくなる季節となります。体調には十分注意して、笑顔で毎日を過ごしていきたいものです。

 

⑧ ◆職場紹介◆ JCHO仙台病院

 

加藤聡美

【病院紹介】
当院は平成26年4月より仙台社会保険病院からJCHO(ジェイコー)仙台病院(独立行政法人 地域医療機能推進機構 仙台病院)へ名称変更となりました。

・診療科目:内科、呼吸器科、消化器科、小児科、外科、循環器科、整形外科、皮膚科、
泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線
科、麻酔科、歯科、歯科口腔外科(以上全17科)
・病床数:428床(実働病床数:418床(一般))
・リハビリスタッフ数:OT 3名、PT 7名、マッサージ師1名、
・対象疾患:整形外科疾患、内部障害、外科疾患、廃用症候群等
【作業療法紹介】
当院は、急性期病院の機能を有しているため、早期離床・自宅復帰を目指し様々な場面でADL練習をはじめ、退院後の生活様式を念頭に置いたプログラムを実施しています。腎疾患を中心とした内部障害においては、他職種と連携し、摂食嚥下等、多角的な視点からアプローチ出来るよう進めています。また、整形外科領域においては脊椎、肩、手外科専門医のもと、機能訓練はもとよりOTの視点から応用動作獲得を目指しています。手術見学の機会もあり医師と積極的にコミュニケーションを取りながらリハビリを進めています。当院でのOTの歴史は浅く、まだまだ発展途上ではありますが、院内で他職種向けのADL指導勉強会の開催等を通して活躍の幅を広げられるよう奮闘しております。
当院の特徴のひとつとして、日本で始めての腰痛・仙腸関節センターを開設し、腰痛疾患への治療に力を入れております。リハビリテーション部としましてもOT、PTを対象とした腰痛セミナーを開催し、多くの方々に参加頂いております。今後も各種セミナー、勉強会を開催予定ですのでよろしくお願い致します。
職場
<住所>
〒981-8501 仙台市青葉区堤町3-16-1
TEL022-275-3111 URL:http://sendai,jcho.go.jp/

 

⑨ ◆つぶやきコーナー◆ 後輩を指導する立場になり

 

総合南東北病院 山川裕崇

今回の掲載の話をいただき、改めて自分はいつの間にか5年目になっていることを実感しました。国家試験合格の発表の喜びを、物心がついて以降初めて母親と抱き合いながら(恐らく、先にも後にもこれが最後ではないでしょうか)分かち合い、緊張のなか現在の職場に入職しました。その時の5年目の先輩といえば、とても頼もしく見えたのを思い出します。現在、キャリアだけはその当時の先輩に追いつきましたが作業療法士としての実力と考えると当時の先輩方に追いついたかというといささか不安を覚えます。

しかし、自分も学生や新人の指導、教育を担当させていただくようになり、彼らが作業療法士としてのキャリアを歩むにあたり少しでも手本、ヒントになれるよう奮闘している毎日です。また、同時に彼らと接する中で自分自身も様々なことに気づき、成長させてもらっているなと実感もしています。

その中で、特に強く感じることは患者さんとの接し方、言葉遣いです。自分も、学生時代に指導していただいていたバイザーの先生に「学生さんは言葉遣いが丁寧ね。初心を思い出させるわ。」と言われたことがありました。5年目の現在、自分も新人や学生を見ていて全く同じこと感じます。無論、自分も患者さんと会話をするときに雑な言葉遣いをしているつもりは全くなく、少しでもきついだけのリハビリにならないようにとの思いで接しているつもりです。しかし、不意に崩れた言葉遣いになってしまっていることもあります。そういった際に、同じ訓練室で丁寧な接し方をしている新人の姿を見てハッとさせられ直前の自分の言葉遣いを反省します。作業療法士という仕事が対人間であり、かつ現在の職場では自分の2倍、3倍の人生経験の大先輩方を相手としている以上、患者さんへの最大限の敬意を払いながら接していかなければと再認識させられます。患者さんに、楽しく充実したリハビリの時間を過ごしてもらうためにも上記のことを決して忘れないよう日々の業務に取り組んでいきたいと思っています。

作業療法士5年目も残り僅かになりました。これからも、先輩はもとより後輩からも多くのものを学び作業療法士として、何より人間として成長させ作業療法士6年目を迎えたく精進していきたいと思っています。

 

⑩ ◆つぶやきコーナー◆ 趣味の力

 

長町病院 伊藤智之

長年お世話になっていた煙草をやめてからもはや2年になる。

それまでにも止めようと思う機会は何度かあった。子供が生まれる時、子供に「煙草臭い、止めて」といわれた時、身体の調子が悪い時など、いずれも止めようと試みたが失敗に終わっていた。そのうちに「別に長生きしたいとも思わないし」と開き直るありさまであった。

ある日愛煙家の先輩が「バイクでも買えるのなら煙草を止めてもいいけど、そうでもなければ楽しみがなくなるよな」と話したていた事が気に留まっていた。最近では時代の影響もあり、周囲のヘビースモーカーだった人も、煙草を止めたという話を聞く。ぱっと止められない自分が情けなく、何とかせねばという気持ちは持ち続けていた。

私はこれまでの健康診断では特に異常を指摘される事も無かったが、40歳を過ぎた頃、初めてのぎっくり腰を経験し、膝は痛くなり、視力がだいぶ低下してきた。消耗品が劣化してきているのか、少しずつ問題が見られるようになってきた。このような不甲斐無い状況に妻が「人生折り返しだね。何もやってない(趣味)けど、何かやったら」と話をしてくれた。

チャンスかも!あの先輩の話していたあの言葉、「バイクでも・・・」「ああバイクに乗りたいな」という思いが徐々に高まっていった。3人の子供とローンもあり葛藤は尽きない、利口な判断ではない事も承知ではあったが、バイクの購入を決意した。

バイクで走っている時の爽快感はなんとも言えない。四季の移ろいを見て走るのが気持ちいい。走った後の洗車もすがすがしい気持ちになり、なんとも達成感がある。

この趣味をきっかけに煙草は止めることができた。理由は単純だ。「煙草にかかる金を趣味にまわす」この趣味を行うためにはある程度、筋力・体力が必要なので筋トレ・縄跳び・ジョギングなど運動も始めた。趣味を通して新しい仲間が増え、色々な仕事をしている人たちとの交流も生まれ、医療関係以外の視野が増えた。年齢と共に、いろんな役も加わり様々な事に追われながら生活している毎日であるが、少しメリハリがついた。これまでの予定にバイクに乗る予定が加わり、他の事も計画的に行うようになった。なにより、忘れていたものを呼び覚まされた感じがあった。

このような事で心境にも変化があり、これまでよりも心に余裕が生まれたような気がする。最近の私は、以前に比べるとあまり患者様とじっくり向かい合えていなかった。それが、この趣味をはじめてから以前のように、ちゃんと向かい合い、思いを傾聴するように戻った気がする。以前から患者様と接する時に気をつけていることがある。“患者様の不安であったり、落ち着かない気持ちを、少しでも和ませる事である”気持ち静かに穏やかに、特別なテクニックではなくその瞬間を過ごせる事が心地よい関係でいたい。このように趣味によっていろいろな事に影響が得られた。

皆さんは趣味によって人生観に変化はありますか。やりたい趣味があるけどやれていない方はぜひ始めてみてはいかがですか。きっと療法士として・人としての深みが増しますよ。(40代男性)

 

◆お知らせ◆ 宮城県士会会員の皆様へ

今年度から宮城県士会のホームページがリニューアルし、とても便利になりました。
会員の皆様!!
ホームページ更新のお知らせ機能への登録(メールアドレス登録)はもうお済でしょうか?
登録しないと、県士会の研修会や他団体の研修会などの情報をいち早く入手できないので、不便ですよ!?
会員向けのお知らせ・ニュース更新も随時メールでお知らせします。
会員の皆さん全員に登録してもらうことで、今後さらに情報発信のツールとして士会活動に活用していく予定です。
登録する際は、県士会ホームページのトップページの右側の箱[お知らせ機能]をクリックしてください。
尚、ご不明な点などありましたら、ホームページ内の「お問い合わせ」からアクセスしていただけますようお願いいたします。
宮城県士会 広報部

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⑪ 編集後記

忘年会シーズンとなりました。今年は例年にないくらい声をかけていただいており、大変うれしく感じております。普段職場でなかなかコミュニケーションをとれていないスタッフとも交流できる貴重な時間となるため、飲みにケーションの大切さを改めて実感しております。皆様も肝臓と相談のうえ飲みにケーションを楽しみましょう♪ 二瓶

 

県士会ニュース132号 2014.10.10

2014.10.10
県士会ニュース

目次

① 地域ケア会議について …  大内義隆
② がんのリハビリテーション … 高橋晴美
③ 全国研修会に携わって …  稲垣成明
④ 障碍者の就労支援研修会に参加して … 今野琢也
⑤ イクメン・イクママより … 三宅由洋
⑥ イクメン・イクママより … 小野智美
⑦ 職場紹介 株式会社 わざケア … 渡部達也
⑧ つぶやきコーナー 5年目を迎えて … 滝沢瞳
⑨ 研修会のお知らせ
⑩ 編集後記

バックナンバーはこちら

 

① 始まってます!地域ケア会議

 

一般社団法人宮城県作業療法士会 学術局長 大内義隆

平成25年度、仙台市のモデル事業として、区レベル(一般的には市町村レベルに該当するもの)での多職種連携の地域ケア会議が年2回、若林区にて開催されました。この地域ケア会議では、「多職種の視点でのアセスメントにより、個別課題の解決を図る」、「多職種専門職の立場から助言をもらい、支援者のアセスメントの質の向上を図る」などを目的としています。アドバイザーとしては、医師、歯科医師、薬剤師、管理栄養士に加えて、作業療法士として私が参加いたしました。介護保険におけるサービス担当者会議とは異なり、担当事業者ではない第3者的立場の専門家がアドバイスを行うのが特徴です。

実際の会議の場においては、地域包括支援センターの担当者より、個別事例のプレゼンテーションがあり、それに対して専門家からのアドバイスを行います。約2時間の間で5~6事例程度の検討を行います。地域の現状としては「リハビリ=体操(機能訓練)」といった偏った思考も根強いため、私自身は生活歴や家庭内の環境などについても考慮しながら、活動や参加に対して自立支援に結びつくような思考を持っていただけるように心掛けながらアドバイスを行っております。

今年度からは、若林区に加えて太白区での開催が決定しており、どちらの区もリハビリテーション専門職の代表として、「作業療法士」がアドバイザーとして参加します。平成27年度からは仙台市全域で本格的に行われる予定であり、今後、多くの作業療法士が関わる可能性があります。地域包括ケアシステムの構築に向けての取り組みが進んでいく中、その一役を担う地域ケア会議です。仙台市が、そのアドバイザーとして「作業療法士」を指名している意味を大切にしながら、宮城県作業療法士会としても、それらの期待にしっかりと応えられる準備を進めていかなければならないと責任も感じています。

県士会では、今後もこのような地域包括ケアなどに関する情報配信や研修会の企画等も検討しておりますので、皆さんも興味を持って情報収集等に努めていただければと思っています。

 

② がんのリハビリテーション

 

東北大学病院 高橋晴美

がんは自分勝手に増殖を繰り返し正常な細胞を侵蝕してその臓器の機能障害を、また、血行性、リンパ行性による遠隔転移により転移した臓器(肺・骨・リンパ節等)の機能障害を起こしてしまいます。さらにがん悪液質により倦怠感や電解質異常など様々な症状が引き起こされ、手術や化学療法、放射線療法による副作用(骨髄抑制、食思不振、神経障害等)も生じてしまいます。がんのリハは、これらさまざまな症状に対して行われます。

当院OTでは脳腫瘍、骨軟部腫瘍、乳癌、頭頚部癌、その他さまざまな臓器の進行がんに対するリハを実施しています。たとえば乳癌の方との最初のかかわりは乳房切除術の周術期における肩の可動域訓練とそれを維持するための退院後の自己管理指導から始まりますが、手術で腋窩リンパ節郭清をした方にはリンパ浮腫予防指導(主に看護が行いますが、必要時それを補います。)も行います。リンパ浮腫が起きてしまった場合にはスキンケアからドレナージ、圧迫療法、運動療法、生活指導といったリンパ浮腫に対する包括的リハも行います。乳癌は比較的進行が緩やかながんではありますが、それでもやはり長い経過の中で再発や転移(骨、肺、リンパ節、脳、肝など)を起こしてしまう方がいらっしゃいます。骨転移が起きた場合にはまずは起居動作方法の指導を行いながら生活環境の調整を行いますし、肺転移が起きた場合には呼吸リハ(呼吸方法指導、ADL指導など)を、脳転移を起こした場合には片麻痺に対するリハを行います。また治療やその副作用により廃用症候群をきたしてしまった場合には、離床を進めながら心身の回復を促すために筋力訓練や作業活動等を行います。

治療の進歩とともに「がんサバイバー」といわれるがんの診断を受け、治療やフォローアップを受けながら社会生活を送っている方が増えています。緩和医療もがんの診断を受けた時から始まることが提唱され、全人的ケア(身体的、精神的、社会的、スピリチュアルな痛みに対するケア)を行うことにより、患者とその家族のQOLを維持することが強く求められています。がんの患者さんの生活を支えるためには私たちリハ職種を含めたチーム医療が欠かせません。

 

③ 全国研修会に携わって ~作業は人を健康にする~

 

日本作業療法士協会教育部全国研修会担当 東北福祉大学 稲垣成明

作業療法全国研修会は、毎年東・西2会場にて、日本作業療法士協会が都道府県の作業療法士会に協力を依頼し開催している。近年の参加者は、経験年数10年未満の作業療法士が多く、作業療法のちからを養うための講演を16講座企画している。

本年度のテーマは、「作業は人を健康にする~その人の暮らしを支える技術~」とし、作業療法の原点となる「作業」「生活」を基に、作業療法における不変的な核を深く理解すること。その実現・実施において参加者が無限の可能性を学び・共感し、ひとりひとりが臨床で力を創出することへ期待を込めている。

平成26年8月30~31日の2日間、青森県の八戸市公会堂・公民館にて、第54回作業療法全国研修会(青森会場)が開催された。開催までの準備ならびに当日運営には青森県作業療法士会の全面的なご協力のもと開催となり、総勢約360名(協会員・他職種・学生及び一般:公開講座)の方々に参加いただいた。

公開講座では、町亞聖先生(アナウンサー)には「十八歳からの十年介護」のテーマで、ご自身の介護者としての苦悩・希望・楽しみなどの経験や作業療法士との出会いについて講演いただいた(町さんのブログに講演のことが載っていますので時間がある時に是非ご覧ください)。県士会企画講座では、今明秀先生(八戸市立市民病院 副院長・救命救急センター所長)に「救命救急の現状・Drヘリについて」のテーマで、研修医時代~救命救急医としての経験・重要性など講演いただいた。その他を含めた全16講座が作業療法の近年のトピックス、国政やOT協会の動向といった幅広く、内容も濃い内容で行われ、私自身、運営という立場での参加でしたが、第一線で活躍されている作業療法士の方々の講演を領域を超えて直接聞くことができたことはとても有意義でもあり、各先生方が作業療法の可能性や臨床家一人一人に道しるべをしっかりと示してくれていると実感し、その思いは会場全体で共有され、それぞれの道に広がっていくと確信している。

第55回作業療法全国研修会(奈良会場)は、奈良県文化会館にて、12月6~7日に開催する。内容は今年度のテーマに沿い、青森会場とは多少演者を変えた形となる。事前受付は、10月31日まで、当日受付も行っているため、多くの方の参加を期待している。また、平成27年度は、富山県、山口県で開催予定となっております。

 

④ 障碍者の就労支援 ~作業療法士が知っておきたい基礎知識2~ に参加して

 

坂総合病院 今野琢也

仙台市内にある就労支援センター ほっぷ で行われた、高次脳機能障害者の就労支援に関する学習会に参加しました。今回この学習会に参加させていただいたのは、私が所属する職場ではスタッフ数が多い事もあってか、就労支援を経験した事がほとんどなく、職場の他スタッフと会話をする中で経験の少なさに不安を感じたからでした。

今回の学習会では初めにNPO法人 ほっぷの森 理事長の白木福次郎氏と副理事長深野せつ子氏より「障がいのある人の就労」ということで就労支援事業についてのお話があり。実際の ほっぷの森 での支援事業を例に分かりやすく説明して下さいました。また、元々、医療関係者ではないお二人が支援事業に関わるようになった経緯等もお話し下さいました。

次に東北保健医療専門学校の原田勝行先生から作業療法士が知っておきたい基礎知識と題して講演がありました。原田先生はその中で、これからのOTに求められる事として「働かない」のか「働けない」のか「働かないほうがいい」のか、『見極め』が大切だと話されていました。

その見極めのための手段として、二つのツールを紹介していただきました。1つ目は就労支援マップです。目標を統一するためのツールで、県内のそれぞれの圏域ごとに分かれており、その圏域で利用できる事業所が支援内容ごとに分類され、一覧から選び出すことができるようになっています。実際に必要箇所を入力すると、目的にあった支援を行っている事業所名を知ることができました。

2つ目は幕張版ワークサンプル(簡易版)です。「出来る」「出来ない」を作業から見るためのツールという事で、OA作業などの事務作業や、重さ計測など実務作業が用意されており、自分はPCでの文章入力を体験しましたが、先に進むと難易度が高く、ダイアログが出てくるなど一定の手順を踏んでから先に進むように工夫がされていました。

今回は実際に就労支援事業が行われている場所が会場で、実場面を一部体験し普段当事者の方と直接関わっている方からお話しを聞くことができた事は貴重な体験でした。院内では情報が偏りやすく、一人のスタッフの経験を多くのスタッフが共有できる環境も必要と感じました。また、退院後の患者様の様子を把握することも難しく外部に目を向けていく必要があると感じました。今後も職場内で、情報を共有しながら、日々取り組みたいと考えました。

 

⑤ イクメン・イクママより 「パパ・ママセラピスト日記」

 

仙南サナトリウム 三宅由洋

みなさんこんにちは、今回はパパセラピストとしての私の日常を紹介して欲しいとの依頼でしたので、私のパパセラピストとしての考えと家族について書きたいと思います。

私は、白石市内にある精神科で認知症治療病棟の専従OTとして働いています。私以外5名の作業療法士に囲まれ、日々楽しんで仕事をしています。家では4歳と2歳の可愛い息子、同じ作業療法士をしている妻と暮らしています。趣味はフットサル、週末は公園で遊ぶことやフットサル観戦をしています(しっかり仕事もしていますよ)。

急ですが、パパ・ママセラピストって大変ですよね。家事や育児をしながら、患者さんのことを考え・・・体と頭が悲鳴を上げても休めない・・・そんな経験、みなさんもありませんか。

最近「マタニティブルー」って言葉を多く耳にします。簡単に言うと、産後に情緒不安定になることです。子育てと仕事の両立って、本当に大変です。「自分の子供だろ!甘い!」って聞こえてきそうですが、実際に経験すると想像以上ですよね。ママセラピストなんか、もっと大変ですよ。小さい子供は、24時間ママを求めていますからね。一時も気を休めないと思います。仕事に復帰しても、保育園からのお迎えの電話・・・患者さんがいるのに、子供の面倒をみなきゃいけない。職場によっては、精神的に辛い思いをしている方も多いのではないでしょうか。

皆さんの職場にも子育てをしているスタッフがいたら、しっかりと応援してあげてくださいね。ちなみに、私の職場には、同世代の子供を持つスタッフが多いので、患者さんのことだけではなく、育児の悩みなどもオープンに話をし、パパ・ママセラピストが子育てをしながら気持ちよく働けるように応援しています。

みんなで協力して働きやすい環境が出来たらいいですよね。子供にも、働く親にも優しい社会が出来ることを願っています。

最後に私事ですが、妻が今年の春に作業療法士国家試験に合格しました。結婚や出産・子育てを経て、6年越しの合格を果たしました。ママセラピストとしての第一歩を踏み出しました。日々頑張っているパパ・ママセラピストの方も、共に頑張りましょうね。

 

⑥ イクメン・イクママより 「私が仕事と子育て両立から思うこと」

 

仙台リハビリテーション専門学校 小野智美

「子育て中の方、これからの方への応援メッセージのつもりで書こう!」と、出産から今までを振り返ってみました。・・・しかし考えてみると、私も現在2児の子育て真っ最中。よそ様を励ますなんておこがましく、私自身が応援をもらっている立場であることに改めて気づかされました。

現在、OTを目指す学生の育成に従事しています。学生の成長を目の当たりにする喜びとともに、私自身がもっと成長しなければと感じながら奮闘しています。

学生の育成では、個々人に合わせた課題を見つける視点を持ち、設定した課題に取り組む意欲をもたせることが大切。そして、医療人として適切な行動や情緒面、人間関係を築く力を促すことが求められますが、それらすべてが子育てと共通していることを日々感じています。

我が子の行動を客観的にとらえ、どのようなやり取りを展開させれば子どもが成長できるだろうかと考えるとき、作業療法で学んだ事が母親として生かされていると改めて感じます。このように、作業療法の知識や技術は、様々な場面で私を助けてくれています。

仕事と子育ての両立は、沢山の方たちの理解と協力のおかげで成り立っています。私は、幸い家族の協力が得られ、子どもを保育所に預けて産後半年から仕事に復帰することができました。その時に周囲から、「そんなに小さい子どもを預けるなんて可哀そう」と言われたことがありました。当時の私は、子どもと一緒にいたい気持ちを抑えて仕事復帰を前向きに考えていたため、この言葉を言われることがとても辛かったです。仕事を続ける中で、子どもの体調が悪いときにそばにいてあげられないことがあり、負い目を感じることもありました。上の子が小学校に入り、これまでを振り返ると、乳幼児期からの保育所での経験やたくさんのお友達との出会いが、我が子をしなやかに育んでくれたなぁとしみじみ感じます。子どもだけではありません。私自身も、仕事に復帰したからこそ得られた人のつながりがあり、作業療法士として仕事に悩んだ時も子育てで悩んだ時も、周囲に支えられていることに感謝する日々です。周囲の優しさに気づいたとき、自分も優しくなりたいと思うようになりました。

 

⑦ 職場紹介 株式会社わざケア

 

渡部達也

【施設紹介】
株式会社わざケアは、「医療人として職の『わざ』を磨き、利用者に対し常に最高の『ケア』を提供し、年齢や障害のあるなしに関わらず、だれもが住み慣れた家・住み慣れた土地で地域社会の一員として生活できるように支援します。」を理念とし、平成26年2月に創業しました。現在は指定訪問看護(平成24年4月~)と居宅介護支援(平成26年4月~)を運営しています。
今はまだ介護保険制度の範囲でしか事業を展開していませんが、いつか地域でもっと伸び伸びと作業療法士が活躍できる仕事の環境を作りたいと考えています。

≪所在地≫地下鉄富沢駅と山田インターチェンジの間の田園風景が広がる太白区富田に事務所を構えています。
わざケア外観
≪スタッフ≫看護師4名、作業療法士5名(1人非常勤・1人産休中)、介護支援専門員1名の計10名(10月1日現在)が在籍しています。

【作業療法紹介】
作業療法士は訪問看護ステーションに所属しており、そこから訪問リハビリテーションを行っています。訪問範囲は主に仙台市太白区・若林区、名取市で、対象者は介護保険と医療保険では半々くらいとなっています
対象疾患は神経難病の方が比較的多いですが、小児や精神の方もおり対象疾患は多岐にわたります。そのため医療知識から環境調整や制度まで身につけなければならないことが多いので、日々研鑚を積みながら地域に選ばれる事業所を目指しています。

リフト研修会

リフト研修会

まだまだ地域にリハ職は足りていません。地域で仕事をしたい!と思っている人がいれば事業所としていつでも同行訪問を受け付けています。下記までご連絡ください。
これからのOTの活躍の場は地域にあります。一緒に盛り上げていきましょう!

<住所>
〒982‐0033  仙台市太白区富田字上野西16-6 小島興産事務所2階
TEL:022-743-1580 FAX:022-393-6131 E-mail:watanabe@wazakea.com

 

⑧ つぶやきコーナー 5年目を迎えて

 

仙南病院 滝沢瞳

今の職場に入社して、作業療法士になって5年が経ちました。就職して約3年間はOTは1人という環境で、患者様のことはもちろん作業療法とは何か・自分に何ができるのか等たくさん悩んでいました。PTとの違いが分からなくなったり、リハビリが上手くいっても「本当にこれで良いのか」とモヤモヤした日々を過ごしていたような気がします。

現在OTは大ベテランの先輩と新人さんの3人で日々楽しく頑張っています。他スタッフも面白い人ばかりで少しずつですがOTの仕事の楽しさや大変さ、役割を見出しているところです。

先輩が出来て感じたことは尊敬と自分の実力不足でした。同職種でしかもベテランの先輩が出来て喜びを感じるとともに知識・技術・患者様に対する接し方などを目の当たりにし、単純にすごいと思いました。少しでも近づきたいと思う反面、あまりの治療技術等の差にそれまでの積み重ねが小さく思えて落ち込んだ時期もありました。しかしその積み重ねをきちんと評価してくれて、今は落ち込むのではなくその技術に追いつこうと頑張るきっかけとなっています。

後輩が出来て感じたことは不安と期待でした。先輩として何をしたらいいか、何ができるのか不安でした。しかしそこは先輩や他スタッフと一緒に取り組めているおかげで後輩も一生懸命ついてきてくれています。

思い返してみるとOTが増えたのを機に視野が広がったように感じます。先輩との違いに対し「違って当たり前。頑張って追いついてね。」と励ましてくれたり、リハビリがうまくいかない時に一緒にみてくれたり、悩んだ時に助けてくれたのはいつも他のスタッフ達でした。実は相談できる人が近くにいたのに最初の頃は「1人で頑張らないと」と、周りに目を向けれず自分の殻にこもっていました。OTが増えたことで肩の荷が降り先輩はもちろん、患者様や他スタッフに色々な話ができるようになり多くのことを学べたように思えます。

今回この記事を書いて改めて人との繋がりやそれを受け入れることの大切さを感じています。5年目を迎えて自分だけでなく後輩や実習生の事も考えていく時期かと思います。助けてもらった分、今度はその人達にも何かしらのきっかけを与えられるよう、職場の人達や患者様と一緒に成長していきたいと思います。

記事を読んで頂きありがとうございました。古くてちょっとボロが多い病院ですが楽しいスタッフばかりなので是非遊びに来てください!

 

⑨ 研修会のお知らせ

平成26年度 現職者共通研修・選択研修研修会(予定)

●第2~8回現職者共通研修 研修会
日時:平成26年11月~12月予定
実施テーマ:「作業療法における協業・後輩育成」「職業倫理」「作業療法の可能性」
「保健・医療・福祉・地域支援」「実践のための作業療法研究」
「日本と世界の作業療法の動向」「事例報告と事例研究」
※予定につき変更の可能性があります。
詳細が決まり次第、宮城県作業療法士会ホームページにアップいたします。

●第1回現職者選択研修 研修会
日時:平成27年2月上旬予定
実施テーマ:「身体障害領域の作業療法」
※予定につき変更の可能性があります。
詳細が決まり次第、宮城県作業療法士会ホームページにアップいたします。

 

⑩ 編集後記

県士会ニュースが紙面からHPへの掲載となり、今回が4回目の発行となりました。みなさんに読んでいただけていましたでしょうか? 県士会HPも新しくなり、今後も新たな機能が追加されていく予定です。勉強会や県士会活動などの情報収集をしながら県士会ニュースにも目を向けていただければと思います。角山