宮城県作業療法士会

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県士会ニュース131号 2014.7.30

2014.07.30
県士会ニュース

目次

① 平成26年度宮城県作業療法士会の活動方針 …  上遠野純子
② 平成26年度会員交流会(新人交流会)の報告 … 安達健朗
③ 平成26年度定期総会の様子
④ WFOT2014への参加 … 角山亮祐
⑤ 職場紹介 訪問看護ステーション青葉 … 及川貴枝
⑥ つぶやきコーナー … 大場郁美
⑦ 編集後記 … 義野知里

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①◆平成26年度宮城県作業療法士会の活動方針◆

 

会長 上遠野純子

新年度を迎えはや3ヶ月が過ぎ、会員の皆様には慌ただしい毎日をお過ごしのことと存じます。
先日6月1日には当法人の26年度総会を開催し、昨年度の活動報告ならびに本年度の活動内容の概要を説明させて頂き、全ての議案に承認を頂きましたこと会員の皆様には厚く御礼申し上げます。
今回のニュースには今年度の活動方針の概要を説明させて頂きたいと思います。あわせて、詳細は総会議案書に記載しておりますので是非ご一読下さい。

さて今年度の県士会の活動に関しては、4つのキーワードを掲げました。
①連携②人財育成③啓蒙④組織力強化です。
当法人も一般社団法人格を取得して5年が経過し、他職種との連携事業も増え、その中では作業療法士への期待や要望も数多く聞かれています。
またここ数年、後援依頼等も増えていることは、当士会の、地域医療や保健・福祉向上ために果たす役割の大きさを裏付けていると考えます。
私たちは、周囲の期待の大きさを実感しながらも、積極的な行動をとっていたでしょうか。
他職種が集う場では、お互いにその専門性を尊重しながらも、作業療法士として果たす役割を認識し、より良く連携する方法を会員ひとりひとりが体得していかねばなりません。
また当士会で行ってきた災害支援活動においては、作業療法士の技術は震災後の県民生活の復興支援に大いに役立ったと認識しています。
避難所支援に引き続き,継続的な応急仮設住宅での支援活動では、領域を超えた幅広い知識と技術、即応力と実践力を兼ね備えた作業療法士が求められています。
次世代を担う若い作業療法士が、地域で活き活きと作業療法を展開出来るようにするためにも、作業療法で用いる技術の習得や展開しやすい作業活動のスキルの向上を目指した研修活動を県士会活動でも展開して行きたいと思います。
そして地域になくてはならない存在として作業療法士があることを実現し、作業療法士のさらなる職域拡大を図って行きましょう。
また、啓蒙活動についてですが、広報活動の充実は、将来的にはより良い人材の確保に繋がっていくことですので、より積極的にアピールして行きたいと思います。
今回県士会ホームページをリニューアル致します。
内容の充実をはかることはもちろんのこと、より見やすく、使いやすいものにして行くことを考えております。
啓蒙活動におけるホームページの役割も大きく、会員の皆様のご意見も伺いながら、内容の充実を図って行きたいと思いますので、是非ご意見をお寄せ下さい。
当士会の会員数もまもなく800名を超えようとしている今、大きな組織として社会の注目を受けていることは前述の通りです。
この現実をむしろ強みとして新たな県士会としての事業を展開すべく積極性を持った運営を心がけて、活動を展開して行きたいと思いますので、何卒会員の皆様のご支援ご協力を今後ともお願い申し上げます。

 

②◆平成26年度会員交流会(新人交流会)の報告◆

 

福利部長 安達健朗

6月1日日曜日、東北保健医療専門学校にて平成26年度会員交流会(新人歓迎会)を開催いたしました。
この交流会は、新入会員の皆さんが県士会員として、共に働く仲間と交流する機会を提供できればと、福利部の事業の一環として毎年定期総会の昼休みを利用して開催しております。
ブロックごとに用意されたテーブルに分かれて軽食をとりながらお互いの顔合わせや先輩OTとの交流を行ないます。

今回は昨年の60名をはるかに上回る101名の会員が参加し、大いに盛り上がりました。
予想参加人数を大幅に上回り、用意していたオードブルだけでは足りなくなり、急遽福利部員が食事の追加のため会場周辺のコンビニを走り回るといううれしい誤算もありました。

多くのブロック長の方々にもご参加いただき、各ブロックの活動報告やPRをしていただきました。
それぞれのブロックの特色を知ることができ、ブロック間で積極的に情報交換をされている会員の方々も見受けられました。
養成校を卒業して間もない新入会員の方にとっては同級生との久々の再会の場にもなったようです。
また、今回は9月に岩手県で開催される第25回東北作業療法学会のPRもあり、宮城県のみならず東北の作業療法の現状についても知る機会になりました。

このような交流会を通して、職場内のOTだけでなく、ブロック内のOTと、そして県内のOTと繋がりを持ち、お互いが協力していけるようなきっかけとなって頂ければ幸いです。
今回参加して下さった皆さんも、参加できなかった皆さんも、またのご参加をお待ちしております。

福利記事写真

 

③◆平成26年度定期総会◆

6月1日に平成26年度の定期総会と合わせて、新人オリエンテーション、会員交流会が行なわれ100名を超える方たちが参加されました。
こちらではその様子を写真でご紹介します。

『定期総会』

定期総会① 定期総会②

『会員交流会』

会員交流会① 会員交流会②

 

④◆WFOT2014への参加職場紹介◆

 

介護老人保健施設なとり 角山亮祐

6月18日から開催されたWFOT2014(第16回世界作業療法士連盟大会・第48回日本作業療法学会)に参加してきました。
世界作業療法士連盟大会はアジアでは初めての開催となり、日本の方はもちろんですが海外からも多くの方が参加されていました。
4日間にわたって行なわれた学術プログラムでは、テーマごとに様々な国の方々がそれぞれの国での取り組みについて発表されていました。
国際学会ということでプログラムの多くは英語でしたが、同時通訳があったこともあり英語の苦手な私も講演や様々な発表を聞くことができました。

今回、私は発表者として参加させていただき、当施設での生活行為向上マネジメントを活用した取り組みについて発表を行ないました。
WFOT2014は私にとって初めての国際学会であり、わからないことも多く、英語での抄録の作成、演題登録と発表にいたるまで困難なことも多くありました。
しかし、昨年の準備期間から多くのご指導をいただけたことでなんとか発表当日を迎えることができました。
発表はポスターで行ない、1時間程度のフリーディスカッションという形式でした。
当日は日本の方だけでなく海外の方への対応も想定しながら資料を用意し、ポスターの前で緊張しながら簡単な英語の挨拶などを思い出していました。
発表の際は海外の方から会場の案内を頼まれるといったまさかの事態もありましたが、つたない英語とジェスチャーを交えたコミュニケーションで対応しつつ、発表の場では様々な領域で働くOTや学生と幅広い方々と意見交換をすることができ、今後につながる良い経験をさせてもらいました。
気がつくと1時間という時間はあっという間に過ぎ、緊張しつつも楽しかったと感じる充実した時間を過ごさせてもらいました。

WFOTについては、学生の頃から知ってはいたものの、あまり縁がないものだと思っていました。
今回、参加するチャンスをいただいた当初も言葉の壁を感じ、不安も多くありました。
しかし、学会を振り返ってみると、多くの方々と出会い、様々なお話を聞くことができ、「楽しかった」ということが一番の感想です。
今回得ることができた貴重な経験をこれからに生かしていきたいと思います。

次回、第17回世界作業療法士連盟大会は南アフリカでの開催となります。
日本からの移動はなかなか大変かと思いますが、今回の学会には南アフリカの方も参加されていました。興味のある方は是非参加されてみてはいかがでしょうか。

WFOT

 

⑤◆職場紹介◆

 

『訪問看護ステーション青葉』

及川貴枝

【施設紹介】
《スタッフ数》 看護師 3名、理学療法士 4名、作業療法士 2名
《業務内容》 利用者様のご自宅や有料老人ホーム・高齢者専用賃貸住宅等の施設へ訪問しバイタルチェック、身体機能・ADLの評価と練習、環境調整(福祉機器の紹介・導入、家具の配置検討)などを実施。
その他に訪問施設職員への実技指導など。
《対象疾患》 脳血管疾患、廃用症候群、骨折等の整形疾患、呼吸器疾患、悪性腫瘍、神経難病(パーキンソン病、ALS、皮膚筋炎、多系統萎縮症、脊髄小脳変性症)等
《職場の位置》 石巻市立青葉中学校となり、第二恵仁ホーム内

【リハビリの紹介】
石巻市では市町村合併で市の面積が拡大し、訪問リハビリの事業所は市中心部に集中しているため、広範囲への訪問が必要となっています。
そのため当施設では東松島市、登米市、雄勝・北上地区など片道約1時間の距離も訪問しています (要相談) 。

訪問地域内には震災により家を失い、仮設住宅に長く住まれている方や新しい住居に移った方が多くいらっしゃいます。
そういった方々の生活には、仮説住宅の広さの問題から利用できる福祉機器が制限されたり、コミュニティを移ったことで活動や交流の幅が狭くなったりと被災地独特の問題がみられます。
外に出て人と係る機会が少なく、話し相手として必要としている方も多いため、話すことや聞くことも重要な仕事となります。
限られた環境の中で利用者様やご家族様がより生活しやすいよう、各家庭に合わせた工夫をしながら指導・支援を行うよう努めています。

施設内には看護師とリハビリ職員が同室にいるため、訪問の前後でコミュニケーションを図れる連携のとりやすい環境となっています。
職員同士で地域のイベントに参加するなど交流も多く、日々楽しく仕事を行っています。

職場紹介

<住所>
〒986-0853 石巻市門脇一番谷地57番地の18
TEL:0225-21-8207 HP:http://www.jinmei.or.jp/saito/index.html

 

⑥◆つぶやきコーナー◆

 

『5年目を迎えて感じること』

大崎市民病院鳴子温泉分院 大場郁美

気が付けばあっという間に5年目。
この原稿依頼のお話をいただいて改めて振り返ってみると、仕事を覚えることにただただ必死だった1年目を思い出しました。
多岐にわたる仕事内容から自分に何ができているのか分からず、作業療法ってなんだろう?と悩む毎日だった気がします。

私が作業療法を知ったきっかけは、福祉関係の仕事に就きたいと探していた時に、以前准看護師をしていた母が教えてくれたのが最初でした。
その後看護師をしている祖母の仕事先に作業療法士がいることを知り、見学をさせてもらったり、友人が理学療法士を目指していることを知ったりとまったく知らなかったリハビリ、作業療法士という仕事が身近なものになりました。

就職してすぐは回復期病棟の専従として様々なことを経験させていただきました。
基本的な技術や関わり方、カンファレンスやご家族との面談など初めてのことばかりでしたが、日々変化していく患者様をみて、成長しなければという思いが強くなりました。

今年度で5年目を迎え改めて感じることは、「人」を相手にすることの責任の重さです。
一人ひとりの思いや長年の生活スタイルがあり、その中に自分が関わることはとても難しいことだと感じています。
また、患者様ご本人はもちろん、その周りを取り囲むご家族や医師、看護師、ケアマネジャーなど様々な方と関わりを持つ中で、自分の一言、行動が自分の思っている以上に周りに影響を与えていたり、逆に上手く伝わっていなかったりすることも多く、伝える内容やタイミングなどには毎回苦戦しています。

「作業療法士として自分に何ができるのか」は常に自分のテーマとなっていますが、技術の向上はもちろん、日々の会話を大切にし、患者様が自然と「~したい。」と話せるような関わりをしたいと思っています。
自分を支えてくださる方々に感謝し、これからも患者様とともに挑戦しながら成長していきたいと思います。
読んでいただきありがとうございました。

 

⑦◆編集後記◆

 

先日、10月に行われる第16回宮城県作業療法士学会の演題登録を終えました。人前で発表するのは苦手な私ですが、上司や先輩方の勧めもあり、また、今年でOT4年目ということもあり、発表する機会を作ろうと決めていました。今年は職場の中でも新人指導や学生指導をやらせていただくポジションで、伝えることの難しさを日々実感しています。これから発表の準備をしますが、下半期も自分のいいたいことを人に伝える術を深く考え、悩む日々になりそうです! 義野

県士会ニュース第130号 2014.3.10

2014.03.10
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目次

生活行為向上マネジメント研修会報告… 酒井良隆 ①

事業部研修(発達シリーズ)無事終了~!… 遊佐亜希子 ②

デンマーク王国研修に参加して………高橋春信  ③④

職場紹介① 特養エコーが丘…………山田みゆき? ⑤

職場紹介② 特養せんだい郷六の杜 ……… 川越晴美 ⑥

つぶやきコーナー………………阿部知美、鈴木竜二 ⑦ 佐藤かおり ⑧

編集後記……………………………………? 蒲原みなみ ⑨

 

今回、事業局 局長の葛西康先生より、事業部精神班研修報告を投稿いただきましたので、下記に掲載いたします。

 

 

①◆事業部精神班主催 生活行為向上マネジメント研修会報告◆

 

事業部 酒井良隆

 平成26年2月8日に東北文化学園大学にて介護老人保健施設なとり 大内義隆先生、介護老人保健施設せんだんの丘 松本幸子先生を講師に生活行為向上マネジメント研修会を開催致しました。参加者数は、40名でした。大内先生は生活行為向上マネジメント推進委員でもあります。生活行為向上マネジメントを推進していくにあたっての根拠と推進方法、国策に連動した日本作業療法士協会の実施計画をはじめにお話し頂き、必要性及び有効性について話されました。その後実際の取り組みを学会発表の内容を交えて実践報告して頂きました。生活行為向上マネジメントを作業療法の「見える化」のツールとして活用するという、作業療法の普及啓発も役割としてある点も話されました。松本先生からは、実際に施設で生活行為向上マネジメントを活用されている事例についてご紹介頂きました。対象者への支援ツールとしてだけでなく、施設内でも他職種との連携のツールとして利用されており、その実践例を交えてお話し頂きました。

対象者の方の「こうありたい」という思いに、ADL・IADL面にとどまらず、人生そのものを豊かなものにしていく作業療法の役割を、わかりやすく、「見える化」して示すことが出来るツールであることがわかりました。領域問わず使用できるツールであるだけに、各領域で使用され、多くの事例が集まることを今回の研修企画を通じて願っております。

事業部精神班に所属するものとして、今後に向けてのご提案があります。精神科領域にてご活躍されている皆様に、この生活行為向上マネジメントというツールを使って対象者の方々の支援をして頂きたいと思っております。決してこのツールは特別なものではなく、これまで我々が対象者支援の中で考えてきた事柄を「見える化」したものになっています。つまり作業療法士の行う支援内容が他職種から見てもわかるようになっており、連携がスムーズなものになります。多くの対象者の人生を豊かなものにしていくものでもありますので、ぜひご活用ください。

最後に我が事業部精神班では、班員を大募集中です。精神障害領域でご活躍の方、認知症などを対象とされている高齢期領域でご活躍の方、ぜひ研修会企画や宮城県民への作業療法の普及啓発に向けた取り組みを一緒にやってみませんか。お気軽にお申込み下さい。

 

 

 

②◆事業部研修(発達シリーズ)無事終了~!◆

 

 

事業部 遊佐亜希子

 去る2月1日、第5弾となる発達障害シリーズ、「育てにくいのにはわけがある」の研修会を開催しました。

講師は名古屋大学大学院作業療法学講座教授の辛島千恵子先生をお呼びしました。

昨年10月開催予定が大型台風の影響で延期となり、キャンセルの電話では皆さんの期待の声も大きく、念願叶っての開催となりました。

午前はOT向け、午後は他職種向けでしたが、午後の部が予想以上の反響で200名を超え、急遽変更した会場も定員ぎりぎりに達した状況でした。

“情動的コミュニケーション(=繋がりや共有を目指し関係をとり結ぼうとする関係)”、私には聞き慣れない言葉でしたが、感覚-運動機能と併せて重要な発達の視点であると先生の話を聞いて共感しました。

先生にお会いした第1印象は、“小柄でかわいい”でした。講義をお聞きする中で、先生の信念やOTとしての経験の積み重ね方など発達障害の知識だけではない想いの詰まったお話もお聞きすることができたことも有意義な時間でありました。

さて、今回の研修会(午後の部)は県の委託事業でもあり、PT・ST 3士会に加えて広く周知しました。参加者の半数以上が保育士さんで、その他ご家族や当事者の方も数名いらっしゃいました。

アンケートでも、「具体的でわかりやすい」、「なるほどと感じた」、「再確認した」等…そして「もっと話を聞きたかった」と多数ご感想をいただきました。

毎年少数の発達班メンバーで研修会の企画については頭を悩ますところですが、周囲の声も聞きつつ興味深い先生をお呼びしてお話が聞け、そして啓発活動へつながるきっかけとしては年に数回よい機会と思っています。

反響があることでまた班員でも次の企画へつながっていけるかなと感じています。

もしぜひ班員へ興味がありましたらいつでも事業部へお声掛けください。お待ちしております。最後は宣伝で終わらせていただきます(*^_^*)

 

 

③④◆デンマーク王国研修に参加して◆

 

涌谷町町民医療福祉センター

高橋春信

 私が勤務する涌谷町町民医療福祉センターは、涌谷町の地域包括ケアに取り組んでいる。涌谷町では平成15年にデンマーク王国(以下:デンマーク)ソロー市と姉妹都市を締結。交流事業として医療・介護スタッフの現地研修が実施されている。昨年8月、現地研修にて貴重な経験を得ることが出来たので報告をさせて頂く。

01

デンマークでは成人になると独立して生活することが慣例で、核家族化が進んでいる。そのため、病気やケガ等により病院での治療終了後や加齢からくる機能低下、認知症等により生活障害が大きくなり、自宅での生活が難しくなる等の理由により、高齢者・介護住宅に入居等をして、各種の公的サービスを受けるのが一般的である。愛用していた家具などが持ち込まれ、そこが新しい『家』となる。

02

高い税率(消費税:25%、所得税:38~68%等)を背景に国家予算の8%を公的サービスに使用。医療・介護サービスや福祉用具レンタル等は各自治体の判定会議で認められれば無料で受けることができる。街中では歩行補助車やセニアカーを利用し、買い物や散歩をされている方を多く見かけ、福祉用具が普及していることがうかがえた。

03

リハビリテーション(以下:リハビリ)も公的サービスで提供されている。ソロー市ではリハビリセンターにOT・PT・STを配置。外来個別リハビリの他、膝靱帯損傷術後者やバランス能力低下者などテーマ毎のグループリハビリ、在宅生活者への訪問リハビリなどが実施されている。脳卒中などの脳血管疾患の方は少なく、靱帯損傷や骨折等の術後の方が外来で多く通われていた。リハビリの内容はフィットネストレーニング中心でセラピストによる徒手的な関わりは少ない印象を受けた。また、日本では医師の指示の下リハビリは提供されるが、デンマークではセラピスト単独で提供できるのも大きな違いである。

04

今回の研修では充実した2週間を過ごすことが出来た。皆さんもチャンスがあれば他国の制度やリハビリを見聞してみてください。

 

 

 

 

⑤◆職場紹介①◆

 

『特別養護老人ホーム エコーが丘』

山田みゆき

【施設紹介】
《定員》長期入所:70名 短期入所:30名
《リハビリスタッフ数》作業療法士 1名
《OT業務内容》長期および短期入所の機能訓練指導員として勤務
《対象疾患》

認知症(アルツハイマー型認知症、老人性認知症、脳血管性認知症、前頭側頭型認知症)

脳血管疾患後遺症、パーキンソン病、廃用性症候群

 

05
【作業療法紹介】

特別養護老人ホームでの作業療法の大きな特徴は、日常生活に、より密着した生活支援が出来ることです。機能訓練指導員としての実施内容は、介護スタッフへの指導が中心ですが、24時間、実際のADL場面を通して機能面に働きかけています。嚥下障害のある人の摂食・嚥下の取り組み、ベッド上での臥床姿勢や車椅子座位でのポジショニング、身体機能維持のための体操指導、より安全な移乗・移動動作の援助、車椅子や歩行器等福祉用具の選択など、機能低下の予防・機能維持を目標に行っています。

06

また、利用者様の中には、疾患や加齢により昔出来ていたことが出来ないことでの落ち込み、不安、諦めなど悲観的感情を抱えている方がおります。そのような方には施設で生活する中での楽しみや趣味を一緒に見つけ、それを作業療法に活かします。洗濯干しや掃除等の家事・手伝いを日課にしたり、散歩や買い物等のIADLの機会も大切にしています。心身機能が低下していても、利用者様のできることを引き出し・伸ばせるように、「出来る体験」「楽しい体験」の支援を行い、心の中からの回復を目指して取り組んでいます。

<住所>
〒989-3212 宮城県仙台市青葉区芋沢字横前1番地の2
TEL:022-391-3371  URL:www.yokofuku.or.jp/echogaoka.html

⑥◆職場紹介②◆

 

『特別養護老人ホーム せんだい郷六の杜』

川越晴美

>【施設紹介】
《定員》長期入所:120床 短期入所:20床
《リハビリスタッフ数》作業療法士2名(うち非常勤1名)
《OT業務内容》機能訓練指導員
《対象疾患》脳血管疾患、整形疾患、認知症など

《職場の位置》折立交差点の南側に位置しています。平成眼科さんの近くにあります。

07
【リハビリ課の紹介】

当施設は、平成24年7月1日に開所したばかりの新しい施設です。ユニットケアを実施しています。1ユニット10床にて、入居者様2名に対し職員1名を配置しています。

ケアプランに基づき個々に応じて問題点を挙げ、目標を設定し、個別機能訓練計画書を作成し、機能訓練を実施しています。また、『生活に根差した活動を』ということで、生活リハビリ指示書を作成し、各ユニットへの提示・指導を行っています。これをもとに、ケアスタッフさんを中心とした生活リハビリの充実を行っています。音楽療法士を中心に月1回15名程度ずつ音楽療法を行っています。この他、同程度の状態のご入居者にてユニットの枠を超えて集まり、歌やおしゃべり・制作活動等を行っていただく集団リハビリや個別機能訓練・ADL訓練等を行っています。また、近隣の行事(芋煮会や夏祭り等)への参加だけでなく、『地域とともにより積極的な活動を』ということで、今後は地域との屋外活動等の検討も行っていく予定です。

08

 

 

 

◆つぶやきコーナー◆

 

⑦『OT3年目の今』

介護老人保健施設藤の里 阿部知美

 高校生の時に楽しそうだしという理由だけで決めた作業療法士という仕事。それが今年の3月で気が付けば大学を卒業し作業療法士3年目となりそれも終わろうとしています。大学時代に抱いていた3年目の作業療法士ってイメージに比べると、思ったよりもずっと遅いペースですが成長しようと頑張っている毎日です。

いろんなことを経験したくて総合病院に就職を決め、直前に震災があり働けないかもと不安を覚えつつスタート。1年目は急性期、2年目は回復期病棟と亜急性期病棟、そして骨折して3か月ほど休み、また3年目の6月から復帰して回復期病棟で働いています。怪我をして就職前とは違う意味でもう働けないかもと不安を覚えた日々。でも職場の先輩方や学生時代からの先生や友人、家族の手助けもありなんとか今も仕事をさせて頂いています。怪我から復帰して今9か月。復帰直後は仕事の覚え直し、買ったけど読んでない本を読み勉強もし直しでとにかく必死でした。最初は居辛かったけど徐々に慣れ、元の居場所に戻りやりがいを再確認しました。

怪我をして自分が患者という立場にたって思ったのは、患者さんの話を上手く聴けていなかったということです。自分でも医療従事者に上手く関わることは大変でした。振り返ると、患者さんはもっと言いたいことがあったのではないかと反省しました。最近はじっくり話をして目標を一緒に共有するよう心がけています。「(右手は麻痺しているけど)里芋の皮を剥きたい」、「父親として子供を抱き上げるくらいはしたい」など今までよりも自分のことを聴けることが増えてきた気がします。

やっと社会人として慣れてきたかと思ったら4年目がもう目の前にあります。初めての学会参加が6月に控えており濃い一年になりそうな予感です。今までできなかったことにとにかくチャレンジして、作業療法士として研鑽を積みたいと思います。拙い文章ですが、お読み頂きありがとうございました。

 

 

⑧『1年目を振り返って ~ 1×1=∞ ~』

真壁病院 佐藤かおり

 2月、今年も国家試験が施行され、あれからもう1年が経ったんだなぁと、感慨深く感じています。この1年を振り返ると、本当に「あっという間」という一言に尽き、周囲の多くの支えと協力を得ながら、無我夢中で駆け抜けてきたように思います。

私は現在、東松島市にある真壁病院に勤務しています。一般病棟・療養型病棟の計131床を有し、地域医療への貢献を目標とした病院です。OTの開設は比較的新しく、まだまだ業務内容や役割が未整備な状況の中、1人職場で奮闘しています。意気込みだけは人一倍で臨床に出たものの、診療報酬の細かな規定や、他職種との連携、在宅復帰の具体的支援については机上の勉強や知識だけでは満足な仕事にならず、現場で失敗を繰り返しながら少しずつ学ばせていただきました。そして常に「これで本当にいいのだろうか」と自分自身に問いかけては、不安と自己嫌悪に苛まれていました。

そんな中、解決の糸口を示してくだったのは、職場の上司・先輩方をはじめ、保健福祉事務所や臨床実習・学生時代にお世話になった先生方でした。自分の思いや不安・質問を先輩方に発信することは緊張の連続でしたが、私の拙い質問や失礼をも受け止め、真摯にご指導・ご助言を頂きました。また、県士会のお知らせ等から参加させて頂く勉強会も、多くの学びと刺激を受ける大切な場となっており、日々人との繋がりの大切さを実感しています。

設備や業務・教育体制の整った施設で先輩方の指導を受けながら、成長し続けているであろう友人の姿を思うと、時々とても焦ることもあります。それでもこの1人職場で我武者羅に走り続ける中で見えてくるもの・学びが無限大に広がると信じ前進していきたいと思います。1年目×1人職場=無限大!
最後に患者様・先輩方・他職種の皆様・・・いつも出会いが自分の行くべき道を示してくださることに、深く感謝致します。

 

 

◆編集後記◆

 

花壇に植えた球根が芽を出し始め、春が近くに感じられるようになりました。北国の春がやってきますね。今時期になると、利用者さんから「暖かくなったら、~したい。」「春になったら、~しようと思う。」などの前向きな発言が聞かれるようになり、ワクワクします。そして、私は暖かくなったらサボっていた運動を再開して、ご当地マラソンや山登りに臨みたいと思っています。皆さんは、春がきたら何をしますか? 蒲原

県士会ニュース第129号  2014年1月1日

2014.01.01
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時代(次代)を担う作業療法士へ

一般社団法人宮城県作業療法士会 会長 上遠野純子

新年あけましておめでとうございます。旧年中は会員の皆様には大変お世話になりました。東日本大震災から2年10ヶ月が過ぎ、私達は、作業療法が地域住民の自立生活を支える有効な手段となり得ることを、震災後の様々な活動によって気づくことが出来ました。悲しい出来事ではありましたが、その中での経験が、私たちをより成長させてくれていることを実感しております。

さて、宮城県作業療法士会は発足30周年を過ぎ、昨年6月には30周年記念講演会ならびに記念式典、祝賀会を開催し、宮城県、仙台市をはじめとし、関係団体の方々のご臨席も賜り、我々の活動の新たな節目に多くのエールを頂戴しました。この節目にあらためて、我々の諸先輩が県士会活動の形をこれまで懸命に作って下さったことに感謝しつつ、それを礎に、私達は新たな県士会活動のあり様を形成して行く必要性も感じた次第です。

私は、この3年間作業療法士の養成校の教員として未来の作業療法士を育成するにあたり臨床の方々と、どのように若い人材を育てて行くべきかを話す機会を多く与えて頂きました。そこで私自身が学生の育成について考えていたことは、現状に妥協せず、常に何事にもチャレンジする姿勢を持ち、失敗を恐れず、粘り強く物事に取り組むことが出来る人材を多く輩出して行きたいということでした。私の技術・知識の伝承はままならず、多くの時間は、臨床現場の作業療法士の方々おひとりおひとりの後押しがあってこそ、若い学生達はこの3年間で大きく成長してくれました。しかし加えて、その後の卒後教育の重要性をあらためて再認識した3年間でもありました。時代のニーズは、めまぐるしく変化し、臨床現場で求められる人材は、養成校在籍中のみで育成出来るものではありませんでした。私が臨床で身を置いていた身体障害領域でもこの10年間の中で、例えば呼吸リハビリテーションにおける作業療法士の行う治療的エビデンスは、大いに進化してきました。これはすべて、臨床における対象者との関わりとその研究成果を我々が事例検討等で世に示し続けたためです。そのような卒後教育での取組としての学会運営や研修活動等県士会活動の果たす役割は大きく、時代を先取りし、会員の臨床現場で求められるニーズに、的確に応えて行くことが出来る研修システムのありようをこの1年間で作って行こうと思います。そのためにも、県内の多くの関係機関との連携と協働、そして会員の皆様のご支援をお願い申し上げる次第です。次代を担う作業療法士育成のため県士会は頑張って参ります。本年もどうぞよろしくお願い致します。

第15回宮城県作業療法学会報告①

 

第15回宮城県作業療法学会を終えて

第15回宮城県作業療法学会 学会長 川村謙吉

02 学会当日の朝,国見近辺は強風が吹き荒れ,JR仙山線が動くのか非常に心配したのですが,実行委員と参加者の思いが通じたのか,無事開催することができました。学会参加者は153名で,参加職種は理学療法士,介護士,保育士,福祉用具専門員,一般市民,学生など幅広く参加していただきました。今学会は,地域支援に関わる方に実行委員と発表者になっていただき、まさに、みやぎオールスターズで臨んだ学会でした。

03実行委員は,皆とても熱い思いを持っている方ばかりで、「地域支援の必要性を感じていただけること」、「福祉機器を体感し、業者にも喜んでいただけること」、「実行委員も楽しめること」「若いOTに気づきの機会を提供すること。」をコンセプトに、みんなでつくりあげました。参加者のアンケート結果から学会を振り返ってみると、「OT」を他者へ伝えるためには,自分自身がOTとしての役割を明確にしていなければならないと感じた。」,「訪問リハに関わっていると入院中と在宅でギャップを感じる。その差を埋めることの重要性を改めて感じた。」,「実際に機器に触れて体験することで患者さんの気持ちや便利さがわかった。これから患者さんに合った機器を提案したい。」,「各領域での特徴,役割を改めて学ぶことができた。また,地域へ戻る患者様のためにも連携をとれるようになりたい。」,「地域で活躍できるOTになるために,地域から求められているOTの役割を知り,考えることができた。」
などの意見をいただくことができ、開催までの努力が報われたような気がしました。朝から夕方まで目一杯のスケジュールであったにもかかわらず,最後まで熱心に聞いていただきましたが,プログラムを少し詰め込みすぎたため,発表時間が短くなったことやフロアとの会話が十分できなかったことは,今後に活かしていただきたい反省点だと思っています。

本学会を通じてOTの底力と可能性を再認識できたことは,これからの地域支援を考える上で大きな収穫でした。次年度は,大貫学会長のもとでの開催となります。ぜひ,みなさんの協力で宮城県の作業療法を盛り上げていきましょう。